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イスを探して3年目

 春めいてきましたね。すでにあちこちでは早咲きの桜が咲いていて、地元の桜と菜の花の名所もそろそろ開花かな、と思われます。

チェアリングを知る

 ところでこの2年間、カメラと自転車の他に地味にハマっていることがあります。チェアリングです。
 チェアリングとはなんぞや?という方は以下を参照なさってください。とても楽しく読ませていただきましたし、チェアリングを提唱した方がピックアップされているので、分かりやすいと思います。

 これ自体はコロナ禍前から考えられていた遊びなんですが、行動自粛要請が出て、その制限のなかで、俄然注目を浴びた感があります。三密を比較的避けられますからね。

 ただ、さまざまなネットの記事や動画を見てみると、今では酒を飲むため以外にも、お気に入りのギアを持って簡単な調理をしたり、コーヒーを淹れてみたりする、あるいは自分のように自転車に乗って気に入った場所で寛ぐというような派生があるようです。コロナ禍が少し収まりを見せてきた今、きっともっと密な遊びが帰ってくるとは思いますが、チェアリングに派生がたくさんある、ということは、流行り廃りはあっても地味に残っていく文化になるのではないかな、と思います。

 要はピクニックにレジャーシートではなくちょっと心地いいイスを使いましょう、ってことですから。語弊はあるけれど。

 かく言う自分も、ブロンプトンを手に入れた頃にこの遊びを知りまして、早速試したのでした。
 こんな世の中になって、人の集まるところに行くのも躊躇するので、ますます自転車で散歩するのが楽しみとなっていたころ、仕事にかこつけて(どんな仕事だってんだ?)ブロンプトンを手にしました。ロードで遊んでいる時から、ちょっと休憩とばかりに自転車を降りようとして、はたと、ちょうどいい具合に休める場所があるわけでもない、ということに気づきました。あるいは休む際に良い景色を見つけたら、まさにその場所から眺めたいもの。イスの一つくらい持って行けたらなと思っていたところ、ブロンプトンならフロントバッグに詰め込むこともできるなあと気づき、いろいろ調べていくうちにこのチェアリングを知ったのでした。

その時の記事をぺたり。かなり高尚な書き方してますね、かっこつけめ。

イスに迷う

 たかだか椅子といえど、まあいろんな種類があるんですよね。僕の場合、自転車に積載するのでコンパクトであることが必須なのですが、この制限がよろしくない。制限があるとアレコレ試したくなってきてしまいます。

 まずはよくある小さな折り畳みイスで試してみました。チェアリングがどんなもんか知ってみようと思ったわけです。
 折り畳みですから、カバンにうまく入りません。そこでブロンプトンのラックが活躍です。しかしこれもペダリングに支障が出てしまい、こりゃ続けるなら組み立て式のやつが必要だな、と思い至ります。

菜の花のにおいってすごいですよね。この時のイスは何かのために買っておいたもの。作業にはいいのだけれど、まったりとチルするには不向きだった。でも丈夫。


そこで手にしたのがいわゆるハイバック型。

海を見に行く。思うにこのクッションが宜しくない。このクッションが人をダメにする。

 かなりお安い価格で、しかし初めてこのイスに包まれたとき、僕はそのまま眠りに落ちていました。こりゃヤベー。リビングでやってたからいいものの、このまま寝てしまったら、自転車やらカメラやら盗られても気づかんぞ、と言うくらいグッスリ。この体験がなければ、僕はイスにこんなに執着しないですんだことだろうと思います。

 そんなわけで、さらなる軽量で、可搬性の良いイスを求め始めます。そうして見つけたのが

wakufimacというメーカーのこのイス。


川岸。朝とはいえ既に暑いのもあって橋の下で。比較しづらいけれど、座面が低い。ロースタイルのキャンプにはいいのだろうけれど。側面が通気性を考慮しているので、夏にぴったり。

 1キロにも満たない軽量具合。そして、収納すれば、フロントバッグにもすっぽり収まる小型感。

イスを収納。フロントバッグからチラリとするくらい。35センチの長さはなかなか良い。

 おまけに足を折り畳めばグランドチェアにもなる。
 兼ねてよりこう言うリラックスのための椅子は座面が低い方がいいのでは?と考えていた自分にとって、これは買いだと思いました。

