見出し画像

【本づくり】紙に刷り出して、本のカタチにしてみた。

 わたしは、今、自分で書いた小説『すべてのことばが起こりますように』を、自分で本にして出そうとしている。今まで本を出したことはない。何もかもがあまりに手探り。とはいえ、ネットで調べたり、人に訊いたりして、少しずつカタチになってきている。

 本づくりも最終フェーズにさしかかってきている。今、ちょうど本のデザインをやってくれる人が、表紙のデザインをやってくれている。
 その間わたしは、組版の最終チェックを行うことにした。今回の本の判型はB6判。なので、B6の紙に実際に印刷して確かめてみた。

B6の紙に印刷してチェック!

 こんなわざわざ塗りつぶして隠さなくても、そもそも誰もしっかり画像の中の文字まで読まないだろうが、一応隠す。発売までは隠す。という謎の意地。わたしはすごくしつこい。わたしの「良いところ」はしつこさであるが、それはわたしの「悪いところ」でもある。つまり、「良いところ」と「悪いところ」ってのは、たいてい同じものだってことだ。二つに分けてどっちでしょう? というのは、そもそも「問い」ですらないのだ。
 紙の束が2パターンあるのは、一度刷り出してみて「なんか文字大きい!」と思い、全体を95%に縮小し(デザインを損なうような雑さだ)、もう1パターン刷り出したからだ。結果、95%に縮小した方が、しっくりくる気がした。
 ほんとうにわずかな文字や余白の大きさの違いだが、これが見たら一目瞭然。人間の目はほんと正確だ。それは、精密に捉えているというよりはぼんやりとアイマイだからこその正確さだ。

 印刷もこうやって刷り出すまでに何度も失敗をしている。pdfがうまく刷れない! 微妙に位置がズレたりしてしまう。それに、「ゲラ」というものはもっとトンボといわれる十字の線が四隅にあるべきではないのか。それがない。なんかよくわからないが、indesignを自分でやっていればと思うが、もう後の祭りだ。刷り出すのは慣れていないと案外難しい。

 最初の15ページほどの紙をうまく折って、背中を洗濯バサミで留めて、本のカタチにしてみた。

中扉
全体像

 こうしてペラペラと読んでみると、なんかできてきたな。てか、B6ってけっこう小さいな。ほんとうは最も一般的な単行本のサイズの四六判にしようかと思っていたのだが、本文用紙の紙の関係で、B6判にしたのだった。B6判は四六判より縦に6mm小さい。この小ささが意外と歴然とわかる。しかし小さくて、かわいいかもしれない。小説だとあまりないサイズだ。そんな気がしてきた。
 ああ、これに表紙がついて、長野県にある藤原印刷で印刷されて、ちゃんと本になって、と想像が全くできない。こんなに長々書いているわたしだが、わたしには本ができているイメージが全く想像できていない。ほとんどできないような気さえしている。何か、とんでもなくしかしあっけのない何かが起こって本づくりは中断されるんじゃないだろうか。ほんとにおれがつくるのか。今、すごくつまらない喩えを出そうと思ったが、やめた。いや、できるか。できるに違いない。というか、わたしがつくるんだ。この一連のぐだぐだとした行ったり来たりは「不安」とは違う。自分でこれだけやっておきながら、どこか他人のように、他人事なのだ。「おれがやった! おれがやった!」という態度では、意外とないんだ。ふしぎなもんだ。

 明後日から北海道に行く。初めて北海道に行く。前からずっと行きたかった。都合がついて、山下澄人さんのやっている「ラボ」にも行くつもりだ。そのためだけに北海道に行くわけではないが、うまく日程が合った。北海道でのことを、この本づくりの文章は別に記録でも日記でもない、そんなつもりはないのだが、番外編として書いてやろう、と今わたしの頭は意気込み始めている。

いいなと思ったら応援しよう!