
教員から転職後初めての仕事は1700個のドリルづくりでした|『ninaru小学生』ができるまで。#4
10月リリースの新プロダクト「ninaru小学生」の制作内部をお伝えするnote。
エバーセンスでインターンシップをする金が、開発に携わったメンバーへのインタビューを通して、アプリに込められた想いや制作の裏側に迫っていきます!
前回はこちら。
第4回目は、アプリの主要機能の1つである学習チェック機能のドリル制作を務めたエイトさんにお話を聞きました。
今年の3月まで小学校の先生として働いていた経歴を持つエイトさん。先生としての経験や想いがどのようにドリルに反映されているのか…どんなお話が聞けるのか楽しみです!

学校とは別の方法で子どもたちを支えたい
ーエイトさんは今年の3月まで小学校の先生として働いていたんですよね。
そうです。大学を卒業してから3年間先生として働いていました。
ー担任の先生として、どんなクラスにしたいと考えていましたか?
いろいろな子がいる中でみんなが「そのままでいい」と思えるクラスを目指していました。
例えば、特性として感情のコントロールが難しい子がいたときに、怖いから近寄らないようにしようというスタンスをとるのではなくて、その子の得意なところに目を向けて欲しいなと思っていました。虫についてめちゃくちゃ詳しかったとしたら、虫の授業で質問が出たときに答えてもらうとか。
どんなかたちでも「学ぶ」っていうのは楽しいんだなぁとか、認めてもらえるんだなぁということを感じられることは意識していましたね。
ー素敵なクラスをつくっているエイト先生が想像できます…!熱い想いで先生として働いてこられたと思うのですが、転職を決めた理由は何だったんですか?
僕は大学を卒業してすぐに先生になったので、いわゆる社会について知らないことが多くて、子どもにキャリア教育や将来のことを話しづらいなという思いがすごくあって。いろいろな経験をしたうえで子どもの前に立っていたいっていうのがあったので、転職を決めました。
ーなるほど、その中でエバーセンスに出会ったんですね。
そうです。「家族」というシステムを使って、学校とは全く別の方法で子どもたちにアプローチできるんじゃないかと感じて転職を決めました。
面接で社長の牧野さんとお話ししたときに「小学生向けのアプリも開発しようと考えている」とお聞きし、これまでの経験が役に立つかもしれないなとも感じましたね。
入社直後にドリルを1700個制作
ーninaru小学生の開発では何を担当されたんですか?
入社後すぐに、学習チェック機能のPOであるようこさんのもとで、ドリルの制作を行いました。
年長の9月から小学2年生の3月まで、国語と算数の毎日ドリルの問題を作りました。数えてみたら、全部で1700個でした。

ーそんなにたくさん…!ドリル制作で特に意識した点はありますか?
おうちの方が、子どもと一緒に使って苦手なポイントを拾って解決するために使えるものにすることを意識しました。
例えば漢字の指導ひとつとっても、記憶力の部分に問題がある子もいれば、綺麗に書けない子もいたり、一人ひとり課題が異なるんです。でも、学校の特性上、全体指導が主な授業体系になり、個別指導を全員に丁寧に行うのは難しいので、そこを家庭でカバーできるようなドリルにしました。
ーなるほど。小学校の先生時代の経験が生きたんでしょうか?
もちろん生きた部分もたくさんありますが、最初はとても難しかったですね…。
ーそれってどんな難しさだったんですか?
最初は「アプリで提供するドリルを小学生の親が使う」ことの意味が完全に理解できていなかったので、何に気を付けて制作したら良いのかわかっていませんでした。
というのも、学校の教材づくりとの違いを明確に意識できてなかったんです。その違いに気づいて、小学生の親に適切に使ってもらうための工夫をしていくことは一つの大きな壁でした。
▼学習チェック機能POのインタビューはこちら
ユーザーは「さくらんぼ計算」を知っているのか?
ー学校の教材づくりとninaru小学生のドリル制作は何が違うのでしょう?
一番大きく違うのは、ドリルを最初に見るのが「子ども」か「親」かという点です。
例えば「さくらんぼ計算」という言葉は、学校では当たり前に使うのですが、親がこの言葉を聞いたときにすぐにやり方を説明できるとは限らないんですよね。
このような先生特有の言葉や表現を無意識で使っていた部分があったので、それを誰が見ても理解できる表現にして届けることが難しかったです。

