幸せな社員の増やし方
本日は職場の「心理的安全性」や、楽しみながら仕事をし、自分もメンバーも幸せでいるにはどうしたらよいのか、について記事にしてみたいと思います。参考書籍として、ポジティブ心理学者で医学博士の松村亜里さんの著書『誰もが幸せに成長できる心理的安全性の高め方』の内容を一部引用しています。
■チーフ・ハピネス・オフィサー(CHO)って?
近年、心理的安全性の重要性を実証したGoogle社や、欧米の先進企業では、チーフ・ハピネス・オフィサー(CHO)という、従業員の幸せをマネジメントする専門の役職が置かれているそうです。
その目的は、「社員ひとりひとりが幸せになって、成長していくこと」。なぜかというと、「成功する人が幸せになる」のではなく、「幸せな人が、継続的に成功し続けられる」からです。
個人が幸せになる → 幸せな人がチームにいると、まわりにも幸せが伝染し、心理的安全性の高いチームになる → 新しいことにチャレンジする勇気や意欲が持てる → ストレッチして成長する → チームの生産性が高まり成果が出る
の順番です。企業では、生産性の向上や成果の獲得を目的にした施策をたてることが多いですが、個人個人が幸せな状態であれば、その成果はあとからついてくる。だから、従業員が幸福であるようにマネジメントすることが重要、ということですね。
自分の幸せで、周囲や一緒に働く人も幸せ、そんな状態をゴールに見据えたチーフ・ハピネス・オフィサー、いつか私もやってみたいです。
■コンフォートゾーンの定義
「成長するためには、コンフォートゾーンから出ることが大事」という話はご存じの方も多いと思います。人が成長するためのフレームワークとして、以下のように定義されます。
1. コンフォートゾーン
コンフォートゾーンとは、無理しなくても余裕でできることや、慣れた仕事をやっている状態、安心で居心地のいい場所、といったことを指します。
2. ラーニングゾーン
ラーニングゾーンは、自分が今いるところ(コンフォートゾーン)から一歩外に踏み出して、未経験のことや新しいことに挑戦する状態です。新たな学びやリスキルを伴うため、成長します。そして、その結果、最初はラーニングゾーンだった領域が、コンフォートゾーンになります。(コンフォートゾーンが拡張するイメージ)
(※「ストレッチゾーン」とも呼ばれます)
3. パニックゾーン
パニックゾーンは、挑戦のレベルが限度を超えてしまった状態を表します。
■自分のキャリアの振り返り
私が昔から好きな言葉のひとつに、米ヤフーの元CEOとしても活躍された、マリッサ・メイヤーさんの以下の言葉があります。
日本語にすると、「いつも、私にはまだ少し早いかな、ということをやり続けてきた。それが成長するということだと思う」となります。
まさに、コンフォートゾーンに居続けるのではなく、ラーニングゾーンに自分をストレッチし続けたことで、当時CEOのポジションにまでなっていた、ということだと思います。
私のキャリアを振り返ると、新卒で入社したIT企業では、文系出身の私は、最初は何をやってもラーニングゾーンですが、優しくサポーティブな先輩や同僚に恵まれ、最初はやり方を教えていただきながら、次は自分でやってみて、それがコンフォートゾーンになってきたタイミングで、別の製品の仕事をしたり、担当するクライアントや自分の役割を変更しながら、少しずつストレッチしてきました。
ラーニングゾーンとコンフォートゾーンを繰り返し、一歩ずつ自分のゾーンを広げて成長する、という理想的なサイクルです。
一人目の出産後も、同じ職場に復帰したため、担当するクライアントは変わりましたが、仕事自体は慣れていた仕事で、育児との両立や保育園のお迎えのため「限られた時間でアウトプットする」ことにチャレンジした点では、ラーニングゾーンです。
初めてコンサルファームに転職した直後は、仕事の性質や、管理者としての自分の役割も大きく変わり、一気に足幅を大きくしたラーニングゾーンでした。最初の一年ほどは、以前よりも残業や帰宅後のPC作業は増えましたが、幸い周囲との人間関係が良好だったこともあり、楽しく働いていました。
