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北関東で食べておきたいパキスタン料理を知るための10皿

パキスタン料理を食べたことありますか?

私がニューヨークに住んでいた時、いつも仕事場の近所で食べていた料理は、5ドル程度で食べられるパキスタン料理。毎日のようにゴロッとした大きな羊肉の入ったカレーや、スパイシーでちょっと塩味濃いめのビリヤニを食べていました。私にとって忘れられない味です。

東京には星の数ほどのインド料理店があれど、パキスタン料理を名乗る店は本当に少数。なかなか食べるチャンスがありません。そこで、目をつけたのが北関東!パキスタン人は、東京以北の各県に住んでいるので、本格的なパキスタン料理が群雄割拠しているんです。今回7月から10数回に渡って、北関東のレストランや食材店、モスクなどを回り、自分なりに印象に残った料理を10皿選んでみました。

カレー業界に詳しくない私が書いたので、ツッコミどころもあるかと思いますが、カレークラスタの方々、お手柔らかに...

①ニハリ

さて、トップの写真は「ニハリ」です。インスタ映えする見た目のインパクトやご馳走感から多くの人が、パキスタン料理店でこれを選ぶんじゃないでしょうか?ドロっと煮込んだ普通のカレーとは一線を画す旨味とネットリした食感は、どの店でも間違いない美味さを提供してくれます!

大抵、牛または羊のすね肉を骨とともに煮込んだ料理ですが、ウィキを見るとその他の肉でも「ニハリ」はあるようです。骨がドンと1本主張しているものもあれば、ツイッターの1枚目のように切り分けている店もあります。

ちなみに、上記ツイッターにある写真は、順番に茨城県下妻市の「ブルームーン」(ここはインドのグジャラート出身のムスリムの方が作っている店なので厳密にはインド料理ですが。。。)、群馬県伊勢崎市の「マーディナ」、茨城県坂東市の「パミールマート坂東店」(上のインスタと同じです)となります。

ちなみに、トップの写真は、最近オープンした群馬県伊勢崎市の「ペチャンレストラン」のものです。どこも味付けやとろみなど様々な個性があり、北関東の「ニハリ」を食べ比べるだけでも充分楽しいと思いますよ。

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この写真は、金曜の夜に伊勢崎市にあるパキスタン人が集まるモスクです。このモスクでは、金土でこのように食事を出すと、モスクの方が言っていました。違うという話も聞きましたので、興味ある方は確認してください。

普通、モスクなどで提供されるものは、ダールなどのカレーが出て来るものと思っていましたが、この日はなんと「ニハリ」がサーブされていました。パキスタンの方々が如何に、この料理が好きなのかを伺える1枚ではないかと思います。

②サーグ(パラク)

インド料理全般で出て来る「ほうれん草のカレー」。「サーグ・チキン」とか「パラク・パニール」などは、都内のインド料理でよく見かけます。ただ、東京で食べるとスープ状あるいは、ピューレのようなほうれん草のカレーとなって出て来ることが多いかと思いますが...

見てください!これが北関東スタンダードです!葉っぱ感がドッシリ!「ほうれん草のピューレ」ではなく、まさに「ほうれん草の煮込み」のようなカレーとなっています。少し苦味さえ感じる濃い味と絡まったチキンやパニールがとても味わい深く、感動しました!東京でも探せばあるんでしょうが、これが普通に食べられる北関東って最高だなと思いました。

ちなみに上の写真は、群馬県伊勢崎市にある「パクカレーレストラン」。下の写真は、栃木県小山市に最近出来たという「ラホーリーカーバーレストラン」です。

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ちなみに、私は今回のパキスタン料理食べ歩きで、初めて「サーグ」と「パラク」の違いを学びました。どちらの名前も日本語のメニューを見ると、ほうれん草と訳されていますが、「サーグ」は青菜全般の意味で、「パラク」はほうれん草だけを指すようです。

どちらもほうれん草で間違いではないですが、日本では主にほうれん草が使われているので「パラク」の方に統一した方が良いのでは?

