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代替肉を巡る特許の争い -その5
今回の記事と同様の内容を、Spotifyのエピソードにも上げましたので、音声の方がご都合の良い方は、下記からお聞きいただければと思います。
半年ほど前に、Impossible Foodsが競合他社Motifを訴えた特許侵害訴訟に関連して、MotifはアメリカのIPRという制度を用いてImpossible Foodsの特許をつぶしにかかっており、そのIPRの帰趨について記事を書きましたが、IPRは原則1年以内に審理終了とすることが義務付けられていて、記事であげたUS特許9943096号(以下、’096特許)に関するIPR(IPR2023-00206)は、Motif側の主張が認められ、’096特許は、チャレンジされたすべてのクレームについて、無効との判断がされています。
一方、先日LinkedInより下記記事を取り上げられている方がいて、
この記事によると、結局この訴訟は、双方の下記合意により、終結をしたようです。
本日、デラウェア州の裁判所に提出された合意により、Ginkgo Bioworksを含む訴訟中に追加された被告を含め、争っていた当事者は、訴訟を再提起できない形で取り下げることに合意しました。また、各当事者は自らの費用、経費、弁護士費用を負担することにも合意しています。
3者が発表した共同声明によると、合意の条件に基づき、Impossible FoodsはMotif FoodWorksのヘム関連事業を引き継ぐことになります。
各当事者は、革新、協力、公正な競争を通じて、植物ベースの代替肉産業を推進することに引き続き取り組んでおり、植物ベースの食品が世界的な環境問題に対処しながら、消費者に美味しく栄養価の高い選択肢を提供する上で重要な役割を果たすと共に信じています。
この解決は、Impossible Foodsの業界におけるリーダーシップと、ヘムに関連する製品ポートフォリオの強みを裏付けるものです。
なお、上記IPRの結果については、Impossible Foodsがアピールをしており、Motifもクロスアピールをしているようですが、上記合意があったことからすると、これらアピールも取り下げられるのか、特許の有効性については引き続き争われるのか、少し分かりませんが、Impossible Foodsが今後Motif FoodWorksのヘム関連事業を引き続くことになるのであれば、特許の有効性については引き続き確認がされるようにも考えられます。
なお、前回の記事でもお伝えした通り、Motifから申立のあった7件のIPRのうち6件は申立却下となっていて、すなわちその6件のImpossible Foods社の特許は有効であるということになります。
よって、今後、米国における大豆由来のヘモグロビン技術に関しては、Impossible Foods社の特許のケアをしなければいけない点に留意する必要があります。
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