美しい悪魔

美しい悪魔

君を想う。

だから、僕は書く。

君との言葉のやり取りで、君との繋がりを感じられるから。

君との言葉のやり取りで、君のことをもっと知ることができるから。

澄んだ瞳をしている君。

世の中ならば目もくれない風景に目を細め、いくつもの感情やストーリーを感じ取る君。

大多数に蔑まれても気に留めず、自ら信じたものを大切にする君。

ささやかな時間の中に幸せを見付け出す君。

そんな君は眩しくて、美しくて、僕の憧れで。

君を想う。

だから、僕は書く。

でも、君は猫のように気まぐれで。

君自身の世界の中を生きていて。

君からの返事は、いつだって不定期。

そして、僕はいつ返ってくるかも知れない君の言葉を待つ。

待つのは不幸じゃないけど不安になる。

もしも僕の言葉が君の繊細な心に針や棘のように刺さってしまっていたら。

もしも僕の言葉が君の時間の流れを乱してしまっていたら。

待つ間は、ぐるぐる思考が堂々巡り。

「もしかしたら君はいなくなってしまったのか」

一番大きな悲しみを想像し、一人勝手に傷付く僕。

君からの返事は、大体いつもそんな頃に届く。

君から送られた言葉を読めば、そこにはいつもと変わらない君。

「よかった、君は存在している」

沈みきっていたはずなのに、すぐに僕の心には光が差し込む。

何回、これを繰り返したのだろう。

それでも、君との言葉のやり取りが、

それでも、君から送られた言葉の数々が、

僕にとっての幸せであり、安らぎ。

不安と悲しみ、幸せと安らぎを僕に交互に与える君。

まるで、君は悪魔だ。

誰よりも美しい心を持つ悪魔。

そして、僕は美しい悪魔から目を逸らすことができない。