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ぜんざいの発祥

私が子供の頃、お正月に「ぜんざい」を食べていた。
祖母が作ってくれていたそれは今でも甘くて忘れられない味だ。

島根県の出雲地方ではお正月のお雑煮に「ぜんざい」を食べる習わしがある。
小豆雑煮ともいう。

今日はそのぜんざい発祥について書いてみようと思う。

発祥説の一つに出雲の『佐太神社』で始まったという話がある。

旧暦の10月、全国の八百万の神々が出雲地方にお集まりになる。
この時期、全国では旧暦で「神無月」と言うのに対して出雲では「神在月」と言う。
まさに出雲では神がかった期間だ。この佐太神社でも神在の神事が執り行われる。

神様が全国へお帰りになる11月25日、
佐太神社では神等去出(カラサデ)神事で「ぜんざい」をお供えする。

神事で神様にお供えしていたお餅を「神在餅(じんざいもち)」という。
この「神在」(じんざい)が訛って「ぜんざい」になったというのだ。

ご存知の通りぜんざいは小豆と餅を砂糖で煮た食べ物である。
小豆と餅はもともと神在祭での神様へのお供え物た。

小豆はその赤い色から太陽を連想させ魔除けの意味もある。
また薬膳としても使われ健康にも良くお正月に食べると縁起の良い食べ物だ。

そして小豆は煮ると甘みが出る。
今でこそ砂糖を入れる甘いぜんざいだが、昔は砂糖は高価で
ぜんざいには入っていなかった。そこで小豆を煮ることで甘くしていた。

一方、餅はエネルギー補給に最適な食べ物だ。

だがお供え後の餅は、時間が経つと固くなって食べらなれくなっている。
お正月にお供えした鏡餅が固くなりひび割れてをしているものを見たことがあるだろうか。

ハンマーを使って割らないといけないくらいカチカチになっている。
昔の神在神事は長い時で1ヶ月もあったそうなのでなおさらだ。

という訳でお餅を煮て柔らかくし食べる。
焼くという方法もあるが昔はお正月の期間は食べ物を焼いてはいけなかった。
とんど焼きをするまでは食べ物を焼いてはならない。
日持ちのする食べ物を詰め合わせておくおせち料理もそういう理由で始まった。

こうして小豆とお餅を煮て作る「神在餅」が「ぜんざい」の誕生へとつながった。

今このぜんざいを、発祥の地である佐太神社前のカフェで
週に一度食べることが私の中で幸せな時間となっている。


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