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【マンスリー・アオカケス 2025年2月号】ブルージェイズとゲレーロjr.はどこに向かうのか

ご覧いただきありがとうございます。
サイコロチキンカツです。

現地2/18には野手を含めたチーム全体でのワークアウトが始まり、本格的にチームが始動しました。また、現地2/22には、野球ファン待望のスプリングトレーニングが始まり、長い冬が一足早く明けようとしています。2025シーズンに向けて残り約1カ月。ブルージェイズは有意義な期間を過ごせるのでしょうか。
本日のお品書きです。


はじめに

本noteでは、ブルージェイズの今オフ最大の課題、ゲレーロjr.の契約延長についての情報・私見を共有したいと思います。2021シーズンでMVP候補に挙げられるほどの成績を残し、某日本人選手とHR王を争ったことで、日本でも注目を集めたゲレーロjr.。2022・23シーズンは成績が下降して評価を落としたものの、昨シーズンはリーグトップレベルの大活躍で最下位に沈んだチームを引っ張り、再びその名を轟かせました。


ゲレーロ 2024シーズン成績

AVG .323 199 安打 HR 30本 103打点 OPS .940


そんな彼は、来シーズンオフに現在のブルージェイズとの契約が終わり、FAを迎えます。また、ゲレーロと同じくチームの顔であるビシェットも来シーズン終了後にFAとなるため、ブルージェイズにとってはどの選択肢を取ろうと転換期となります。ゲレーロとビシェットの両者と再契約するのか、どちらか一方との道を選ぶのか、それとも両者を他チームに移してしまうのか。果たしてブルージェイズに訪れる未来は明るいのか…

今回は、その中でも特に話題に上がったゲレーロjr.に焦点をあてて、事の顛末を紹介し、私の意見を共有したいと思います。


オフシーズン開幕後の動向

2025シーズンオフにFAを迎えるゲレーロ。彼が市場に出てしまう前に、契約を結んでしまうことが、ブルージェイズ今オフの至上命題でした。フロントも端からそのつもりで延長に向けて動いていましたが、1つの出来事がその方向性に影響を与えました。

それが、2024年12/11に行われたフアン・ソトとNYMの契約。今季FAとなっていた彼は、NYMと15年$765Mでの契約を結びました。これは昨年LADと大谷翔平の10年$700Mでの契約を上回る、MLB史上市場最高額でのFA契約となりました。

ESPNより引用

このソト獲得レースには多くのビッグマーケットチームが参加していましたが、ブルージェイズはそのうちの1つでした。今やお家芸となった「興味」を見せ、最終候補まで残ったとの報道も。そのオファーの詳細は定かではありませんが、最終候補まで残った以上、他のチームと同等の契約($600M~700M?)を出したと見込まれます


ソトに対しての最終提出金額(FastBall ONSIより引用)

  • メッツ     15年$765M

  • ヤンキース   16年$760M

  • ドジャース   $700M(年数不明)

  • レッドソックス $600M(年数不明)


これにより、ゲレーロサイドは1つの事実に気づいてしまいます。それは、本気を出せばブルージェイズが$600M以上を出せるということ。これにより、ゲレーロは希望金額を引き上げ、当初予定したよりも契約延長が難航することになったのではないかと考えられます。


そして2週間後の12/23。ゲレーロが自身の契約延長について口を開きました

se he escuchado al grito pero no es ni cerca de lo que estarmos buscarido
「彼らから少し話を聞いたが、我々が求めているものにはほど遠い」

やはりソトの契約に影響を受けたのでしょうか。まだまだ合意とは程遠い様子です。$600M以上の資金を秘めていることが判明したとなると、ゲレーロ側がそれを求めることも納得はできます。しかし、ゲレーロは契約についての話し合いが始まった当初から、ブルージェイズに残りたいという旨の発言はしています。主に金額を中心とした契約内容の問題が残っています。

現地1/15、Blue Jays Nationが記事とともに1件のポストをしました。それはここまでブルージェイズ側がゲレーロに出したオファーと、それに対してのリアクションが綴られているものでした。その簡易的な要約は以下の通りです。詳しい内容はぜひ記事全文をご覧ください。


ブルージェイズはゲレーロに3つの契約を提示

  • 10年契約

  • 11年契約

  • 多額の後払いを含む契約

うち、後払いを含む契約にはゲレーロ側は興味を示していない また、ブルージェイズはゲレーロが希望する金額に近づいておらず、未だ$400Mの大台に達していない様子


やはり契約合意は難航。というかブルージェイズは$400Mも提示していなかったとは…。ゲレーロは本職が(というかほとんど)1Bであるだけに、やはり契約金を渡すことを渋っているのでしょうか。現時点での1Bでの年俸平均1位はLADのフレディ・フリーマンの$27M(6年契約)となっているため、仮にゲレーロが10年$400Mで契約を結ぶことになれば、それを大幅に上回る年俸平均$40Mとなります。このことを踏まえると、40M以上にもなる年俸を渡しづらいというフロント側の気持ちも分からなくはありません。

