読書【パリの砂漠、東京の蜃気楼】金原ひとみ
数年、パリに住んでいた金原ひとみさんのエッセイ。
実は、金原ひとみさんの本ははじめて。
映画で見た「蛇にピアス」が苦手で、あまり私に合わない作家さんかな?と思って手に取っていなかった。
ただ、この本を通して思ったことは、金原さんの繊細で透き通った、もろく儚い水晶のような部分に触れられたこと。
友人との会話、アパートオーナーとのトラブル等、様々な出来事を通して、ご自身の憂鬱な気持ち、戸惑い、涙など、滑らかな言葉で伝わってくる。
この方は、本当に繊細で脆いものを持っているんだ。こんな複雑で、ゴタゴタして、時に暴力的な世の中で、よく、生き延びているな、というのが正直な感想だ。
同じく繊細なものを持っていれば、一度は金原さんの気持ちと同じ思いをしたことがあるだろう。
私も全てではないが、金原さんに共感する部分もある。
だが、あまり繊細さや儚さがない人からすると、「なんだこの鬱々とした本は」という感想になるかもしれない。
読者が別れる本だと思うけど、自分の弱く脆い部分も、言語化して描写している金原さんは、さすがの作家さんだと思った。
これを機に、金原さんの小説もエッセイも、もっと色々と読み漁ってみたいと思う。
また、たまに私も虚無的な気持ちに包まれることもあるが、「金原さんも日々頑張っているんだ」と思って、私も歩みを止めずに頑張ろうと思う。