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本が、できかけている!

 わたしは、今、自分で書いた小説『すべてのことばが起こりますように』を、自分で本にして出そうとしている。今まで本を出したことはない。何もかもがあまりに手探り。とはいえ、ネットで調べたり、人に訊いたりして、少しずつカタチになってきている。


 本ができかけている。
 この前、本のデザインをやってくれている人と話して、表紙のデザインがついにかなり決まってきた。以下の画像の通りだ。といっても、まだ見せることができず、だから律儀に隠しているのだが、隠しているのでこうやってわざわざ上げる必要もない気もするが、何かの「跡」として残しておこう。後々、振り返るかどうかなんて気にせずに、ただ「跡」として。

今作っている本の表紙(仮)

 わたしはこの表紙を見てすごく嬉しくなった。とてもとてもいい絵だ。いいデザインだ。それに一気に本ができてきたという実感が少し湧いた。まだ仮の仮だが、これから仕上がっていくのがすごく楽しみだ。

 中身も方もなんども繰り返しチェックをしている。実際のB6判の紙に刷り出して、何度も読んでみる。

B6判の紙に刷り出して、何度も読んでみる。

 おもしろかった! 間違いなく本にしようとしてよかった。
 だが、ミスは何箇所も見つかった。変なところでの改行など。それ以上に、今設定している文字の級数(14Q)だと大きい気がして、一つ級数を下げる、つまり小さくすることにした。すると、1ページに入る文字の量が変わるから、全体のページ数が変動する。
 実は、こうした単行分サイズの本はページ数が16の倍数になっていなくてはならない。印刷する紙の関係だそうだ。今回は192ページにしようと決めているから、文字の大きさを変えても、それを維持するために、うまいこと内容を変化させなくてはならない。現状の文字の大きさだとページ数は192ページに既にぴったし決まっていてこれを直さなくてはいけないのか……。めんどうだな。でもやるか。

 孫娘は阪神大震災でボランティアを募ったことから、「ボート」のリーダーの女性が社民党で出馬したとき、選挙事務所から電話をかけつづけたこと、電話に出た相手の選び方、手応えの模様を語ってきかせた。その頃には、ようやく老人たちは疲れてきた。
 いつも疲れによどんでいたせいか、疲れたというふうに感じることが新鮮に思えた。それまで、一、二時間、厚みのある波に快く洗われてきた証拠であった。 

小島信夫『うるわしき日々』p.166-167

 
 いや一つ大事なことがあった。
 読み返していて、最初の短編だけがどうにも気に入らなかった。五つ作品が入っているうちの一つ目だ。まあこれでもいいかとも一瞬思ったのだが、いやダメだ、と最初の短編を書き直すことにした。書き直すというか、新たに一つ短編を書くことにした。ここ三日間くらいはそれを書いていた。十数枚の短い話なのだが、元あった短編よりおもしろい、何よりこのわたしが納得のいく短編がかけたと思う。よかった! この短編を書くにあたり、もちろん頭にああしたことこうしたことを思い浮かべながら書いたのだが、そうしたことは後々書くことになるだろう。後々っていつもいつもいってるが、いつや!

 来週、今度こそ本に使う用紙を最終決定するために、藤原印刷に伺う。何と数ヶ月ぶり。だいぶ待たせてしまった。スミマセン。しかし楽しみだ。いよいよできてきたなという感じだ。この調子なら三月には出るのではないか。ぐっと進展した。



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