マグニファイヤー比較 等倍ファインダーを目指して
ライカのファインダー初体験はM3で、さほど意識してなかったが、このファインダーがかなり面白い、すなわち両目をあけて右目で覗き込めば、ブライトフレームが浮き出るように見える、とどこかで聞いて、果たして試してみればああ、なるほど、こう言うことだったのか、と妙に納得したものだった。
しかるに、ライカM3のそれは、完全なる等倍ではない。だから右目と左目の境に確かなズレが生じていることを確認する。そんななか、神戸のプロカメラマンに教えてもらったライカの等倍ファインダーSBOOIは、フレームと外の世界が細いラインを経てもシームレスに繋がり、本当の本当に違和感がない。まるでただの筒にフレームラインをぶら下げたようなものを覗き込む感覚、然し乍らコントラストがぐんと上がるものだから、素通しで見る世界よりも美しく世界を切り取ってくれていた。
あんなものを見なければ、こう等倍ファインダーにこだわることもなかったろうに。
ということで、ライカM typ240が手元にやってきてから、僕はマグニファイヤーに執着する。最初に購入したのは、宮崎光学製の1.35倍のものだった。そうして最近light lens labと言う、ズミクロン八枚玉の復刻版とも言えるレンズを出している中国系企業が発売したものも入手。二つ買っても純正品より安いとは、純正が気になってくるが、そこはぐっと堪える。
以前にもこのあたりの話はしているが、マグニファイヤーを二つ手にしたので、その違いを今回はお伝えする。
ちなみに前回はこちら
装着イメージ
大きさで言えば圧倒的に宮崎光学製だろう。買う時も、このコンパクトさに惹かれたという経緯がある。おそらくはつけっぱなしにするだろうから、この小ささ、サムレストの出っ張りよりも低く収まるサイズは、それだけで純正のそれよりも魅力的に思えた。
一方でlight lens labの出っ張りは、サムレストよりも高くなっている。これは大きめのレンズをつけた状態でカメラバッグに収めようとすればきっと障害となる大きさだと思う。
純正のは外した際のケース付き、また、本体にも細いストラップが付いて、落下防止に配慮してあるが、1年間宮崎光学のを使用してきて落ちてしまうかも知らないという不安はなかった。
light lens labの方も同様だが、接眼ラバーはすぐにポロリと落ちる。早速無くしてしまって、翌日車の中で発見した。肩に下げる、首に下げるなどして街中をスナップするなら対策が必要だ。
操作性
どちらも視度の調整が可能だ。ただ宮崎光学のそれは、ちょっとどれだけ回しても変化があるのかどうか分かりづらい。中古で買ったからデフォルトでそうなのかは分からないが、しかし確かにここだ、というところがある。その調整するレバー部分も小さいので回しづらいが、コンパクトさとの相殺だからここは致し方がないところ。
以前自分のを人に貸したら、うわっこれ視度調整きっついわーと言っていたので、それくらいは変化があるのだろう。ちなみに今の自分の視力は裸眼での運転にギリギリ支障がないくらいである。特に右目。
だからlight lens labの方を回してみたら、ぐいんとわりかし明確に視度が変わっていくので驚いた。それゆえにズレているのを元に戻すのも容易ではある。
そして両方とも、肩にかけていたら必ずズレる。簡単にズレるはずだ。にも関わらず、宮崎光学のものは、元に戻すのに苦労する。light lens labの方はより簡単にズレる予感がする。まだしっかり使ったわけではないのであくまで予感。ただ戻すのもわけない。この辺はどちらもどちら、という感じかと思う。
宮崎光学製の視度調整が、こんなに微細な動きで調整がなされるのか、はたまた中古だから何か変化しちゃっているのか知りたいところだ。
見え具合。フレームの位置。
ライカM typ240の視野倍率は0.68倍。
そこに1.35倍に視野率を上げてくれる宮崎光学製をつけると0.918倍、
1.4倍だと、0.952倍となる。
その見え方が上の写真だ。
スマホでの非常に雑な撮り方なので申し訳ないが、なんとか出来ることなら両目で開けたらどう見えるか、というのを画像で表すにはどうやれば良いのだろう、そんな撮り方ではないので参考として見てくれたら幸い。
ただ、実際に覗いたとき、ブライトフレームが井戸の壁面の暗がりとどのくらい離れているかという感じは、画像のとおりの印象だ。
0.05の差なんぞそこまで違うかなあと思いつつ購入したが、思いの外違う。
とにかくピントを!というなら1.4倍の方を選ぶべきで、実際合わせやすいと感じた。純正ならどんなだろうとも思わせるものだ。
だが、フレームのラインが井戸の側面ギリギリになってしまうので、レンジファインダーのフレーム枠外からやってきたもののタイミングを測って、というのはやりづらい。というかやれない。また井戸を覗き込んでいるような感覚も強まるのもちょっと、な。である。
一方で1.35倍はちょうどいい落とし具合で、フレーム枠外から来た被写体を感知することができる。
このあたりがどちらを購入すべきかの選択条件になるように思う。
たとえば宮崎光学製のものは、35mmでもぐるりとフレーム内を見渡してなんとかラインが見えてくるのだが、light lens labの1.4倍だとそれは難しいだろう。
僕のは0.68倍だけれど、M10などの0.73倍のファインダーなら、視界が30%広くなったとはいえ、その傾向はより強まるのではないかと思う。
右目と左目のズレ感
フレームの境目あたりを両目で見ようとすると、きれいに等倍ではないので、やはり微妙なズレが生じてくる。その違和感がどうしてもいけない。外付けファインダーの、あまりに自然すぎる繋がりを知っているので、この違和感は拭いきれない。
宮崎光学とlight lens labのその違和感の差は、やはり倍率高めのlight lens labの方がわりかし少なめだ。
宮崎光学≧M3>light lens labのような感じかしら。
それでも少し離れた場所を覗けば、ほとんどシームレスなのはどちらも同じ。少しlight lens labの方が上かなと思うくらい。
【追記】
lightlenslabの方は、視度の調整をすると、わりかし激しく倍率そのものも変わっていくように見える。この点は宮崎光学の方が動きがなく良い品質だと言えるかもしれない。
だがlightlenslabのこの動きのためか、ある調整ポイントでファインダーを覗いている右目と左目がシームレスになった。これは良い。良いよ!
ただ、あの外付けファインダーほどの自然さはない。どうしても接眼部分の井戸の縁が大きくなって気になってしまう。
やれやれ、とんでもないものを僕は見てしまったことだ。
どちらがいいか
圧倒的に宮崎光学。僕の場合は。
一つに、0.05違うだけなのにブライトフレームがしっかり見える。
一つに35mmでとギリギリいける。
さらに一つに、圧倒的な小型感。
視度調整が、ダイヤルの動きと、小型具合によって使いづらい、というのもなかったことにしてしまえる。
だが、light lens labの方も合わせやすい視度に加え、ピントを合わせるために最大の枠を提供してくれるという点ではアリだと思う。M10で使用したらどうなるかは分からないが…。
価格は宮崎光学の方が1kほど安い。
そもそもこの記事を書こうと思ったのは、同じようなことをなさっている方があまりネットでいなかったことに起因する。自分が見つけたなかでは、こちらがとてもためになった。
でも、これらは、実際に使ってみないとわからない。どうしても実感として納得できない。恐ろしいものだ。だから、今のところlight lens labよりは宮崎光学かなあとは思っているけれど、これも変わっていくかもしれない。
light lens labの方は特に、また使っていくうちに気づくことがあるだろう。そうなったときはまた書き記したいと思う。需要があるかな…?
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