30日間の革命 #革命編 174日
「学校のことが気になって、思わず来ちゃった」
と坂本は笑って答えた。
「ちょ、ちょっと待って。ご、ごめん全然頭が追い付かないんだけど。え? それだけ?」
加賀は戸惑いながら再度そう問いかけると、
「うん、それだけ」
と坂本は笑顔で答えた。全校生徒のみならず、教師までもが注目する中、坂本は飄々としている。
「い、いやいや。それにしてもいきなりすぎるだろ。どんなタイミングで来てるんだよ!」
「でも、セトがメールくれたんじゃない。『小春の気持ちも持っていく』って。今の私の気持ちは直接言わないと分からないだろうなと思って、直接伝えに来たんだよ」
「な、なんだよそれ。ていうか、これからまさに革命を起こすところだったんだよ。タイミング狂っちゃったじゃないか」
「えー、そうだったんだ。ということは、今ここで立ち上がっている人たちが、革命に賛同してくれている人たちってこと?」
「そ、そうだよ」
「へー」
坂本はそう言うと、ステージ上から全校生徒を見渡した。客席にいる学生たちからすると、坂本が急に来て、加賀と何かを話しているだけで、その声までは聞こえていない。何が起こっているのか、誰もつかめずにいた。
「あ、馬場君たちも賛同してくれてるじゃん! 凄いね! セトがやったの?」
「俺がやったって言うか、ま、まあお願いはしたけどね」
「うんうん、さすがセトだよ! 人を動かす力を持ってるね! あ、でも、もう少し賛同者を増やした方がいいかもね。ここまできたら何が何でも革命を成功させよう!」
坂本は笑顔でそう言うと、全校生徒たちの方へと向き、
「みんな、突然やってきて驚かせてごめんなさい! 私は今停学中なので、本来はここにいちゃだめな人間です。でも、今ここでは革命が起ころうとしています」
と話を始めた。
「正直に言うと、私は停学になる前に革命を起こそうとするプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。そこで、停学っていうことを言われてホッとしている自分がいました。この日常を壊してしまうことが本当に正しいのか。もしかしたら間違ったことをやろうとしてるんじゃないか。そんなことを思っていました。でも、停学してずーっと家にいるとき、やっぱり学校のことが頭から離れなかった。このまま革命が起きずに、何もないまま終わるのが正しいとは思えなかった。だから、今日思い切って学校に来てみました。そしたら、こんな凄い状態になっているのに、本当に驚いています。今、本当に学校が変わろうとしています。それは紛れもなく、私たち学生の意志で変わろうとしています。これは凄いことです。一人ひとりを見たら、本当にただの高校生。何もする力はありません。でも、これだけの人数が集まれば、学校だって変えられる。日本の教育だって変えられる。そう確信しています。今迷っている人、その気持ちは十分分かります。でも、今しかチャンスはありません。みんなで学校を変えよう! 教育を変えよう! ここに革命を起こそう! 勇気を振り絞って! お願いします!」
そう言うと、全校生徒に向かって深くお辞儀をした。坂本はマイクを持たず話したが、その声は体育館中に響いた。
▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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