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文字通り色あせてゆく私は、




自分の目は自分が
思っているよりも薄く映った。
鏡がくもっているわけではない。
生気が宿っていないのだ。

唇はかさついているし前髪は
センターでぱっくり割れている。
そんな自分にうんざりして目を伏せた。

体がしんどかった。
羽田空港からイスタンブールまで
エコノミーに乗って行き
そこで3時間乗り継ぎ便を待って
ようやく辿り着いたアイルランドで
予約しておいた迎えの車がみえない
時ぐらい疲れている

(実際にそんなことがあった)


人は活力を失っていくと
色が薄くなることをその時初めて
知った。

目玉というよりはまぶたやまつげ
くまもその一員として全体的に
ぼんやりとした。

けれど、心は無に等しかった。


どうしてこんなことに。

わからない。

色づいていく周りの友達と色褪せる私。
私1人だけがその輪郭を少しずつ
にじませていく。


そんな焦燥感に
私はまたひとつ、色彩を落としていった。



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