 ところが、グランドチェアにしても、足をつけたままにしても低めのこの椅子、立ち上がるのに難儀するのです。リクライニングも深めなので立ち上がる時かなり気合が必要です。というより一旦手を地面につけて勢いをつけないとダメ。ロースタイルのキャンプにはもってこいの低さなのだろうけれど、背もたれが短いので頭を預けられないゆえに望む程のリラックスができるわけでもなく。それでも、ゆったりはできるし、何よりこのコンパクトさには魅力がありました。
 が、決定的なダメとなった理由があります。
 小さいんですね、横幅が。
 本当にイスにカポッとハマる感じになるくらい狭い。
 つまりは僕が横に(以下略)。

 ですから、値段との兼ね合いも含めて、この軽さは、普通体型の方ならかなりアリだと思いますし、今でも持っていきます。神楽の撮影の際なんかにも後ろの方にとって邪魔にならない高さなので重宝しています。耐荷重も150キロまで。こんな細い足で、どれだけ君は頑張れるんだ!と褒めたくなるヤツです。

 さてそんななか、最初に手にしたハイバックのものはどうしたかというと、
 破れました。
 家で焼肉していた時に使っていたら、バランス崩して勢いで座り込んでしまい、背面のパイプが布を突き抜けてしまいました。きちんと嵌め込んでいなかったのでしょう。ちなみに、以前ディレクターズチェアの形した安物の椅子も同じような理由で破壊したことがあります。こちらは体重制限を超えていたのかもしれませんが、ハイバックの椅子については耐荷重は制限以内だったのですが、こりゃ仕方がない。
 妻が繕い直してくれましたがそれでも再び突き破ってしまったので、再度直してもらってからも、そのイスは座る気になれません。


そんななか、再びネットの海を泳いで見つけたのがこちら。


もうね、このゆったり感は人をダメにします。

DODのスゴイッス。
激安自転車を販売していた会社ですね。
自転車販売からは撤退して、今、アウトドア製品でなかなかなクオリティの商品名と合間って人気らしいですね。

 でも、ほんと、スゴイッス。
 高さの調整も角度の調整も可能なこともですが、なんといってもこの大きさ。体型が正方形な自分でも横幅には余裕があり、背面に関しては正方形な自分だからけっこう首あたりまですっぽり包まれます。
 これ良くない? と妻に見せたら、あれよあれよと誕生日プレゼントとして買ってもらえることになりました。それも妻自身用も含めて2脚。
 だが、そこからが問題でした。
 当時スゴイッスは人気過ぎて、手に入れるにも再販を待たねばなりません。その再販も競争だったか抽選だったかで、必ず手に入るわけではない。そんななか、妻はあれこれ情報を得て、転売ヤーの目をかいくぐり見事に手に入れることができたのです。

 他の製品がナイロン製に対してこちらは帆布製というのも良く、座り心地に関してはもうこれ以上はないって思うくらいの心地よさでした。
 しかし、これにもまた問題が。
 重さはブロンプトンが担ってくれるから良いとして、収納した際の大きさです。

バッグは手製。カメラバッグにアダプターをつけた。そこそこ横幅があるバッグだが、これにスゴイッスを入れると、カギとちょっとしたものしか入らなくなる。

 袋が、カバンいっぱい。それでいて高さがなければ良いんですが、ちょっと持ち運びには厳しいんですね。
 ついでに2脚購入したことで、車の中に入れて、どこそこに家族で出かけた時用になってしまい、自転車で使う機会が全くなくなってしまいました。これ、やっぱり家族でゆったりする時に使いたい。
 そんなわけで再びイス探し。とはいえ、まあ、もう小型のがあればいいか、それ以上に良さげなのが実店舗にあったら考えるくらいで、というゆるい調べ方をしていました。


するとあるんですね。それなりのやつが。


 あったんですよ、昨今のアウトドアブームのなかで、スポーツ用品店に行かずとも、ホームセンターにハイバックの組み立て式のイスが。もちろん本格的なものではないけれど、充分。最初に購入したものとほぼ一緒、頭に使うクッション取り付けとポケットがないのだけど、その分お得。前回破れた部分もしっかりしてそうだし、こりゃ一つ買うか、となったのでした。

