SUMMICRON 90mm 3rd
ともすればライカボディを手にする前から、これ買おうかなと思ってきたレンズ。昨年縁あって手に入れた。
フジのカメラにつければxf90mm よろしく135mmになるので、いいな、と思っていた。
価格的にもズミクロンの方が高いので、なぜわざわざこちらを、と今となっては思うのだが、多分なんとなくいつかはライカ、という気持ちがその頃からあったのだと思う。
そうした思いは、数年後に果たされることとなる。
凡庸と評する記事も見たが、もしかするとこのレンズ、いちばん好みかもしれない、とすら思うことがある。アポスコパーも持っているが、あちらがクッキリ描写であるなら、こちらは少しふんわりとピント面を包み込む優しさみたいなものがあると感じる。それでいて立体感は使い方しだいではF2のそれとは思えない浮かび上がり方をするので、いやはやこれはもう恐ろしいレンズだ、と思う。
現行の90mmはアポズミクロンであり、価格も僕が手に入れたズミクロンの5倍くらいはするから、価格的にもズミクロンで充分だ。
レンズのデザインとしてはズミルックス75mm 2ndとほとんど同じ。フード組み込み式でこちらの方が幾分か細身で軽い。感覚的には75mmは片手で持ち続けるのは辛くてすぐに両手で支えたくなるが、90mmも同様であるものの、そこそこ頑張ることはできる。アポスコパーの軽さと比べれば雲泥の差ではあるが、じゃあ撮影目的の旅に出るとしてどちらを持っていくかとなれば、ズミクロンを選んでもいいかな、となるくらい。ズミルックス75mmはちょっと躊躇する。メインで使いたいときは持って行くし、実際東京旅には持って行ったけれど。ただ2つ同時に持って行くのは辛い。東京のときは元々ズミクロンがなかったのもあったけど、ズミルックス75mmをメインにしてズミクロン50mmとアポスコパー90mmをサブの感覚で持って行った。スナップに75mmは、僕の踏み込めなさにはちょうどいい。だがアポスコパーを振り回して感じたが、90mmも離れたところから切り取る撮り方をしていくには良いと思う。おまけにある距離では被写体が浮かび上がってくるし、そうなる状態が僕の撮影距離に合っていたりするので、都市部のスナップでも使いたいと思っている。
個体差なのかどうかは分からないが、動画でも同じことを言っておられる方がいらっしゃったので、このレンズの特徴かなとも思うのだが、ピントリングは重めだ。ちょっとヨイショってくらいの力が必要で、素早いピント合わせには不向きだなと思う。スカスカよりはまったくもってマシだが。
このレンズを使うときは必ずマグニファイアを使う。というか常時つけているが、特に90mmF2だと、ピント合わせはシビア。たぶんマグニファイアをつけても精度的にはどうか、と言ったところ。でも、だいたい多くの人が35か50かを使うライカにおいては、90mmというのは、一つの特徴を帯びることになるとは思う。ファインダーの枠の大きさとしてはマグニファイアをつけている限り狭いと感じることは僕個人としてはなかった。
このレンズ、ネットオークションで購入したものである。ネットオークションは避けた方がいいとは言うが、カメラ店の販売額より安めに設定されていることが魅力でもある。
こちらの細かな質問や、要求(画像の追加)にも快くお応えいただき、それらをコミで信頼できると判断して手に入れることになった。実際、整備に出したが、簡単なホコリの清掃を行なってもらっただけで返ってきた。運も良かったのだろう。が、ズミクロン35mm7枚玉もあとで出品されていて、これがまた、なんでそんな価格で?という衝撃プライスだった。よもやニセモノ…ではあるまい。やりとりをしてきて、そう思う。
もともと、意識的に購入して使い始めた単焦点レンズが85mmだったから、その距離感に違和はない。懐に入られたらちょっときつい焦点距離ではあるが、スナップする上では、距離を稼いでくれ、近づけば、被写体をどんといっぱいに写し出してくれる。
スナップは広角でうまい人ほどうまい、という話があるが、これは本当のことだと思う。画面の整理がしづらいのだ。だからむしろ、この整理をしやすい90mmや75mmというのは、僕にとっては楽しくスナップをするためのレンズとしてますます活躍してくれるだろう。我が家にやってきてその日、ほんの少しの時間だけ、試し撮りをした。息子を撮ってみた。とても繊細な写りのように感じた。おお、と呟いた。これだけじゃ、ただのレンズバカでしかないが、だからこのレンズでいい一枚を狙っていきたい、と思う。
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