③パキスタン中華

今回、北関東を巡って生まれて初めて食べたジャンルの料理、それが  「パキスタン中華」!!

インド中華が最近ネットなどで話題に上がったりしますが、パキスタンも負けじと中華が好きみたいです。1930年代にカラチにオープンしたのが始まりとウィキに書いてありました。パキスタンに行くと中華プラウや中華サモサなどもあるらしいです。上の写真は「チキン・マンチュリアン」。お店は、栃木県小山市にある「ザイカ」です。

※その後「ザイカ」はオーナーが代わり、同じ場所に「ダルバール」という店になりました。残念ながらパキスタン中華はここでは食べられません。ただ、同じ小山市に「スズキパンジャブ」というインド料理店でインド中華を食べられますので、そちらでチキンマンチュリアンなどは食べられます。

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この店のメニューには、このような中華セクションがあるので、パキスタン中華だけを食べに来ることもできますよ。

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また、パキスタン中華でもっとも人気っぽいものが「ホット&サワースープ」。日本では、酸辣湯になります。パキスタン中華のメニューがない店でも普通にありました。味付けが、パキスタンらしくチリやジンジャーが中国のそれより効いている感じでした。

写真は、栃木県小山市に最近できた「ラホーリーカーバーレストラン」のホット&サワースープ。このスープは、都内池袋にあるパキスタン料理の老舗「マルハバ」でも見かけました。

④カバーブ

「カバーブ」とは、パキスタンの肉料理。炭火などで焼き鳥のように肉を焼いたり、揚げたりして調理します。中東のケバブの親戚的立ち位置かと思うのですが、ウィキによれば、パキスタンの「カバーブ」はムガル帝国の料理として成立したと書かれていました。

以前は、中東のケバブが変化したカレーのおまけ(セットでついてくるようなもの)のように思っていたので、あまり注目したことはありませんでした。しかし、北関東の店で食べ歩いたことで、中東の「ケバブ」から変化したこの料理が、パキスタンを代表するに値する料理「カバーブ」だということを気づかせてくれたのです。

まずは、この写真です。なんと大きな鉄板に大量の油を入れて、薪を使った火を使って多くの「カバーブ」を一度に揚げています。これは「チャプリ・カバーブ」。ビーフを使用し、豆やスパイスなどを混ぜ合わせて揚げたハンバーグです。

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この店では、わざわざ5万円以上もする大きな鉄板をパキスタンから輸入した上、薪の炎で揚げて作っています。というのも、これくらい大きな鉄板を使って薪で揚げないと美味しい風味がうまくだせないからなんだそうです。なんというこだわり!!

その大きな鉄鍋で揚げたものが、この写真。あるお店で、金曜日の礼拝の時だけ揚げているのだそうです。豆とか野菜とか混ぜ込んでありまして、さらに外はカリッカリッ!中はふんわ〜りとしており、その食感と具材のハーモニーが最高です。行く価値めちゃくちゃあります。

お店は、アジアハンター小林さんが出版している「日本の中のインド亜大陸食紀行」に詳しいことが掲載されておりますので、是非そちらをご覧いただき探してみてください。

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そしてこちらは、栃木県小山市の「ラホーリーカーバーレストラン」の「チャプリ・カバーブ」。緑のソース(パクチーソースかな?)をかけて食べます。こちらは、より肉感が強いため、日本のハンバーグに近い味でした。

その他にも、中東で有名な串にさして作る「コフタ・カバブ」に似ている、「シーク・カバーブ」。インドと違い、牛ひき肉を使う場合もあり、これもパキスタンならではの特色と言えるでしょう。

まだ食べていないカバーブがいくつもあるので、今後も北関東のパキスタン料理店に行ったら、パキスタンならではの味付けのカバーブを食べていきたいと思っております。(写真は上野で行われたパキスタンフェスタより)

ちなみに、この最後の写真は千葉県野田の名店「ハンディ」の「シーク・カバーブ」。スパイスの使い方が絶妙です!ここは、厳密に北関東とは言い難いですが、是非食べて欲しいほどの「シーク・カバーブ」なので入れちゃいました。こちらも是非!

