相談援助をする上で、どうしても相談者さんと対等でいれなくなってしまう時がある。

 すなわち、意識せずとも自分が上になってしまうのである。

 また、同僚や先輩ワーカーの中で、まるでヤクザではないかと感じざるを得ない対応をしているのを見たことは一度や二度ではない(貸付の対応や、日常生活自立支援事業で、お金の取り立てや、知的・精神疾患の方に脅すような口調で話しかける、等)。

 その姿は、普段上司等に対して媚びへつらっており、家庭でも居場所がなく、その鬱憤を利用者さんに対して晴らしているかのように見えて仕方がない。

 このようなことが起きてしまうのは、ワーカーが「お金を貸付する側」「制度を紹介する側」「転院先を紹介する側」「サービス利用の手続きをする側」であり、クライエントが「お金を借りる側」「制度を紹介してもらう側」「転院先を紹介してもらう側」「サービス利用をお願いする側」という構図となってしまうが故である。

 ソーシャルワーカー側には、その制度等に対する知識があり、一方でクライエント側は状況的に「困っている状態」だからである。あるいは、高齢、障害など、いわゆる「ハンディキャップのある状態」だからである。

 しかし、だからこそ、私は、対応でありたいと思う。

 少なくとも、相談してくれた相手に「加藤の方が上」と思わせないように配慮している。

 例えば、面談の最後に、自分も相手に相談する、ということをすることがある。

 それは、料理のことや、干し柿の作り方など、内容は何でも良い。その方が住まれている地域のことを教えてもらうことでもいい。

 高齢であるということは、裏を返せば経験がたくさんあるということである。
 障害があるということは、それ故困難な状況に直面することが多く、それに対して色々な対処方法を知っているということである。

 相手の詳しいこと、できること、話したいことを教えてもらって、面談の最後はこちらから「ありがとうございます」と締めくくる。すると、向こうもお礼を言って下さる。

 お互いにお礼をいい、面談を終えるというのは、気持ちがいいものである。

 今回の出会いは、たまたまソーシャルワーカーとクライエント、という立場であったが、状況が変われば、逆の立場になることだって十分にありうる。

 プライドや責任感を持って仕事にあたることは重要だが、自分がえらくなったと勘違いして対応するのは違うと思う。

 また、自分の失敗談を話す、ということもいいだろう。例えば、「ここまで来るのに道に迷って・・・」など、少し笑えるものでもいいだろう。先週も、地理がわからないことを話したら、日常生活自立支援事業の利用者さんが笑ってくれた(なお、地理がわからずよく迷うのは本当のことである)。

 また、貸付相談に来られた方には、「加藤さんとはプライベートで仲良くできそうだね」と笑われた。

 なお、失敗談を話す時には、一つ注意が必要である。例えば、看護師が「この前注射の中身を間違えちゃって」とか、ケアマネジャーが「利用者さんの通帳をなくしちゃって」など、仕事に関する笑えない失敗談はやめておいた方がいいだろう。

 少し笑えるくらいでちょうどいいのである。

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