大久保寛司's RADIO「あり方研究室」VOL.8 「どんな人も変われる」
大久保寛司さんのRADIO「あり方研究室」!
第8回のテーマは「どんな人も変われる」です。
■VOL.8「あり方研究室」〜「どんな人も変われる」〜
こちらからお聞きいただくことができます。↓
GUESTは加藤南美さん、中編です。
前編はこちらからどうぞ↓
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大久保寛司さんは、長年、日本中のいい会社と呼ばれるありとあらゆる企業を訪問し、その本質を洞察し、その経験を活かして、多くの経営者から師と仰がれ、のべ10万人以上の人の行動を変容させてきた「伝説のメンター」と呼ばれる方です。
令和の時代、そしてWithコロナの時代は、「あり方」の時代になっていくと思います。
これまでは、目を外に向けて、社会の中でどう上手くやっていくか、どうしたら、この社会に適合し、成功するかといった「HOW TO=やり方/LIFE STYLE」がフォーカスされ、よりよく成長しながら生きていくという視点が主流でした。
これからは、指を自分に向けて、ありのまま、あるがままの自分とつながって、日々、自分はどうありたいかという「BEING=あり方/LIFE STANCE」をセンターにして、自然に豊かに生きていくという観点にシフトしていくのではないでしょうか。
〜この研究室は、私が皆さんと共に学ばせていただく場です〜大久保寛司
「あり方」について、「教えてほしい」という姿勢ではなく、自分なりに考え、学ぼうとする方は、皆さん、この研究室の研究員です。
共に学んでいきましょう!
「あり方研究室」VOL.8
今回のGUESTは、NPO法人GLOBE JUNGLEの加藤南美さんです。
加藤南美さんは、10代の頃、東南アジア諸国への一人旅がきっかけで、カンボジアの孤児院の子どもに出会い、目を輝かせて夢を語る子ども達に感銘を受け、カンボジアでの支援活動を開始します。その後、貧困女性の自立支援を行う「NATURAL VALUE」を設立し、現在はNPO法人GLOBE JUNGLEにて、貧困女性の貧困脱却への職業提供支援「NATURAL VALUE PROJECT」の統括リーダーとして活動中です。
「NPO法人 GLOBE JUNGLE」
カンボジアの首都とシェムリアップの両都市に拠点を持つNPO法人。カンボジア国内の貧困家庭やそこで生まれ育つ子ども達に対して、教育の機会の提供や彼らが自立した生活を送れるためのサポートを行う。対象者は子ども達だけではなく、大人達への教育・職業訓練も行っている。
応援してくださる方とカンボジアがしっかりと繋がって、お互いの笑顔が見えるような「支援の見える化」を目指し、苦しみの中から生まれる支援ではなく、笑顔の連鎖でカンボジアと日本をハッピーにしていきたいとの想いを込めて、「まわりめぐるハッピー」を合言葉に活動中。
VOL.8のRADIOから、一部内容を抜粋してご紹介します。
VOL.8「どんな人も変われる」
大久保:南美さんは、最初は、カンボジアの孤児院支援から入ったんですよね。
加藤:はい。19歳のときです。当時は、支援と呼べるほどでもなくて、日本に帰って、3つのバイトを掛け持ちしながら、1つのバイトのお金で生活をして、2つのバイトのお金をカンボジアの子ども達のごはん代や教育費用に充てるということをやっていました。すごいハードワークだったので忙しすぎて、ちょっと体調を崩してしまった時に、私が倒れたら、子どもたちはまた元の生活に戻ってしまうことに気づいて、きちんと組織として運営していこうと決めました。
大久保:カンボジアの村を見ると、非常に貧しかった。村の生活をもっと豊かにしないと、抜本的な解決にはならないということで、村を豊かにするためのアプローチをされていったんですね。
加藤:私たちは、子ども達がキラキラ生きていけるような、未来を作りたい。そのためには、大人が自分たちの背中を輝かしていてもらわないと、大人が暗い背中を見せながら歩いている村では、やっぱり、子どもはキラキラできないと思いました。お母さんや村の人たちがキラキラ働いてもらうために、今、かばんやものづくりをしているんですが、かばん屋さんになりたかったわけではなくて、自分たちの手仕事が、自分たちの生活を変え、この村を変え、未来を変えていく、ということを伝えるツールの一つとして、どうしても、手で何かを作るっていうことに、こだわりたかったんです。
大久保:作業所を作り、籠の編み方を教えてもらって、カンボジア人のスタッフの方に、ちゃんと編めるようにトレーニングをしていくわけですよね。そのとき、雇用形態の覚書みたいなものは交わしていたんですか?
