非常階段の先

非常階段の先

甲高い音を立てながら駆け上がる。

古びた金属の非常階段。

勢いよく駆け上がるうちに息も上がるが、そんなことさえ気にならない。

だって、非常階段は自由への階段だから。

校舎の中の階段は薄暗い。

上がった先も薄暗い。

そんな階段を力強く駆け上がる気にはなれない。

だけど、非常階段は違うんだ。

非常階段の先に待っているのは、痛みを知っている仲間。

非常階段の先に待っているのは、包み込んでくれる温かな光。

校舎の中の階段を行き交う人々は非常階段の私達を嘲笑う。

だけど、そんなことはどうでもいい。

非常階段の先を知らない人達の戯言なんてどうでもいい。

鬱屈な世界から飛び出して、私は非常階段を駆け上がる。

自由に向かって。