字通で解く中国語 糕・仅・擅
蛋糕
中国語でケーキを蛋糕という。蛋は日本語ではタンパク質を「蛋白質」と書くように、鶏卵の意味。日本人はこういう虫のついた漢字を嫌うので、蛋白質はカタカナで書かれることが多いが、中国人はまったくこういうことに頓着しないらしい。
糕は日本語では用いない字で、こなもちを意味する。声符は羔で、生まれ落ちたばかりでようやく立ち上がった羊の象形。中国語にも羔の字は残り、子羊を意味する。スケープゴートのことを替罪的羔とか替罪羊という。
仅
仅は僅。汉は漢で、旧字は漢だから、堇を又の形に簡略化する。堇は飢饉のときに巫女を焚く儀式の様子で、飢饉や「僅か」の意の字に使う。仅は中国語では僅かの意から「〜だけ」「〜のみ」の意味で使う。
独擅場
日本語で「独壇場(どくだんじょう)」というのは厳密には誤りで、正しくは「独擅場(どくせんじょう)」とする。擅はほしいままにする、意のままにする意で、独擅場の出典は杜甫の詩「畫手、前輩を看るに 呉生遠く場を擅にす」から。現代中国語でも擅长といえば「得意とする」の意で、擅场で「抜きん出る、他を圧倒する」の意になる。