ー確かに…。「さくらんぼ計算」と言われても、ぱっと思いつかないですね。
そうですよね。でも、学校で作る教材であれば、配るときに言葉で補強が出来るんです。例えばドリルを宿題として出したときにわからないことがあったら「これどういうこと?」と子どもたちから直接質問してもらえます。質問があれば答えられるし、質問できない子がいても、質問する子がいればそれを聞いて理解することができます。
でも、アプリで届ける時はそういう対応はもちろんできないので、わからない人はわからないままになってしまいます。だからこそ、学校で作っていた教材とは別の説明をいれるなどの工夫が必要になってくるんですよね。
ーなるほど。「チェックポイント」も学校の教材にはないものですよね。これも工夫のひとつですか?
そうです。ただドリルを解くだけでは、子どもが何を苦手としているのかに気付くのは難しいと思います。そこで、家庭で子どもの苦手ポイントを見つけやすくするために、ドリル一つひとつにチェックポイントをつくりました。
チェックポイントは「どこまでできていればオッケーなのか」が分かるもので、子どもが理解できているか簡単に確認できます。また、よくつまずく点や声掛けのポイントも記載しているので、どこに注意して指導すればよいのかフォーカスしやすくなっています。

ー特別な知識がなくてもチェックポイントが助けてくれるんですね!!内容は先生時代の経験を踏まえて考えたのですか?
そうですね。経験も生きてはいるんですけど、実はだいぶ学び直した部分もあります。
漢字は間違えやすい字であれば取り上げて授業で話していたのですが、1年生80字・2年生160字のすべてに対して間違いポイントを考えることは初めてでした。また、算数は教科書の内容をより細かいステップにわけて、ドリル一つひとつのチェックポイントをつくることが難しかったです。
どちらの教科も先生だった時より教科書を読み込んでいました(笑)。
ただ、「学校の先生だとここまで細かくは見れないだろうな」という部分を意識して作れたのは、先生をしていたからこそだと思っています。
毎日じゃなくていい。必要なときに使ってほしい
ー最後に改めて元先生として、そしてドリル制作担当者としてユーザーの方にメッセージをお願いします。
作った側がこんなこと言っちゃうとあれですけど、ドリルは無理に毎日やらせなくてもいいんですよね。
ホーム画面やスケジュール機能はもちろん毎日使ってほしいのですが、ドリルに関しては学校で拾えなかった課題があるとき、子どもがどんどん先に進みたいときなど、使いたい時に使ってくれたらと考えています。
子どもが今どんなことをしていて、どんなことができなくて、どんなことが得意なのかを意識するきっかけになってくれたらいいなと思いますね。
ー先生とアプリ開発どちらも経験したエイトさんだからこその言葉ですね…!
そうですね。先生としても子どもの勉強をもっとお家の人に見ていただきたいと感じたこともあったし、学校の勉強や生活に関心をもっていただきたいなと思っていました。でも同時に、保護者の方も忙しいだろうし、何から聞けばいいかわからないという方もいらっしゃるだろうというのも理解しているので、正直もどかしさもあったんです。
今回、家庭から子どもに対してアプローチしてみたいと思いエバーセンスに転職して、アプリ開発に携わったことで、学校ではカバーしきれない部分もアプリという形なら届けることができるんだと学びました。
学校と家庭の両面から子どもを支えるためにも、 今回のドリルがその一助になればと思います。
インタビューを終えて
小学校の先生の仕事も現在の仕事も「子どもたちのために」という熱い想いで取り組まれていることを強く感じるインタビューでした。「学校と家庭の両面から」という視点を持っているエイトさんだからこそ、それぞれの役割を補い合うことができるようなドリルの制作ができたのだろうなと思いました!
次回は「リアル小学生ママ」としてアプリ内で読める記事の執筆を担当されたみゆきさん・かなさん・ゆかさんにインタビューします。
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