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レジリエンスへのまなざし〜危機を思い出す時期に、子どもに・私たちに起こりうる心身の揺れ〜

はじめに〜この時期にもしかしたら起こるかもしれないこと〜


寒波の影響で大雪になり大変な状況にいる方もいるかもしれません。
寒さが募る年末年始、ちょうど大きな震災を思い起こす季節でもあるかもしれません。

震災や災害といった大きな出来事や、危機を感じるような出来事を想起するような節目節目の時(例えば1年目、同じ時期など)に、 その時に感じた様心身の大きな揺れや不調、感情の大きな揺れを感じることがあります。
それは、自然なことでもあります。
私たちの身体は生物として生き延びるために、衝撃的な出来事、喪失体験、危機を記憶しています。
そのため、出来事を想起する(したくなくても想起されてしまうということも少なくありません)きっかけ(リマインダーと言われます)があると、危機に対する(恐怖や不安を感じることに対する)反応と近い反応が身体に、そして私たちの心を含む全身に起こります。

このような反応は小さな方から大人の方まで誰にでも起こり得るといわれています。そして、大きな心身の揺れは、期間は状況などにより様々ではありますが、それぞれのレジリエンス、周囲とのあたたかでサポーティブな関わり、自然など人だけでないさまざまな環境との関わりの中で緩やかで穏やかな揺れに回復していくともいわれています。

以下は、今年はじめに作成した、危機の時にどのようなことが人の心身に起こり、その時どんな関わりや環境があると良いかをまとめたものです。

大きな震災や災害、その後続くさまざまな喪失を思い出す可能性もあるこの時期、もしよければ参考になさってください。

最後まで読まなくても、途中から読んでも、全く読まなくても大丈夫です。
ご自身のタイミングやちょうど良い感じを大切にしてくださいませ。
そして、この一年にさまざまなあり方で身を置いてきて今があるのは、それぞれの持つレジリエンスでもあるともいわれています。
ぜひそれぞれの大切なレジリエンス、工夫、知恵も大切にお過ごしください。

大人の皆様へ

<からだのこと>
◯からだの変化があることを知っておく
・子どもに限らず、誰もが、危機を思い出すような節目や場面があると、からだが緊張したり、呼吸をしづらくなるように感じたり、いつもより疲れやすいと感じたり、なんだか身体が不調であると感じることがあります。
・子どもはとくに、不安や心配な気持ちが、からだの変化として
現れやすいといわれています。
・これまでやっていたことができなくなるようにみえることもあるかもしれません。
これらは自然な反応で、落ち着いて過ごせる時間が少しずつ増えていくと、
徐々によくなっていくとされています。
 
<こころのこと>
◯こころの変化があることを知っておく

例えば、気持ちが落ち着かない、イライラする、怒りっぽくなったように感じる、集中できない、眠れない・とても眠くなる、疲れやすい、楽しめない、自分を責める
などは、いつもと違うことが起こったり、危機だと感じたりしたときに
自然に生じる大切なこころのサインでもあります。


◯子どもは遊びで表現することがある

子どもの場合は、言葉以外にも、ごっこ遊び(地震ごっこなど)など
さまざまな方法を通してその子なりの方法で表現したり、
対処の工夫をしたりしていることがあります。
すでにやっている子どもの知恵や工夫(レジリエンスといいます)もぜひ大切にしてみてください。



<子どもとのかかわり>

・子どもにわかる方法で、子どもの理解や想いを確認しながら、
わからないことも含めて、いま起きていることについて共有します。
・疑問や不安を感じたら、いつでも伝えていいことを共有します。
・いつもと違う感覚になるのは自然であること、
違う感覚になったときに一緒にできることがあることを伝えます。
・できるだけ普段通りの日課や慣れていることを大切にし、毎日の
ルーティンをつくります。
・軽い運動や遊びの時間を大切にします。
・普段よりも少し多めに、子どもとのふれあいの時間や
子どもの話をただ聴く時間をつくります。
・日常の中で、子どもが自分で自分に関わることを選べる機会をつくります。
・震災を思い出すようなニュースなどから離れる時間を定期的につくります。


子どもを育てたりサポートしたりする人も、同じように影響を
受けることは自然なことです。

どうかご自身のための時間や空間もぜひ作っていただけたらと思います。

https://kodomocare.studio.site/ 

を作成者の一人である小澤が改変


<影響が大きい場合>

書いたようなからだやこころの状態は、
誰にでも起こりうることですが、
程度が強くて日常生活への影響が大きかったり、
何ヶ月も長く続いたりすることもあるかもしれません。