先日NYMと契約を結んだアロンソは6位にランクイン(spotracより引用)

以上をまとめると、今回の契約延長に関する特徴がいくつか見えてきます。

  • フロントもゲレーロも契約延長には前向き

  • 契約内容(主に契約金)に合意ができない状況

あとは、いかにお互いが擦り合わせながら合意できるか。
この一点の問題に絞られたように感じられます。


契約延長の結末

EDL(Extension DeadLine)

うまく話し合いがまとまらない中、ゲレーロは自身の契約延長についての話し合いの期限を球団側に明示しました。それが野手を含めたチーム全体でのスプリングトレーニングが開幕する2/18。この期限までに話がまとまらない場合は、シーズンに集中するために今オフの話し合いは終了。FA市場に出た上で、再度ブルージェイズとの契約延長について話し合うという姿勢を見せました。

そして来たる2/18。深夜まで行われた話し合いの結果は…


_人人人人人人人人人_

> 契約延長ならず <

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世界中のブルージェイズファンが絶望しました。カナダ生まれで数々の賞を受賞してきたスーパースター。母国のチームでフランチャイズプレイヤーとして活躍することを、誰もが期待していただけにその悲しみを隠せません。なんだかんだ言ってもゲレーロは契約してくれる。そんな甘い希望を一気に振り払われました。


ゲレーロ・フロント陣のインタビュー

今オフシーズンにおける契約延長の破談が決定したことについて、ゲレーロ、フロント陣はそれぞれコメントを残しました。ここでは、その内容を一部紹介したいと思います。


ゲレーロ

“Winning team. That’s what I’ll be looking for in free agency. As you guys know, my dad played a lot of years. He never won a World Series. My personal goal is to win a World Series and give the ring to my dad."

勝つことのできるチーム。それがFAで探し求めているものだ。知っての通り、父は何年も(MLBで)プレーした。しかし一度もワールドシリーズで優勝したことがない。個人的な目標はワールドシリーズを制覇して、父にリングを渡すことだ。

"I don't want my teammates to go through any distractions about that. I'm here today. I'm ready and want to win a lot of games and make it to the playoffs. That's all that's in my head right now."

「チームメイトには、自分の契約延長のことで気を散らしてほしくない。僕は今日ここにいる。準備はできているし、多くの試合に勝ってプレーオフに進みたい。今はそれしか頭にない。


ゲレーロは今回の交渉を経て、まずは「話し合いが一旦終了」とし、来シーズンに迎えるFAについては、「勝てるチームに行きたい」という言葉を残しました。今後の去就については不明ですが、とりあえず来シーズンを全力で戦いたいという姿勢を明確に示しました。



アトキンス(GM)

"Obviously very disappointed. We worked very hard. The motivation is still there. Confident that every thought, idea we had, every dollar that we had was communicated. But we're obviously disappointed to not have gotten that done."
非常に残念だ。我々は尽力した。(契約延長についての)モチベーションはまだある。考え、我々の案、資金についてはすべて伝わったと確信している。しかし、契約を結べなかったことについては非常にがっかりしている。


『カイジ』シリーズ 利根川先生より引用

正直、何を言っているんだという感じです。甘ったれたこと言うなよと。
要するに、自分たちの提示した契約が、生涯のキャリアを懸けての合意に値するほど魅力的ではなかったということです。そもそも最初に大枚をはたくことを躊躇っていなければ、契約できた可能性は十分にありました。環境的な要因はもちろんありましたが、よりよく交渉を進める手立てはあったはずです。我々ファンがアトキンスに対してdisappointedとしか言いようがありません。



シャパイロ(CEO)

“There’s no such thing as close or not close. There’s done or not done.”
「(合意が)近い、近くないではない。終わったか終わってないかだ。」


“We were emotional. We did value the player deeply, and even went past our value because we cared so deeply about him and wanted to have him here.”
「我々は感情的だった。我々はこの選手(ゲレーロ)を深く評価し、彼のことをとても大切に思い、ここにいてもらいたいと思ったので、私たちの想定していた価値を超えたことさえあった。」


またしても『カイジ』シリーズ 利根川先生より引用

こちらも何を言っているんだと。ゲレーロに対してどれだけの価値を見込んでいたのかは不明ですが、私たちが思っていたよりも過小評価していたのではないでしょうか。いずれにせよ今回の一件を通して、ファンのが彼らに対して持っている信用は一気に失われたことでしょう。