⑤ナムキン

この「ナムキン」という料理(これに、肉の名称マトンやチキンなどがつく)は、今まで私が一度も食べたことのないパキスタン料理でした。代表的なパキスタン料理と言えるのかどうかわかりませんが、私にとっては10皿の一つに入れたいほど、この国の料理の印象を変えさせてくれたので紹介させていただきます。

北関東界隈には、パキスタン北部からの人が多く住んでおり、この料理もその地域のメニューなのだそうです。見ていただくと分かる通り、カレーというよりは、塩と肉の脂で煮込んだものです。こんな、スパイスを使わないシンプルな料理があるんだと驚きました。

食べたお店は茨城県筑西市にある「ナンアンドカレーハウス」という日本人にわかりやすい名前のお店。その名前に惹かれてなのか、北関東では珍しく日本人客の方が多いパキスタン料理店のようです。店長は、イスラマバード出身で日本語が堪能。料理について色々なことを教えてくれるので、日本人には入り安いお店になったのでしょう。

ちなみに「チキンナムキン」は、ツイートにあるメニューの写真からも分るように、煮込みというよりローストに近い感じのようです。このお店は、土日となるとメニューに載っていない料理なども出してくれるそうなので要チェック!

⑥ハリーム

インドやパキスタン料理の名前って、サグとチキンで「サグ=チキン」のように言葉を繋げたものが多いですよね。そんな中に言葉一つで完結している料理って覚えやすくないですか?ましてや美味しかったら忘れられなくなります。その一つがこの「ハリーム」です。

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見ての通り見た目のインパクトとご馳走感の無さが、非常に残念な料理です。が!この美味しさと「ハリーム」という覚えやすい名前のおかげで、誰もが記憶に焼き付けられてきたのではないでしょうか?

ただのドロッとしたスープだろうと思いながらスプーンで口に含むと、肉の旨味たっぷりの濃厚な味わいが広がります。さらには、それにつけて食べるロティとの相性は最高!ハリームは、コムギ、オオムギ、レンズ豆に肉が必ず入っているそうなので、ものすごく栄養価の高い料理と言われています。

写真のハリームは、牛を煮込んだもので、群馬県伊勢崎市の老舗パキスタン料理店「マーディナ」で食べたものです。

「ハリーム」は、英語ウィキを見るとアラブ料理のHareesが起源と書かれていていました。「パヤ」という「ニハリ」に似た煮込みも中央アジアが起源と言われているので、言葉一つの料理って外来語的な名前なのでしょうか?でも、調べたらニハリは違った。。。

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当初、この「パキスタンの10皿」の記事は、8月下旬アップを目標にしていました。書く前にいくつかの料理が頭にあったのですが、その中の一つに「パヤ」を想定していました。

しかし、10月12日現在、結局この料理に出会うことが出来ず...

なぜ「パヤ」がないんだ!と嘆いていたら、基本パヤは精を付けるための冬の料理だよと教わりました。なので、「パヤ」を10皿に入れることができませんでした。残念!!

いずれにせよ、この「ハリーム」「パヤ」「ニハリ」は、初心者でも覚えやすい美味しいパキスタン料理として、私がボケ老人になっても忘れることはない料理かと思います。最後の写真は、パキスタン産の缶詰。上記3品の商品が見て取れます。

⑦カブリ・プラウ

今回、この記事を書こうと思った何年も前に、北関東のインド・パキスタン・バングラデシュなどの料理店を巡って書き続けている「なおちん師匠の日記」のブログを見つけました。

そこには、なんと日本では貴重なアフガニスタンで食べられている料理が、北関東では普通に食べられるとあるじゃないですか!それ以来、ずっと気になっていたのがこの料理です。