加藤:最初は、私たちも手探りだったので、交わしていなかったんですが、今は、交わしています。結果、わかったことなんですけど、最初に交わせなかったことには理由がありました。実は、スタッフの人達が、文字の読み書きが出来なかったので、そもそも契約書を作っても読んでもらうことができなかったんです。
そこで、スタッフ全員に対する、クメール語の文字の読み書きの勉強を始めました。最初は、「勉強なんて…別に困っていないし」という感じだったんですけど、みんなで頑張ろうということで、この勉強の時間にも、お給料が発生しますと伝えました。かばんが何個作れたら、いくらという評価制度だけではダメだと思い、この読み書きの授業を、どれだけ、どんな姿勢で頑張っていたかということも反映できるように、評価制度も変えて、全員で頑張って取り組めるようにしました。
大久保:そこが本当に知恵だと思うんです。みんな、言ってもやらない。「どうしたらいいんだろう?」ということで、字を覚える間も、給料を払う仕組みにする。南美さんの話を聞いて、いつも思うのは、随所に知恵があるんです。
加藤:もう一つすごい知恵を出したスタッフがいて、クメール語の読み書きを、お母さん達に教えるときに、一番最初に学ぶ文字を、我が子の名前にしたんです。そうすると、今まで書けなかったお母さんたちが、自分の手で、子どもの名前を書ける!それを子どもに見せると子どもが喜んでくれる!ということで、お母さん達が、もっと意欲を出してくれるようになって、現在では、全員が文字の読み書きできるようになりました。
大久保:日本では、時間が正確すぎるぐらい正確ですけど、カンボジア人の方の文化は、どんな感じなんですか?時間厳守とかに関して、精度は高いんですか?
加藤:今は、みんな、スマートフォンを持っていたりするんですけど、私たちが支援に入りだした10年前は、スマホもないですし、時計を見るという習慣がないので、置き時計のある家庭も、いまだにすごく少ないんです。ですから、時間に沿った生き方というのはしていないですね。たとえば、「作業は何時からです」とか、「明日は、何時から会議をやります」とかいうときにも、時計がないので、集まっても、みんなバラバラに来てしまいます。そこで、決まった時間に、ある程度来てほしいと思ったので、みんな近所に暮らしていたので、一番遠い家の人に、時計を一個渡しました。そうして、その人が順番に、それぞれの人の家を通りながら、時間だよ、15分前だよ、10分前だよ、5分前だよと、声をかけてくれるようにしました。
近くの村長さんが、ほとんどの人が、ちゃんと時間通りに集まっていて、一人だけ遅れて来た人がすまなそうにしている姿を見て、「なぜ、みんな、こんなに時間を守っているんだ?」とすごく驚かれたことがあります。
大久保: 前にお聞きした、お掃除の話も、印象的ですね。
加藤: 作業所をちゃんと掃除してくださいと伝えたんですが、「掃除しました!」「掃除していないじゃない!」「しました!」といったコントのような攻防が続いていました(笑)。
スタッフは、本当にしていたんです。でも、私とは、キレイの基準が違っただけで、間違いなく、ほうきも使って掃いていました。ただ、私なら角の方もきちんと掃くし、その後の拭き掃除も床が乾くまでキレイにやるというやり方ですが、スタッフのやり方は、そうじゃなかったんです。
大久保:簡単に言うと、四角い部屋を丸く掃いて、四隅にゴミは残ってるけどキレイになったでしょう?という視点と、四隅にゴミが残ってるじゃない!いや、真ん中はキレイになったじゃない!というギャップ。それに対して、南美さんは、キレイに掃除をするというのは、四隅のゴミがたまらないこと、拭いた後で、また乾拭きした状態のことをキレイと言うんですよということを教えたんですね。
加藤:はい。掃除のキレイの基準を合わすという練習をしました。今では、掃除リーダーが決まっていて、彼女たちが自主的に、朝の始業前、お昼、仕事が終わった後、一日三回、掃除をしてくれています。私たちの作業所に来てくださった日本人の方達から、「作業所がすごいキレイだね」と言っていただくことも多いです。
大久保:私自身、いろいろな企業で幹部の方の研修をお手伝いしていて、よくお伝えすることの一つは、「基準値を揃えなければいけない」ということです。基準値を揃えていないところで、何を言っても、それはコミュニケーションがとれていないということ。ですから、リーダーや上司というのは、まず、その仕事をやっていく上での基準値、例えば、「急いで」とか「早く」とか「キレイに」とかいうのは、どういう基準なんだという「ものさし」を揃える必要があるんです。