 骨組みが重くて、可搬性も良くないのだけど座り心地はそこそこによく(横幅以外)、けっこう折々に使ってきました。

風の強い日でしたので自転車は予め寝かせておいた。もちろんイスも飛ぶ。
重さとこの収納の長さがネック。ちょっとバランスを崩すと倒れてしまう。それで一度ライトのマウントが破壊されてしまった。
ポケットがついてないのもちょっと残念。ペットボトルも直置きとなる。

 そんなわけで、今日は長く乗りそうだと言う時にはよく持って行くのですが、結局使わないときにはちょっと重たい荷物と化してしまいます。

 またポケットもついてないので、家にあったミニ三脚と100均でこんなものを作ってみました。

意外と安定。乱暴に扱わなければ。このアイディア、けっこうな人がやっているんです。これ以上広いトレーはちょっとバランスが怪しくなりそうだ。
冬目景、御存じですか? 高校の頃に勧められた作家さんですが、ほんわかしていて、こんなときに読むといい気分です。あと絵が上手い。美大卒だなあ…。テーブル、低めだけれど、高くもできなくはないけれど、このくらいがちょうどいい気がする。
シンカリオンも乗った。このおもちゃ変身が2パターンあるんだけれど、説明書がないと、できない。

 そんなわけで、サイクルチェアリングのためのイス選びはなかなか終止符が打てません。

 やはりね、スゴイッスに勝る座り心地は、ブロンプトンのフロントバッグにすとんと収まる形では見つからなかったんですね。あれをどうにか自転車に載せて出かけたい。鞄を大きなものにする? いやー高い(いずれ買いたいけど)し、そもそもサイズを見てみると蓋付きのカバンにはきちんと入らなそうだ。スゴイッスの足を支える四角い部分が、wakufimacの小さな折り畳みイスのように畳めたらけっこういい線いくのだがなあ、やってくんないかな…と思って久々にネットを彷徨っていたら、他社から出ていましたよ。スゴイッスと同等のサイズなのにコンパクトになりそうなのが。

MOON LENCEから類似のイスが出てた!

 スゴイッスがあまりに人気で、他社にも類似のが出てきているのは知っていましたが、今回見つけた中国のメーカー、MOON LENCEから、さらにコンパクトになるものが発売されていました。
 見た目、大きさは完全にスゴイッス。重さもほぼ同等。ただ、四角いフレーム部分が、ぱかっと折り畳めるようで、その分、収納の際の大きさを半減させることができるようです(スゴイッスの収納サイズはW39×D46×H11cm。これに対して、当該商品は17cm×37cm×13cm)。多少の誤差はあるでしょうが、充分に小さいのではないかと期待が持てます。少なくともスゴイッスサイズに展開するものが、ブロンプトンのトートにも入るのではないかと予想、その折り畳みサイズと、展開時のサイズ感のギャップにぽちっとせざるを得なくなりました。
 中国製の製品が安かろう悪かろうであった時代はもう過ぎたと思います。いい商品はいい。カメラのレンズなんかもそうですね。おまけに基準が違うのかどうなのかはわかりませんが、耐荷重はスゴイッスの100キロに比べて180キロ。おいおい、普通体型の人なら3人乗れる。そのあたりの実際はまだなんとも言えないけれど、やっぱりイナバ100人乗っても大丈夫、という絵柄が浮かんできます。お値段も半額程度。こいつは試さないでいられりょか。

そんなわけで、イス、到着。

 収納した状態を見ると、思いの外デカいです。スゴイッスと同じ形状なのだからそうなることは予想できたはずなのに、あまりに夢みがちでしたでしょうか。ラグビーボールをもう一回り大きくした感じ。この大きさを見ると、スゴイッスがどうして四角い部分まで折り畳める機構にしなかったのか分かるような気がします。この大きさになるのなら、薄い方が可搬性が高まるだろうと考えたのではないでしょうか。

袋の形は、スポーツバッグやボストンバッグのそれを二回り小さくした感じ。縦37センチ 横17と13センチ。ブロンプトンのバッグに入れると、横幅を半分以上占める。マチはいっぱいいっぱい。