カブリ・プラオは、アフガニスタンとパキスタン両方に住むパシュトゥーン人の代表的な料理のようです。中央アジアで食べられるプロフに似ています。羊肉に、レイズンと人参が入った、見た目にも美しいこの料理。お店によって味付けが結構異なるので、色々な店で食べるのが楽しいです。

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「パミールマート館林店」(インスタ写真1枚目)「パミールマート坂東店」(写真2枚目)「パミールマート小山店」(写真3枚目)それぞれで食べましたが、油の使い方などがかなり違い、小山店にいたってはクミンが入っていました。その違いを楽しむのも北関東のお店巡りの面白さです。機会があれば、シェフの出身地などを聞いてみて、その地域の味はこんななのかなあと思いにふけるのも良いかと思います。ちなみに、クミンが入っていたのは、インド人のシェフでした。

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こちらは、茨城県常総市にある「マーフレストラン」のシェフが作ったと思われる「カブリ・プラウ」。このレストランは、日本では珍しいシーア派のモスク(主にパキスタンとアフガニスタンの人達がやってくる)と一緒の建物にあります。写真は、ある行事の時にモスクで出されたものです。

最近ブームの「ビリヤニ」は、パキスタンでも食べられています。でも、せっかく北関東に来たら、同じ米料理でもインド料理ではなかなか見ない「カブリ・プラウ」を食べ続けようと思い、10皿の一つに「ビリヤニ」は入れませんでした。

代わりと言ってはなんですが、大阪に用事が会った時に寄った淀川区の「大阪ハラールレストラン」で食べた料理を紹介させていただきます。

一見「プラウ」に見えますが、こちらは「マクルーベ」。アラブ料理でよく知られている「マクルーベ」から名前を持ってきているようです。アラビア語で「ひっくり返す」という意味で、羊肉やナッツなどの入ったご飯を炊き、その容器を最後にひっくり返して出来上がることから、この名前がついたといわれています。

このパキスタン版「マクルーベ」が、ひっくり返して作っているかどうかは聞きそびれてしまいましたが、アラブから入ってきた料理であることは間違いないようです。中東とインドの間にあるパキスタンならではの料理として、非常に興味深い料理だなあと印象に残りました。

⑧ブレイン・マサラ

見ての通り「ブレイン」=「脳みそ」です。今まで「脳みそ」の料理は、その好奇心から色々な国で食べ続けてきましたが、初めて心の底から美味しいと思った「脳みそ」がこちらでした!

見た目、何の部位か言われなければ、まったくわかりません。一瞬、魚か鳥かと思うのではないでしょうか?食べてみても一瞬なんだろうという食感です。味付けは、見ての通りカレー炒め。ただ、この炒め具合と味付けが素晴らしく、肉の周りの部分の程よく焼かれた食感と、噛んだ時の中の柔らかい肉のハーモニーがたまらない美味しさ!くどくもなく、あっさりすぎない丁度良い味付けと炒め具合が最高でした!お店は栃木県小山市の「ラホーリーカーバーレストラン」です。

ちなみに、何軒かの北関東のハラールショップで、こんな商品も販売していました。ご自宅で「ブレイン・マサラ」も気軽に作ることができそうです。ご丁寧にそれっぽく透明にして中身を見せて包装されているのが、とてもらしくていいなあと思いました。1パック1000円くらいだったかと思います。興味ある方、是非作ってみてください!

⑨ハンディ

10月に入って、知人たちと北関東でパキスタン料理を食べようという話になりました。その1人が「ハンディ」を久々に食べたい!とリクエストがありました。なんだ「ハンディ」って?