例えば、
一週間以上眠れない、自分を傷つけたくなる、誰かを傷つけたくなる、
涙が止まらない、死にたい気持ちがずっと続く、なども含め、
いつでも専門家に相談することもできます。

地域の精神健康相談センターや、下記のような窓口もあります。

https://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303886.htm

地域のまわりの人たちと比べて、相談していいか
迷うこともあるかもあるかもしれませんが、
自分のつらいな・しんどいなと感じる気持ちを
ぜひ大切にしていただけたらと思います。

https://kodomocare.studio.site/

子どもの皆様へ

ここには3つのことが書かれています。
◯しんさいをおもいだすきっかけがあったときにおこること
◯さいがいのときにおこるこころやからだのへんか
◯ちょっとためしてみるとほっとするかもしれないこと

どこから読んでも、ぜんぶ読まなくても、だいじょうぶ。
自分のペースとタイミングを大切にして、まずは自分のほっとする時間や、
すきなことを大事にしてくださいね。

◯しんさいをおもいだすきっかけがあったときにおこること

いろんなきっかけで、しんさいがおきているときのように、ふあんになったり、いつもとちがう気持ちになることがあります。
たとえば、こんなことがきっかけになるといわれています。

・さいがいやじしんから1年たつとき
・じぶんのすんでいるばしょいがいでじしんやさいがいがおこったとき、
・テレビでさいがいやじしんのえいぞうがながれるとき、

そのほかにも、さいがいやじしんのことをおもいだすきっかけはたくさんあるといわれています。

そんなときには、ふあんになったり、いつもとちがう気持ちになることがあるかもしれません。
とてもしぜんなことです。
そんな時はまわりの大人や、そうだんできる場所(このページのさいごにのっています)にはなしてみることもたすけになるといわれています。

もし気になること、ききたいことがあったら、まわりの大人にきいてくださいね。
みなさんといっしょに考えたり調べたりします。

◯おもいだしたときのこころやからだのへんか
しんさいのことをおもいだすと、からだがいつもよりかたくなったり、
こころがざわざわしたり、ねむれなくなったり、何もしたくなくなったり、
からだやこころがいつもとちがうと感じることがあるかもしれません。
それは、とてもしぜんなことで、大切なサインです。

<からだのこと>
どこかがいたくなる、からだがかたく感じる、
ごはんがおいしくないと感じる、ねむれなくなる・すごくねむたくなる、
なんとなくうごきたくない、などが起こることがあります。

<こころのこと>

なんだか落ち着かない、イライラする、集中できない、
楽しくない、自分のせいだと思う、
などの気持ちになることがあります。

ここに書いてあるのは一つのれいです。
おこるへんかは、一人ひとりちがいます。

そのようなときにどうしたらいいの?ちょっとためしてみるとほっとするかもしれないこと

・わからないことや心配なこと、知りたいことは、口に出してみたり
まわりの大人にきいたりして、だいじょうぶ
・いつものあそびやすきなことを大切にしてみる
・ちょっとからだをうごかしてみる
・自分で決めたいことを決めたり、自分が大切にしていることをつたえてもだいじょうぶ
・ニュースからちょっとはなれる時間を作ってみる

おわりに

よんでくれてありがとうございます。

ここに書いていないことや、すでにくふうしていることもあるかもしれません。
ぜひ、自分が感じていることを大切にしてくださいね。

「そうだんしようかな」「どうしようかな」と、まよったときに
いろんなことを話すことができる場所はこちらです。
https://www.notalone-cas.go.jp/under18/

わたしたちも、いっしょにできることを考えていきたいと思っています。

https://kodomocare.studio.site/kodomo
を作成者の一人である小澤が改変

最後に

読んでくださってありがとうございます。
改めてこの一年様々な状況の中でのここまで道のりの積み重ねは、それぞれのレジリエンスがあったからこそだと、深い敬意と共にあります。
それぞれの地に暮らす人・子どもの方々の「こえ」を大切に、できることを一緒に考えていきたいと思っています。

そのような状況ではない方もいらっしゃるかもしれませんが、
ご自身のタイミングで、
ご自身の心身をそっと労り少し深呼吸したり
人・自分の推しや関心・人ならざるもの・自然など自分にとって心地よい存在と関わりの中で少しだけゆっくり身体を感じる時間をとったり
ご自身が大切にしている工夫やルーティンをやってみたり
そんな時間も大切にお過ごしください。

                            
                        (小澤いぶき)

参考サイト


参考サイトの作成:子どものこころの専門家チーム
(おざわいぶき、やまぐちありさ、にしざきめぐみ、さわだなおみ、はせがわますみ)
きょうりょくしてくれただんたい「いっぱんしゃだんほうじん あおいふくしAI(エイアイ)けんきゅうじょ」