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FUJIFILMのカタチは撮影スタイルのカタチ。

 FUJIFILMのXマウントカメラを俯瞰すると、いろんなスタイルのものがある。
・コンパクトのx100シリーズ
・proシリーズ
・Eシリーズ
・Tシリーズ
・Hシリーズ
・Sシリーズ

(追記。Aシリーズ Mシリーズがあったことも付記する)

他のメーカーだとここまでシリーズ化しているところはあまりない。

CanonはRの後のナンバーはだいたいカメラのヒエラルキーを表しているが、FUJIFILMはナンバーはそのシリーズの何代目かを示し、アルファベットはそのカメラのカタチを表している。
SONYもαの後のナンバーはヒエラルキーだが7のあとはSだったりRだったり Cだったりと、カメラに多少詳しくなければ違いが分かりづらいことになっている。一度意味が分かれば一発明快なんだが。要はFUJIFILMと同じで、アルファベットはカメラの方向性を示している。無印ならノーマル、Rは高画素、Sは動画向けあるいは高感度、Cはコンパクトというように。

FUJIFILMのアルファベットは、SONY同様カメラの方向性を示しているわけだが、もっといえばそのカメラのカタチを表している。個人としては、あまりにその枠を広げ過ぎてやいないかい、と思わないでもないが、ただ単に性能面でのヒエラルキーではないところが面白いなと思う。

スナップで使いたいのなら、proシリーズやより小型をと考えればEシリーズを、動画にふりたいならHシリーズ、小型でなんでも撮りたいならS、写真を突き詰めて行きたいならTというように、こんなに撮影スタイルに寄り添ったカタチを提供しているメーカーはあまりない。
 だから、同じ世代で価格差や性能差は確かにあるものの、だからといってそのヒエラルキーがそのままカメラを持つことの満足度にまで差がつく、というわけではない。どれを持っても、その機種なりの、ここがいいんよ、という強みがある。

 言うなれば、カメラのカタチがきちんと自身のスタンスを持っているのだ。そのスタンスをきちんとカタチに表しているわけだ。



 内田ユキオさんが書いたX100の本がある。これが他の本のハウツー本と趣が違っていて、とても読み応えがあったのだが(この頃からFUJIFILMはカメラを機能の高さだけではなく、撮る楽しみを提供するものとして扱っていたように思う)、そこにライカとの組み合わせで使ってみるときの所感みたいな話があった。そこにライカは写真として撮れる世界のほんの数割しかライカでは撮れないが、僕が撮りたいのはその数割だ、というようなニュアンスの言葉があったと記憶する。僕はその言葉にいたく感心した。
 今やXはレンズ交換式となり、まだ性能として追いつかないところがあるとは思うものの、基本他のメーカーのものが撮れるものならどんなものでも撮影できるシステムになっている。
 それでも、このアルファベットが示すそれらのカタチは、やはりどこか一点、ある分野に特化するために具現化されたもののように感じてならない。
 写真として撮れる世界のあらゆるものは撮れるが、その中のほんの数割の世界に関しては、このカメラで撮ることが最高ですよ、とでも言うかのようだ。そんなカメラ群に、ヒエラルキーは必要ない、とも言える。値段の問題はあるけど、自分のスタイルに合ったものを使えばいいわけだ。
 だからカメラを始めようとしている人に、FUJIFILMを勧めるのはちょっと難しい。確固としたスタイルを持つものを、まだスタイルが確立していない人には、どうしても勧められない。
 けれど、もしそれでもカメラ何がいい?と、聞かれたら、なんでもいいよ、今シェアが大きいのはココだし、これもいいよ、なんなら予算と見た目で決めちゃって大丈夫だよ、と言いながら、しれっとFUJIFILMのHPなんかを見せたりするかもしれない。

 いや、訂正。兄からCanon壊れちゃったんだよね、と言われた時は、強く勧めたんだった。シグマの 50mm があったにも関わらず(75mmとして使っていたらしい)、今後フルサイズに行くつもりがなければ、フジがいいよ、レンズもフルサイズよりは安価だよ、色きれいだし、レタッチしないんならほんとにFUJIFILMがいいよ、レンズ? 広角と中望遠あたりがあれば子どもも撮れるよ、ほらxf90 mmとか神レンズって言われてんだぜ。

 完全に僕の好み押しだ。
 そんなわけで兄はxs10とxf90mm xf23mmf2を購入したのだった。

 FUJIFILMはカタチをかえてくる、だからさまざまなスタイルに寄り添ってくる。これはもう、それだけで勧めたくはなるよね。

 個人としてはいささかシリーズ増やしすぎてないかいとは思わないでもない。けれど、その枝分かれは需要を意味するし、需要を作って来たとも言える。ミラーレスでは後発のFUJIFILMが、それでもこんなふうに発展してきたのは、こんなところに理由があるんだろうな、と思う。

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