この後に及んでまだ見知らぬ代表的なパキスタン料理があるのか!!と、急遽10皿の一つに追加しました。

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というわけで、当初「パヤ」を入れる予定だったところ(6皿目参照)を「ハンディ」に変更です。で、出てきたのがこんな料理でした。見た目、「峠の釜飯」に似ている。。。

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でも中は、全部カレーです。ご飯は入ってません。そして、グツグツした熱々感!なかなかアゲアゲ感な料理ですね。「ハンディ」とは、この容器のことを言うらしいです。

ウィキで見ると、写真のような金物の大きな容器もハンディのようです。これでビリヤニも作ると書かれています。となりにある「カラヒ」は次の10皿目に紹介しています。

この料理が随時メニューにあるのは、栃木県小山市にある「ザイカ」。他にも「カシミリ・ハンディ」「ホワイト・ハンディ」「フィッシュ・ハンディ」「マトン・ハンディ」などが食べられます。これに入れて煮込むとそうなるんでしょうねえ。

※パキスタン中華で書きましたが「ザイカ」は同じ場所で「ダルバール」という店に変わりました。ここでは日替わりで変わるメニューのボードがあり、そこにハンディがあることがありますので引き続き楽しめそうです。

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このように木製のしゃもじで分けて食べるのが、また雰囲気あって良いですね。直火で、このハンディのツボに火にかけているようなので、そのアツアツのツボをそのまま小さな皿の上に乗せて持ってきています。ツボはあまり安定感がないので、しゃもじで救うとツボが揺れます。なんか良いです!

今回、参加者の1人がアフガンに行ったことがある方だったので、せっかくなのでアフガンっぽいものをと「アフガン・ハンディ」を注文しました。酸味のある感じのまろやかな味わい。肉はチキンを小さく切ったものです。美味しいけど、熱いの苦手な人はちょっと食べるのに時間かかります。ツボの中身もボリューム満点!

とにかく「ハンディ」というちょっと凝った感じの料理をいつでも食べることが出来るお店として、このお店は他店と異なる個性を放っています。ちなみに、パキスタン中華を常時食べられるのもこのお店です。大勢で色々な料理を食べたい時におすすめです。

 ⑩カラヒ

最後の10皿目は「カラヒ」!こちらは、パキスタン料理店なら大体メニューにあるくらい有名な料理です。「カラヒ」は、先ほどのウィキにもあったように「ハンディ」同様この容器のことを言います。

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「カラヒ」自体は、南アジアとアフガニスタン全体で見られる料理のようですが、パキスタンではkg単位で注文する料理とウィキにありました。北関東のお店には、この写真のように小さな器で1人前で出してくれる店もありますが、何軒かkg単位で3〜4人前から注文しないと食べられない店もありました。

「ハンディ」はもろ煮込みという感じでほっこり食べる印象ですが、「カラヒ」は炒めに近い煮込みなので、なんかワイルドに食べる感じを受けます。

この「カラヒ」の容器で出してくれた写真のお店は、群馬県伊勢崎市の「ペチャンレストラン」の「チキン・カラヒ」です。私が思うワイルドなイメージの「カラヒ 」はここだと思いました。

今回「カラヒ 」は色々なお店で食べました。というのも、ほぼどこでも「カラヒ」があるので、数人で行った場合、だいたい何かの「カラヒ」は食べています。でも、一度として同じような味に出会ったことがないのも面白いです。味付けもかなり違う印象です。

例えば、このインスタ写真は群馬県館林市の「パミールマート館林店」の「マトン・カラヒ」。パキスタン北部出身の方が作ってました。味はとってもあっさりで、上品な味わい。

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この写真は、茨城県坂東市の「パミールマート坂東店」。どこ出身のシェフかは聞きませんでしたが、濃厚で旨味たっぷりの超私好み!「カラヒ」というより、もっと煮込んで、味わい深くしている感じです。ちなみにどちらも容器ではなく皿の状態で出てきました。私が訪れた北関東のお店は、「ペチャンレストラン」以外、このようにお皿で出てきていました。

