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死者の日と子どもの心

 メキシコの風習「死者の日(Día de los muertos)」。オレゴンに来て、まず感じたのが、メキシコ系の人たちの多いこと。メキシコ滞在歴のある自分としてはちょっとした親近感。生活の中にもそういった風習が取り入れられていて、子どもの小学校も公立ながらスペイン語とのバイリンガル教育があり、我が家では非常に助かっております。

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 死者の日は11月1日、2日。簡単に例えてしまうと、日本のお盆のような感じです。祭壇を作り、先祖をお迎えするのです。メキシコでは骸骨が街中に溢れ返りますが、おどろおどろしいわけでもなく、祭壇も色とりどりに装飾され、愛嬌のある骸骨のデザインにちょっとワクワクしたりします。そして、息子の学校でも、この死者の日に関係した活動をするようで、去年のオンラインクラスでも、これに関する短いビデオや本の朗読、絵を描いてみたりしていました。今年は学校も再開したので、何をしたのか具体的にはわかりませんが、息子の心に少し変化がありました。

 息子は6歳。日々いろんなことを学んで、心も身体も成長しているんですよね。3年前、私の母が亡くなった時は、まだ何が起こったか理解できず、その後も母の話になっては、「もう会えない」くらいだったかと思います。何より、私が涙ぐむのをみて、何か悲しいことだと感じていたのではないでしょうか。それが今年、寝る前に私の耳もとで「今日は死者の日だよ。」と囁いた後、泣き出してしまいました。

 何かが恐い、嫌だ。息子自身、思考と感情がつながらず、言葉にもできず、戸惑っていたのかもしれません。ゆっくりと聞いてみると、骸骨は全く怖くなく、学校で見た本やストーリーが怖かったわけではないそう。一つ教えてくれたのは死者のいる、もう一つの世界が嫌だということ。「死」という概念がまだ確立されてない中、子どもなりに想像し、そこに恐怖を感じたようでした。

 誰もが通る道、大人になったって怖いと思うこと。死者の日を通して、息子のちょっとした心の成長、変化を知ることができました。お盆も然り、こうやって身近に先祖を祀ることで、もしかしたら、ゆっくりと怖さから遠ざかり、理解していくのかもしれませんね。そういった面では、メキシコの死者の日の装飾は明るく色とりどりで、怖さとは対極に晴れやかな気持ちでご先祖さまと楽しく過ごせそうです。


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