しかし、徐々に、上司や斜めの上司、クライアントの上層部から求められることが大きくなり、その期待にこたえなくては、と正解がない状態でプロジェクトの進め方に悩むことが続き、パニックゾーンに突入したと思える時期がありました。
精神的にパニックになっていたかというと、メンタル疾患にかかったわけではないので、そこまでではないですが、それが何か月も続いていたらそのリスクもあったかもしれません。
幸い、プロジェクトのアサインの人事権を持つ上司に相談することができたので、契約終了のタイミングでそのクライアントの案件をリリースしていただきました。
その後、2週間ほどの休暇を取得したあとは、自分が希望していた別の領域のプロジェクトにチャレンジし、再び幸せに働くことができました。
■自分を守るために大切なこと
自分の可能性を広げながら幸せな状態でいるためには、新しい領域に踏み出しても「なんとかなる」あるいは「なるようにしかならない」の精神で、一歩ずつラーニングゾーンに入っていく方がよいとは思います。
ただ、自分を守るためにとても大事なのは、つらい、落ち込む状態が続く、眠れない、などの心身の不調のサインが出ているときは、パニックゾーンに入っている可能性があるので、チームや上司にヘルプを求める、自分の仕事量をセーブするか、それをコントロールできる上司やその上司に相談することが大切です。
自分のいるゾーンが、コンフォート、ラーニング、パニックのどこなのか、たまに俯瞰して考える時間を持ち、状況に応じたアクションをとり、自分が理想とする状態にコントロールできるようにしておきましょう。
■ラーニングゾーンにいくために必要なこと
ひとりひとりが、挑戦することに不安を感じることなく、勇気を出してラーニングゾーンに飛び出していくために必要なのが、「心理的安全性」の高い環境です。
赤ちゃんや子供も、お母さんなど、信頼できる安全基地があるからこそ、少し離れたところで色々試して、不安になったら、安全基地に戻って甘えられる、甘えと挑戦を行ったり来たりすることで、できることが増え、成長していきます。それは大人になってからも同じ仕組みなのでしょう。
新しいこと、やったことのないことに挑戦するには、勇気がいります。失敗したらどうしよう、という不安は、誰にとってもゼロにはなりませんが、「少しくらいの不安なら、あってもいいもの」「失敗してもいい。なんとかなる」という楽観的な考えを持ち、自分で自分に言い聞かせることも大切です。
■心理的安全性を高めるには、人との関係性が大事
「The Economy of Wellbeing. Rath & Harter(2010)」によると、
・職場の関係性がよいグループは、49%の人が仕事を楽しいと感じている
・職場の関係性がよくないグループは、10%の人が仕事を楽しいと感じている
という調査結果があり、関係性の違いで5倍の差が出ることがわかります。
「関係性がよい」ことは、心理的安全性を高めるために必要です。上司と自分、自分(管理職の場合)とメンバーのタテのつながりと、同じ役職同士や同僚といったヨコのつながりで、良い関係性を築くことが大事です。
そのためには、まずは自分が「自分らしくいること」が基本になります。自分の性格の「強み」ばかりでなく「弱み」もメンバーに自己開示できると、相手も、自分らしくいられ、安心して弱い部分を見せることができます。
チームの場、雰囲気を作るのに、リーダーがどういう態度でいるかは重要なので、リーダーは特に、「自分らしくある」「無理しない」「かっこうつけない」を念頭に、正直に自分の価値観や信念を周囲に伝え、相手の強みも引き出しつつ、弱さやネガティブな感情にも「そうういときもあるよね、私もあったよ」といった共感で認めることが大切です。
私が働く職場でも、
関係性がよい → 安全性が高まる → チャレンジできる → 成長できる → 仕事が楽しい → 個人の幸福度が高まる → さらにチャレンジ
という持続的な幸福のサイクルをまわしながら、まわりに幸福な社員を増やし、チームの成果を最大化できるよう、日々精進していきたいと思います。
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