カメラはとんがっていくのか
ちょっと前にカメラのキタムラに行った。するとCanonの製品が試せるブースが設けられていた。
R5 R6 そしてR3が置いてあり、これがあの視線入力の!と試してみた。
ところがどうも僕の目には合わないらしく、狙ったところにピントが来ない。これは相性の問題もあるから仕方がない。
大きさとしては縦グリップ一体型だけど、1Dほどには大きくなく、重さもあるが重すぎるというほどではなかった。これはちょっと欲しい。が、自分の撮り方だと使い所が分からない。すんごいオートフォーカスの性能も連写性能も、僕にはオーバースペックだ。ただ、そんなものを素人でも使えるという酔狂があるのもたしかで、これは欲しくなるなあというのが本心だ。
だが、レンズはちょっと…である。85mmf1.2の大きさたるや、片手で持ち上げるのも厳しい。うっかりすると落としかねない。28-70f2もあったが、f値の関係でそりゃ大きくなるだろうよ、とは思っていたが、それを上回る太さ重さ大きさがあった。
きっと画質は最高なんだろう。でも、そこまでして撮るものってなんだろう。ミラーレスって小型化しやすいのがメリットなんじゃなかったっけ?と思う大きさだ。小型化できる分、画質を優先した結果なんだろうけど、いやはや、もうこれは手が出ない。金額的にも。
ライカはすごい、フルサイズなのにレンズは極めて小型だ。重さも総合的には軽い部類になる。さすがライカ、……となるのかもしれないが、冷静に考えるとそうはいかない。小型な分オートフォーカスはできないし、その他機能面を削っているとも言えるからだ。ただ、自分にはライカの小ささが合っている、それだけの事実だ。
に、しても、Canonのラインナップ、もはやサンデーカメラマンが趣味で使うには大きすぎる。軽いレンズやボディもあるが、シャッターフィールや、小さくても少し暗めのレンズだと欲しいなとはならない。暗くてもいいと言う人もおられるけれども。ただ、この巨大なレンズたちを持つと、まるでそれまで軽自動車しか乗ったことがないのに、急に超高級スポーツカーを運転させられる気分だ。画質を多少犠牲にしても明るくて使い勝手のいいレンズと、質感はいいが、軽くて小型のボディなんかは出ないものか。そう思って、お店をあとにしたのだった。
一方、趣味の楽しみの一つに、プロが使うものを自分も使えるというのがある。カメラもそうだ。必要なくてもすごいのを欲しくなるのはもう仕方がない。ロードバイクも同じでプロが使うレベルのものを使いたいとすごいパーツをつけたりもするし、料理だってプロの機材を使ったりする。憧れを買うとでも言えばいいのか、そういう楽しみがあるのも確かだ。僕もそれで5d2を買ったし、ライカもなんとかして買った。
けども、プロはプロで使いどころで機材を替えるし、友人の結婚式に5d2持っていったら、フォトグラファーは20dを使っていたとか、自分のときの前撮りで6D持って行ったらフォトグラファーも6Dだったとか、県内の大きな美術展で特別賞撮った人のカメラはコンデジでしたとかザラにある話だ。
写真が好きか、カメラが好きかの違いではある。しかし複数のカメラを持つ人なら使い分けはすることだろうし、好きなものを使えばいいって話だ。そんなとき、あのCanonの巨大なレンズも使う場面があるかもしれない。そう考えて、でもその、かもしれないを超えた存在感が、あのでっかいレンズたちで、あれを使うシチュエーションって限られるのではないか。ポートレートとか、祭りとか、僕なら神楽の撮影とか。
そういう意味では、実はライカと同じことかもしれない。使い所が特化しちゃっている。それは面白いことだ。万人受けではない。そう、それは面白いことだ。
カメラが売れなくなってきている今だからこそ、そんなとんがったものが出されている、ということなのかもしれない。こうして物欲はこっちのお財布事情関係なしに刺激されていくのだ。
買えんけども。