来オフシーズンの可能性

ゲレーロの去就

なんといっても来シーズン最大の課題はゲレーロとの再契約。今オフに契約を延長することができなかったことで、ゲレーロが2026年以降にチームに留まる可能性はかなり低くなったといえるでしょう。とはいってもゲレーロが来オフに話し合いを再度行う機会を設ける姿勢は見せているため、可能性はゼロではありません。

現時点で、ゲレーロがFAで移籍する可能性があると挙げられているのは、NYM、BOS、LAA、LADの4チームです。(確かなソースはなくあくまでも噂程度ですが。)これらのチームはいずれも資金力だけでなく、それぞれの魅力も引き下げているため、候補先として挙がっていると考えられます。

NYMは友人のソトが移籍したことや、WS争いができるだけのメンツを揃えていることが魅力なのでしょう。BOSも今オフにブレグマンと契約したことで、今シーズン上位に上がってくる可能性が十分にあります。LAAはかつて父ゲレーロが在籍していたこともあり、ゆかりもあることが大きいです。そしてLADは昨季WS制覇しており、優勝に最も近いチームの1つであることが魅力として挙げられます。(ただLADには1Bにはフリーマン、DHには大谷がいるため、その枠が用意できるかは微妙なところではあります。)

これらのチームに移籍の可能性がある一方で、再契約の可能性も秘めてはいます。その理由となるのが、先ほど上で紹介したゲレーロの発言。

  “Winning team. That’s what I’ll be looking for in free agency.
勝つことのできるチーム。それがFAで探し求めているものだ

勝つことのできるチームを希望する。つまり、ブルージェイズが今シーズンWS制覇を狙うことのできるチームだと証明することができれば、来シーズン以降も残留する可能性があるということです。ブルージェイズは今季、いくつかの大物FA選手の補強に失敗しているものの、ヒメネス、サンタンダー、ホフマン、シャーザーなどの選手を獲得することに成功しています。

また、ブルージェイズのリポーターであるKeegan Matheson氏によると、「まだMLBで通用する内野手がブルージェイズには余っているため、トレードでさらに選手を可能性が高い。もう一人強打者がいれば、このラインナップは本当に完成するだろう。」と発言しています。

今後さらなる補強を行うことでPSに出場して、WS制覇の可能性を示すことができるのであれば、ゲレーロが振り向く可能性はあります。すでにかなり窮地に追い込まれているブルージェイズですが、フロントの手腕次第ではゲレーロの契約延長も考えられるといったところでしょうか。とにかく目が離せないのは確かです。


フロント退陣

次に考えられる可能性としてはフロントの退陣です。今回の一件で改めて露呈したのはフロント陣の脆弱さ。GMアトキンスとCEOシャパイロがタッグを組んでから10年。その10年で成し遂げたことが注目を集めています。

なにも成し遂げていない…
特にここ数年の成績は停滞気味。ファームシステムもMLB全体では低位。昨年はとうとうプレーオフ進出さえ逃す。最強の打線を誇った2021シーズンも話題は集めたものの、プレーオフ進出は逃しています。チームとしての結果が出せていないということは、彼らの評価を大きく下げることに繋がっています。

また、昨オフシーズンから数多くの選手の獲得に失敗してきました。特に大谷やソトに超高額を出そうとしたことで、ゲレーロの延長失敗に(間接的に)つながったことや、国際FA選手を獲得するために負けトレードを行い、結局目当ての選手を逃したことなど、その失態が露わとなっています。

そしてGMアトキンスは2021年に5年の契約延長を結んでおり、その契約は2026シーズン終了後に終了します。彼との契約終了は間近であるため、今シーズンの結果次第では彼を切ることも考えられます。フロントを交換することで、チームの現状が改善することも考えられるため、今回の一件はその声を大きくしました。

ゲレーロやフロントがどう動くにせよ、今シーズンがブルージェイズの今後を大きく左右することは間違いありません。今シーズンのTDLで売り手に回る可能性もありますが、ここで死ぬ気で戦わなければお先真っ暗となることは避けられません。

『進撃の巨人』 ミカサより引用


さいごに

このnoteを書いている今も気分はどん底ですが、スプリングトレーニングやシーズンが開幕して勝つ姿勢を見せてくれることで、その気持ちは少しでも改善してくれるはずです。そして願わくば、来オフシーズンにはゲレーロとビシェットの両者と再契約を結び、2人揃ってチームを支えてもらいたいです。課題が超山積みのチームですが、やはりファンとしては試合を見るのが楽しみですし、WS制覇を待ち望まずにはいられません。

最後になりますが、非常に長く拙い文章を読んでいただき、ありがとうございました。次回以降の【マンスリー・アオカケス】もご愛読よろしくお願いいたします。

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ヘッダー画像はこちらより引用しています。


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