ユングの考えた集合的無意識と、増殖のイメージ
〜2月21日 19:30
マリリン・モンローの写真をならべたウォーホルの作品。シルクスクリーンという版画の特性を生かしながら、同じ絵のなかでモンローは複製され、絵そのものも複製され広がってゆく。
その姿は、どこかしら現代の曼荼羅(マンダラ)を思わせる。
そう思ったのは、なんといってもその形だ。たんなる思いつきだというかもしれないが、それが意外とおもしろい連想につながったりもする。
ウォーホルはキャンベル・スープの缶をならべたときのように、奇抜な色彩をほどこしたマリリン・モンローの顔を縦横に配置している。中心に座るのは大日如来ではなく、モンローの姿を借りた資本主義だ。しかも、どこを見てもモンローだらけだ。これは均質化という神経症におちいった資本主義の似姿でもある。
ウォーホルが『マリリン』を制作する35年ほどまえに、ヨーロッパで曼荼羅に出会った精神分析学者がいる。カール・グスタフ・ユングだ。そのころ精神のバランスを崩していたユング自身の夢に、しばしば円形があらわれていた。そのかたちが曼荼羅に似ていることを知ったのだ。
インドがで生まれた曼荼羅とユング
曼荼羅は古代インドを起源とし、密教の経典にもとづいて描かれたものだ。主尊を中心として神仏があつまっている楼閣を、図像化したとされる。
曼荼羅という漢字自体には意味はなく、サンスクリット語を音訳したものにすぎない。漢字に意味はなくても、マンダラという言葉がさし示すものはあって、もともとは「丸い」という意味がそこにあった。
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1月22日 19:30 〜 2月21日 19:30
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