丸呑みしたのは〇〇。ただそれだけ。
たった一言、たった一言。
君に伝えたいのに伝えられない。
伝えられやしないもの。
君を困らせたくはない。そんなお節介のような想い。
君を失いたくははない。そんなわがままな僕の想い。
だから、ふとした瞬間にその言葉が零れてしまわないように。
だから、僕が抱えている言葉が何かを勘の鋭い君に悟られないように。
僕はその一言を隠した。
隠してしまえば何もない。
隠してしまえば何も変わらない。
それは、悲しくも嬉しくもあるけれど。
それでも、僕は喉の奥まで、もっと奥まで一言を飲み込んだ。