30日間の革命 #革命編 173日

 加賀は革命を実行に移すことを決断し、森下や神原たちへ合図を出した。まず神原がTwitterに「始まる」という投稿を流す。体育館の外で待機している学生がそれをキャッチしたら、数か所の火災報知器を一斉に鳴らす。そして、体育館にいる森下を筆頭にした運動部たちが、教師を体育館から強制的に追い出して、体育館を占拠する。これが加賀が合図を出した後の動きだった。

 神原は、加賀の合図を受け、「始まる」と投稿しようとしたとき、体育館にざわめきが起きた。何事かと思い、周りを見渡すと、全員体育館後方にある入口に目を向けていた。ステージ上にいた加賀も、ざわめきを感じ、みんなの視線の先にある入口へと目を向けた。そして、その先にいた人物を見つけ、今度は自分の目を疑った。そう、そこにいたのは坂本小春だった。

 今度は耳だけじゃなく、目までおかしくなってしまったのかと、加賀は何度も目をこすったが、紛れもなくそこには坂本小春が立っていた。会場にいた学生たちも坂本のことに気づき、どんどんと会場はざわめきだっていく。教師たちも、停学になっているはずの坂本が制服を来て体育館に来ていることに驚きを隠せずにいた。

 坂本は入口に直立し、ざわめいている周囲をゆっくりと見渡した。そして、加賀がステージ上に立っていることに気づくと、ゆっくりとそこに向かって歩き始めた。

 本来であれば、停学しているはずの坂本が学校に来ること事態認められないことなので、教師たちはすぐさま注意をしなければならない。しかし、坂本の存在感に圧倒され、ほとんどの教師は坂本に声をかけることすらできずにいた。しかし、大友は違った。坂本が歩いてくのを見過ごしている教師たちをかきわけ、坂本の前に立ちふさがる。

 「なんだお前は。停学中だろう。すぐに帰れ!」

 低く心臓に響くような声で坂本に向かって大友は話した。坂本も足を止め、大友を見上げる。そして、ニコッと笑顔を見せると、スッと大友の横を通り抜けステージへと歩いていった。予想外の行動に大友は、

 「お、おい!」

 と声をかけるので精一杯だった。坂本はそのままステージに向かって歩いていき、いよいよステージまで辿りつく。そして、脇の階段からステージ上に上り、加賀の目の前へと歩みを進める。加賀は、いくら坂本とは言え、この状態でいきなり目の前に立たれたら、何をどうしたらいいのか分からなくなった。そして、数日とは言え久しぶりに見た坂本は、以前よりも大人な雰囲気をまとい、とても綺麗に見えた。

 「こ、小春!? ……ど、どうしたんだよ急に」

 加賀は混乱しながらもなんとか坂本へ声をかけた。坂本はじーっと加賀を見つめたあと、

 「学校のことが気になって、思わず来ちゃった」

 と笑って答えた。

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