加藤:ある日、作業所に行ったら、当番表と掃除のルールブックができていたんです。自主的に、彼女たちが、クメール語で作ったものをプリンター屋さんに持っていって、わざわざタイピングもしてもらって、それをラミネートにかけて、作業所に貼りだすということまでやってくれていました。それを見た時には、(嬉しくて)泣き崩れました。
大久保:もともとは自主的にそういうことをやる人達ではなかった。文字の読み書きさえできなかった。自分たちで管理表を作るなんて発想は、全くなかった。それが、指示も命令もなく、自分たちで、当番表とルールブックを作った。スタッフの皆さんが、自分自身で、どんどん輝くようになっていったんですね。
加藤:彼女たちに足りていなかったのは、あえて、足りていなかったという言い方をしますと、教育でもなく、頭の良い悪いとかでもなく、もちろんお金でも育った環境でもなく、ただただ、「機会に恵まれなかった」ということだと思うんです。小学2年生とかで、学校を辞めざるを得ない環境で、学校を辞めてから30代くらいまでの約20年間、ひたすら、誰にも見られることも、怒られることも、認められることもなく、生きていると、やはり、人は自尊心が失われてしまったり、自分で自分を褒められなくなってしまうと思うんです。
でも、それは、人生としては決してハッピーなことではない。ですので、私もいわゆるマネージメントを初めてする中で、自分たちがひとつだけ、やり通そうと決めたことがありました。それは、どんな人でも、どんな時でも、一日一個でもいいから、カンボジアのスタッフのいいところを褒めて、口にしようということでした。例えば、「今日も作業所に来たね」とか何でもいいんです。褒められたり、見てもらえたり、評価してもらえるということ。それが良くても悪くても、誰かが、自分を見てくれている、気にかけてくれているという経験をした人は、必ず、変わるからと。
実際、自分達に出来ることは、褒めて信じることぐらいしかできなかったので、設立1年ぐらいは、ただひたすら、そのことをやり続けました。
今までできなかったことを、学校に通えていなかったせいにしたり、家庭環境のせいにしたり、お金が無かったせいにしたりすることはできますが、それ自体が問題ではないんです。なぜなら、私はそれで変わった人たちをたくさん知っているからです。実際、私たちの素晴らしいプロジェクトをつくってくれているスタッフたちは、皆、その機会を得て、自分の力で変わった人たちばかりなんです。
つづく。
加藤南美さんのお話は、後編に続きます。
✴︎「あり方研究室」は、音声でも配信しています。
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大久保寛司(おおくぼかんじ)「人と経営研究所」所長
日本IBMにてCS担当部長として、お客様重視の仕組み作りと意識改革を行う。退職後、「人と経営研究所」を設立し、20年間にわたり、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。「経営の本質」「会社の本質」「リーダーの本質」をテーマにした講演・セミナーは、参加する人の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が多数寄せられ、延べ10万人以上の人々の心を動かしてきた。
特に、大企業・中小企業の幹部対象のリーダーシップ研修、全国各地で定期的に開催されている勉強会では、行動変容を起こす人が続出している。
著書に、『考えてみる』『月曜日の朝からやるきになる働き方』『人と企業の真の価値を高めるヒント』など多数。
大久保寛司著「あり方で生きる」
■書籍「あり方で生きる」には、章ごとに、大久保寛司さんの音声ナビゲーションが付いています。
「はじめに」「おわりに」の部分は、下記から無料で聴けますので、
よろしければ、こちらから、お聴きいただければと思います。
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VOL.8のお話に関連する「あり方で生きる」の中の1項目です。
30「どんな人も変われる」
これまでの「あり方研究室」はこちらから、どうぞ!↓
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