ちなみにこちらは、池袋の老舗「マルハバ」の「チキン・カラヒ」です。入れ物が鉄板のようなような容器で、雰囲気は一番ワイルド。ただ、お味の方はトマト味が強く、まるでトマト・シチューのような柔らかテイストでした。このように同じ「カラヒ」でも味付けは、店やシェフによって相当違うということを学ばせていただきました。

あとがき

一体、noteの記事一つ書くのに何ヶ月かかってんだよ!と思われることでしょう。実際に、7月〜10月現在まで、この記事を書くためにどっぷりパキスタン料理にを食べ歩いておりました。

この記事は、私がディレクターを務めるYouTube番組「世界のエスニックタウン」の取材も兼ねて、3ヶ月半かけて北関東3県に10数回通い、昼夜パキスタン料理店で食べた上、都内の「マルハバ」、大阪の「大阪ハラールレストラン」、さらには上野で行われたパキスタン・フェスティバルなどに足を伸ばしました。今後も取材のためになんども訪れる予定です。

でも、おかげさまで、今ままで曖昧に覚えていたパキスタン料理の名前や、まったく知らなかった料理、あったことのない民族(パシュトゥーン人や日本に数人しかいないというチトラル人!)、知ってるようで知らなかったイスラム教シーア派のことなど、現地でしか体験できないようなことを経験できました。今では、FacebookなどのSNSで、何人かのパキスタンの方とやりとりするほどです。

今年中に、こうしたパキスタンの食を通じた文化の紹介をYouTube「世界のエスニックタウン(英語名: Ethnic Neighborhoods Around the World)」で行う予定ですので、興味ある方は、是非チャンネル登録などしていただけると嬉しいです。

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北関東3県には、パキスタン料理店を含む南アジア各国の料理店が何十軒もあり、さらには東南アジア料理、ブラジル料理、ペルー料理と、移民が経営する本格的なお店が集まっています。法務省の2018年の統計によれば、この北関東3県で15万人ほどの移民が住んでいるそうです。パキスタン人は、日本全体で1万6千人ほどおり、主にこの地域と愛知県に多いそうです。

都内と違って、車でないと簡単に行けないことから、日本人がほとんど来ないような店もいくつかありました。でも、どこのパキスタン料理店に行っても、日本人らしく丁寧に、かつパキスタンならではの日本にはないホスピタリティで日本人を迎え入れてくれます。それだけ日本人と交流しているんだなあと言うのがよくわかります。きっといい交流をしているんだと思いました。

移民がどのように生活して、日本人とどのように関わってくるかは、日本人次第だと思います。排斥のようなことを唱えていれば、自分たち日本人にそれは返ってきます。優しく接すれば、優しく返ってくるものです。そして、美味しいものを食べれば、きっとその国を好きになると思います。この3ヶ月半で、パキスタン大好きになりましたから!

パキスタン料理の10皿を探す旅は、相当な高速代や時間を費やして書きあげました。しかし、この程度の時間とお金で、パキスタンに行かず現地さながらの体験が出来るというのは、素晴らしいことだなあと感じました。これから移民がいる社会が当たり前になる日本を知るヒントが、北関東にはあるなと思いました。

なのでこの記事を通じて経験したことは、「パキスタンを知るための10皿」というだけでなく「これからの日本を知るための10皿」だったような気がします。

次回は、もうちょっと軽く、この夏に1週間だけ行ったセルビア料理の10皿を11月までに書き上げたいと思っています!今後ともよろしくお願いいたします。

※あとがきの上記写真はすべて8月に行われたパキスタン・フェスティバルのものです。下の写真は、10月に行った茨城県にあるパシュトゥーン人コミュニティでお茶をご馳走になった時の様子です。

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カフェ・バグダッドさんが提案された「世界を知るための10皿」という企画に乗り、様々な国の料理を取り上げていきます。料理を通じて、移民の方々や、聞きなれない国に親しみをもってもらいたいと考えてます。今後はYouTube「世界のエスニックタウン」と連携した企画をアップしていきます。