 しかし、あくまで自分は自転で持ち運びたいのです。そこでブロンプトンのトートに入れてみると

 入る。
 不恰好ながらちゃんと収まるのですよ。それでいてハイバックのイスより収納したときの丈が短いのでバランスも崩しません。そう。こんなのを待っていました。

 さて、展開。見た目はスゴイッスと同等です。スゴイッスも含め、いいなと思うのがこの帆布製の記事。夏場はどうかと思いますが、難燃性ですし、肌触りも心地いいんです。

 座ってみたところ、スゴイッスとさほど変わりません。すこーし土台の組み立て機構が多いせいか、ぐらつきがちょっと多いかな、これで180キロも支えられるのかな、って思うところもあるのですが、まあ、なんとか僕でも座っていられそうです。
 ただ新品だからか、接着剤か何かの匂いがとても強い。おいおい収まるのだろうけれどこれには辟易してしまいました。

 自分の身長は158センチ、成人男性としてはかなり低い方だと思います。正方形に近い体格です。自分で言うのもなんですが。頭の方はしっかり座ると首と頭のつぎ目くらいに位置します。ですので頭を背もたれに預けるには少し足りない。頭が上を向いて首と頭のつなぎめに布がはさまり、その布が凹んで頭を支える形になります。
 これが少し浅く座るとそれなりに頭の一部が支えられる感じに。150センチ半ばの身長の方ならそれなりに頭まで支えてくれるんじゃないでしょうか。
 横幅は正方形な自分でもゆったりとしています。スゴイッスより包まれ感は薄いかな、と思うのですが、錯覚レベルかもしれません。何より体型が長方形の方なら、なにも問題無しでしょう。
 座り心地における感覚はあくまで個人的に、ですが、スゴイッスと大差ないのではないかと思います。つまりスゴイッスと感想が同じになる、と言うこと。あるいはちょっとスゴイッスの方がいいのかなあ、プラシーボかなあと思うくらいです。その微妙な差が価格差と見合うと思うかどうかが、購入の決め手になるかも知れません。あとは国産か外国産かの違いでしょうか。

【追記】この前このイスのあとなスゴイッスに改めて座ってみたところ、パイプの太さはスゴイッスの方が細いなと思った。それから座ったまま体を側面方向に向けて地面へと俯かせると、ムーンレンスの方はぐにゃりとした感触で曲がってしまう。スゴイッスはその辺がしっかりしていて耐荷重はムーンレンスは180キロとあるけれど、こんな動きには対応できないのではないか、という懸念が生じた。ちなみに僕は100キロ超えなわけで、スゴイッスの耐荷重をオーバーしているのだけど、壊れる感じはしない。

それからポケットの位置は明らかにスゴイッスが絶妙な位置にあって、ムーンレンスは側面の中頃についていて、ペットボトルを入れるのに体を捻らねばならない。そこから体を前傾させたりしたら、先に挙げたように土台が愚にゃるのでちょっと怖い。これ、きちんと座って試してみたのか、あるいは試した人が相当な柔軟性のある人だったのか、量産の都合とも思えないので、ここは工夫の余地があったのでは?と強く思う。


 ただ、収納のあり方はこっちがいい、と決められるわけではないことは言えると思います。僕の場合は、あくまで自転車に積載したいと言うのがあるので、この形がいいのですが、スゴイッスは大きい代わりに厚みは半分くらいなので、収納からのどう積載するかで好みが変わるかもしれません。車に積むなら僕はやっぱりスゴイッスです。上にものを積んだり、物が積まれた上に載せるより、幅を取らずに2個綺麗に並べて置けるので。

 そんなわけで、僕はこれに夜中に座ってみて、そのまま1時間程眠り込んでしまいました。心地いい。

 さて早速週末にでも自転車で運んでやってみるかと思った矢先、予報は雨。ライカも点検から返ってきたし、いやー楽しい週末になるぞ、と思った矢先に雨。だいたいいつもこんなです。

日曜日は晴れたんだけど

 市内の城跡が眺めがいいのでそこでチェアリングするかーと朝は6時前から出かけたところ、ブロンプトンから異音が。
 確かめるとマットガードを留めていたネジが外れているじゃないか。
 こう言う些細でありながら、つまり続行できる状態でも、一度文句がつくと気に掛かってどうしようもない。引き返して、お店が開くのを待って修繕。
 結局、近場で試してみることに。

