信頼関係の作り方 早わかり技法、ほか
このノートでは、ソーシャルワークにおける「信頼関係」の構築の為に、私が気を付けているポイントを3つご紹介します。特に、インテークの際に使える技法を中心にお伝えさせて頂きます。
①イエスセット
面接では、初回の導入が大切になります。ワーカー自身もですが、クライエントも緊張しています。その際は、「今日はどこから来られましたでしょうか」「お電話頂いた○○さんで良かったでしょうか」など、相手が答えやすい質問や、「はい・いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)から始めます。
またその際、相手が「はい」と答えやすい質問を数回繰り返すと、その後クライエントが話しやすい雰囲気となるのではないかと思います。例えば、次のような感じです。
例:転院調整の為の面談に来られた家族への対応
SW 「医療ソーシャルワーカーの加藤と申します。15時でご予約頂いた○○様のご家族様で良かったでしょうか」
CL 「はい」
SW 「ありがとうございます。ご本人様は、○月○日に転ばれて、大腿骨の頸部骨折でご入院されたということで間違いないでしょうか」
CL 「はい」
SW 「ありがとうございます。また今日は、○○様の転院のご相談ということで良かったでしょうか」
CL 「はい」
SW 「ありがとうございます。それでは、、、」
このように、文字にするとややくどい感じもしますが、相手に「はい」と答えてもらうと、その後、お話を伺いやすくなります。
また、何かを聞く時に「~ですか?」と聞くよりも、「~でしょうか」と聞くと柔らかい印象になるかと思います。また最後に「~でしょうかね」と、相手に聞こえるか聞こえないかの ”小さい「ね」”を入れると、更に柔らかい印象になります。
②共感
次に、共感についてお伝えします。「人は、話を聞いてくれた相手を信頼する」というように、ソーシャルワークにおいて「傾聴」はとても重要です。また、「しっかりあなたの話を聞いている」ということをクライエントに伝える方法として、うなずきや相槌、繰り返しや要約等があるかと思います。
さて、そのようにクライエントの話を聞く中で、「辛い」「大変」などの感情についての話が出てくることがあります。共感することが大切とよく言われますが、私が気を付けていることとして、「感情」よりも、まずは「事情」に寄り添うということです。
例えば、次のようなやりとりを見てください。
例:不登校の子の母からの相談
CL 「子どもが不登校で大変で・・・」
SW 「それは大変ですね」
どうでしょうか。いきなり感情に共感すると、薄い感じがしないでしょうか。どんな状況かもわからずに共感してしまうと、相手によっては「聞いてもらえない」ように聞こえたり、「安易な励まし」に感じられてしまう可能性があります。
そうではなく、これまでの経過や対応を詳しく伺い、その事情によりそって共感した方が、信頼関係を構築しやすいと思います。例えば、先ほどの例でいうと、次のようなやりとりとなります。
CL 「子どもが不登校で大変で・・・」
SW 「お子さんが学校へ行けていないということですね。差し支えなければ、いつ頃から休んでいるか、お伺いしでもいいでしょうか」
CL 「小学校3年生の夏休み明けからです。最初は、学校へ行こうとすると頭が痛い、お腹が痛いと言うようになって・・・」
SW 「学校へ行こうとすると体調が悪くなってしまうようになったんですね。」
CL 「はい。それから何回か学校へ行ったんですが、途中で早退することもあって・・・」
SW 「学校へ行けなくなってしまったときは、先生とご相談をされたりはしたんでしょうか」
というように、まずはその方の状況を詳しく聞いていきます。またその時、問題が起こった「経過」と、それに対するクライエント、家族の「対応」を合わせて聞いていくと、クライエントや家族の対処能力についても合わせて確認することができます。
③早わかり技法
このように「経過と対応」を聞きながら、アセスメントを進めていきます。そして、可能であれば、相手が「そうなんですよ」というような声かけができるといいかと思います。例えば、次のようなやりとりです。
例:仕事のことで悩む方からの相談
CL 「仕事がうまくいかず悩んでしまって、休みの日でも、気付いたら仕事のことを考えてしまって・・・」
SW 「それじゃあ、夜もしっかり眠れてないんじゃないでしょうか」
CL 「そうなんです」
例:ひきこもりの子の母からの相談
CL 「うちの子は、いわゆる”いい子”で、あまり自分の意見は言わず、周りに合わせることが多いように思います。」
SW 「それじゃあ、反抗期もなかったんじゃないでしょうか」
CL 「そうなんです」
これは、クライエントの話をしっかり聞き、状況や事情がわかってくるとできる声かけです。この時に、「それじゃあ、○○なんじゃないでしょうか」と伝え、相手が「そうそう、そうなんですよ」と返したらOKです。少し練習が必要かもしれませんが、アセスメントができてこのような返しができるようになると(あたっていると)、クライエントは、「話を聞いてもらえている」「この人はわかってくれる」と感じてもらえやすいと言われています。
まとめ
①面接の導入では、イエスセットを用いて、相手が話しやすい雰囲気をつくる。
②いきなり感情に共感するのではなく、まずは事情に共感する。
③相手が「そうなんですよ」というような質問をなげかける「早わかり技法」を使う。
以上、私がソーシャルワーカーとして個人的に気を付けている面接のポイントを3点お伝えさせて頂きました。少しでも参考になれば幸いです。
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