100均で、小型のイスも買ってきてオットマンがわりに。これがかなり良い。

 日差しは上々ながらも風が強く、寒いんだか暑いんだか分からない感じ。でも、川べりでこんなふうにぼんやりできるとなると、お酒が欲しくなります。自転車なので飲めないけれど。
 あと、風に負けてよく倒れます。

 別の話ですが、自転車の修繕のために24時間営業のスーパー券薬局兼ホームセンター的なお店に寄ったらば、横幅がほぼ一緒のイスが売ってありまして、探しても置いてなかったネジにガッカリしつつ、とりあえず座ってみたところ、これがかなりの包まれ感。背もたれが低いことを除けば、ムーンレンスのイスの半値近く、スゴイッスの三分の一程度でこれは買いなんではないか、と、愕然ときたところです。
 もうね、みんなね、これ買うといいよ、これで春の陽気を体全体で浴びて欲しい。

チェアリングをみんなでしたい

 春めいてきましたね。すでにあちこちでは早咲きの桜が咲いていて、地元の桜と菜の花の名所もそろそろ開花かな、と思われます。

 と、話が最初に戻るわけです。
 友達少ない僕が誰を指して「みんな」と言っているのか、自分でも分かりませんが、このチェアリングを複数人でやってみたいのです。
 東京上野のお花見は今年は制限を設けないそうですが、少しずつ規制が緩んできたゆえ、やはり人との交流をちょっとしたいなとも思うのです。そのお花見、レジャーシートだとどうしても密接感が出てきてしまいます。がイスだったらどうでしょう。物理的に距離を空けるし、みんな桜を眺める形に座るなら同じ方向を向いていることになります。そういう点でも、花見をレジャーシートでやるのではなく、イスでやるのはけっこういいやりかたなんではなかろうか、と思うわけです。

 たとえば、自転車とかけ合わせれば、どこかに集合して、そこからテイクアウトのできるお弁当屋さんとか、お食事処に寄って、食べものを調達して、目的地に着くなりイスを展開、そこでまったりお喋りしつつ、時間がきたらまた自転車に乗って帰る、というのもいいでしょう。

 カメラ趣味の人たちとなら、目的地で集合、イスを展開して、しばしだらだら、気が向いたらカメラを花に向けたり、人に向けたりして楽しむ。

 この、なんとなく時間の無駄を楽しむ感じ、いいんじゃないでしょうか。だって人と会うのは必要最低限を求められていたわけだから、とにかく親しい人とのんびり会話できることの貴重さは、皆が感じるところのはずです。

 数年前に、妻と一緒に(妻は同じ職場)職場の人たちに案内を出して、近くの花見の名所で花見をしたことがありました。どこでどうやってブルーシートを手に入れたのか覚えていませんが、まったりとした空気感で、春の陽気にぴったりでした。コロナが落ち着き始めた今、ふたたびそんなことをしてもいいよね、という話になりました。そうやって人を集めるのなんて柄じゃないんだけれど。
 そのメンバーだった人たちの多くも、今や子持ちなので、子連れオーケーにしたら、なかなか楽しい時間を過ごせるのではないか、と妻と話しました。そんなに大勢じゃなくてもいい。ただ、そのときにも、いくつかの椅子を用意しておけば、密にもなりにくいだろうし、第一、地べたにシートを敷くより、ゆったりと時間を過ごせそうです(子どもがゆったりさせてくれないだろうことは置いておいて)。
 椅子は…僕が三つ、スゴイッスも含め家にあるのが四つはあるので、自前で持っている人もいるだろうから、なんとかなるのではないか、と……。まあ、そこは身勝手な妄想です。

 そう、ただの妄想です。どうせこれからも一人チェアリングだし、一人が気楽でもあります。けれど、この3年間、私達が我慢してきたもの、人と会って話して、笑い合うという時間が取れなかったモヤモヤも、少しずつ消化していけるかもしれない。今年はいい春であることを願いたいものです。

 あ、ひとつネックがありました。桜を見るためのサイクルチェアリングは、ちょっと難しい。県内有数の桜の名所が、家の近くだから。いや、集合場所まで走って、そこから行けばいいのか。と、アホウなことばかり考えていますが、春だからということで、ひとつ。

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