ゲームが強い人がビジネスでも成功しやすい~「遊戯王」カードで磨く、仮説検証とルールを掴む力
こんにちは!エッセンシャル出版社の小林です。
【プロフィール】
大学卒業後、年中~小学校6年生までの子を対象とした塾、花まる学習会に入社。将来メシが食える大人になること、魅力的な人になるということを教育理念の事業で、授業や野外体験の引率などを行う。授業など子どもたちに関わる傍ら、広報部、講演会事業、ブロック責任者などあらゆる業務にも携わる。現在はエッセンシャル出版社で、本づくり、広報など、出版業に関わる全てに携わる。
エッセンシャル出版社: https://www.essential-p.com/
どんなビジネスをさせてもそれなりに成功させてしまう人は、ただ商才があるだけという訳ではなさそうです。そういう人は、自分を希少価値性がある人間にしていくことが上手だし、ビジネスの場でルールを把握し、勝つための仮説を立てることが上手い。また、仮説と共に必ず検証も繰り返してきているという特徴がありそうです。
今回は、『ゲームは人生の役に立つ。』の著者・小幡和輝さんと、私の大好きなユーチューバー・ヒカルさんの視点をもとに、仮設検証の力とルールを掴む力について考えていきたいと思います。
小幡さんは「遊戯王カード」の取得のために、ある種、株的な視点も学ぶことで、希少価値というものがどれほど重要なのか、需要と供給の関係を自然と身に着けたそうです。
更には、勝つための方法を考える中で、「仮説検証も繰り返した」ということを、著書で下記のように述べています。
「遊戯王カード」は、だいたい1万種類くらいあるカードの中から40枚を選び、「デッキ」と呼ばれるチームを作って対戦するゲームだ。その組み合わせは無限にあって、1枚1枚の価値が異なる。外見は同じようなカードでも、1枚1円のものもあれば、千円を超えるものもある。
このように、重要なのはカードの価値が常に変動しているということ。大会で優勝するなどして結果を出したものや、有名なプレイヤーがネットで紹介するカードは価値が上がるし、新しいカードもどんどん追加されているので、そのたびに既存のカードの価値が変わるのだ。
たとえば、Aというカードがあって、このAよりも強いBというカードが出たら、当然Aの価値はそれまでよりも下がる。ところが、このAと組み合わせることによってすごく強くなるCというカードが出てきたら、Aの価値は上がる。まさに経済原理。そんなことが常に起きているのがカードゲームの世界なのだ。
ちなみに、カードゲームは5千円程度あれば充分楽しむことができる。世界大会で優勝するようなレベルでも5万円もあれば充分だ。ただし、お金をたくさん使えば勝てるというほど単純なものではない。使うお金以上に、プレイヤーの能力や運の要素によって勝ち負けが決まるからだ。
すでにお気づきだと思うけれど、これは「株」に近いような感覚がある。僕はカードゲームから経済の原点を学んだし、実際にカードゲームでお金も稼いでいた。
「このカードは将来強くなるぞ!」
「これは多分弱くなるな」
そんな予想を立てて、安いうちに手に入れて高いうちに売る―中学生だった当時、僕はこうして月に1万円ほど稼いでいた。
カードを売買するときにはオークションサイトを使った。「どうすれば売れるか?」を必死に考えて、カードを紹介する文章の付け方や写真の撮り方、値付けに工夫を凝らした。
これは物を売ること全般に通じる商売の基礎で、僕はそれもカードから学んだ。こうして自分でお金を稼ぐ経験は、確実に今に活かされていると感じている。
ゲームで培った仮説検証力
さっきの「遊戯王」の話を補足すると、40枚のデッキを作る組み合わせは無限にあるし、正解なんてない。当然、相手のカードとの相性や引くカードの運だってあるから、どれが最強の組み合わせなのかなんて誰にもわからない。
では、どうすれば勝つことができるのか。自分なりの仮説を立て、そのデッキにおける目標を設定し、対戦を重ねて仮説検証を行なっていくことで、強いカードの組み合わせを自分なりに見つけていくしかない。そして、それがこのゲームの醍醐味でもある。
これには、論理的な才能や諦めずに仮説検証をくり返せる精神力や努力が必要になる。
デッキを作れない人は本当に作れないのだけれど、それは当然のことかもしれない。こうしてデッキを作ることは、仕事でアイデアを考え、仮説検証をして実現に向けていくプロセスに非常に近い。
本書を執筆しようと思ったときにも、僕は同じようなプロセスを踏んでいる。「日本社会においてゲームのイメージは誤解されて伝わっている」という仮説を立て、「本の出版を通して、ゲームのイメージを変える」という目標を実現しようと考えたのだ。これを「遊戯王」でたとえると、次のようなイメージになるだろうか。
【僕の持っているカード】
■ゲームで3万時間遊んだという経験
■24歳ながら社長という、起業家としての実績
■1万人以上の子どもたちや保護者と話をしてきた原体験
■自分の考えを言語化して書く力
こうしたカードを組み合わせから、ゲームをやってきた経験の中で役に立っていることを言語化して、子どもや保護者の皆さんに向けて本を書くという手段が思い浮かんだ。これが僕のデッキ。
ここからは情報戦だ。他の本を調べてみると、「ゲームは悪いもの」「どうやってやめさせるか」という本が多かった。そうであれば可能性がある。ゲームをやりまくったひとりの社会人として、「ゲームは人生でどのように役立つか」を書くというのは、これまでにない視点だし、社会情勢もIT化・デジタル化の波が押し寄せ、ゲームには追い風の状況だ。
仮説、目標、手段が決まり、情報も集まったので、友人との会話や講演会などで本書に書いてあるような話をしてみた。これが検証していく部分だ。
この本がどんなふうに読まれるのか、どんな影響を与えるのか―仮説検証のプロセスはまだまだ終わらないけれど、ひとつ確実に言えるのは、僕の価値観や仕事のやり方の原点には、間違いなくカードゲームがあるということだ。
『ゲームは人生の役に立つ。』著者
日本初 ゲームのオンライン家庭教師サービス ゲムトレ代表 小幡和輝
また、ユーチューバーのヒカルさんも、小さいころに「遊戯王カード」で遊んでいたそうで、いかにいいカードを集めるか、頭を使って、狡猾な方法を用いていたとお話しされています。
ヒカルさんは、YouTubeを始めるにあたり、「ゲーム実況チャンネル」からスタートしています。そのときも、YouTubeというゲームの中で勝つためには、どんな希少価値を出したらいいかを考えて、他のゲーム実況者がやっていない戦略を実施したそうです。
他にも、ヒカルさんは日本一のユーチューバーになるために、ありとあらゆる戦略を立てています。そして、たくさんの持論を持っているのです。驚くのは、かつて、営業を経験してみようと思って、ある会社に入社したとき、「営業は難しいから、君には無理だ」と社長に言われたそうなのですが、それに対して、「絶対に成功させるんで、営業をやらせてください」と言い、初月でその会社の過去最高の営業成績を打ち出したこともあるそうです。
ヒカルさんは、その秘訣などを動画でも話していますが、”そのやり方が絶対に正解”だったということではないと思うのです。でも、いくつかの仮説をもとに、まだ薄い商品知識をハンデにもせず、成果を上げてしまうというところに脱帽でした。
これも全て、ルールを把握し、「自分の頭で考える」ということができるからなのだと思います。必死に自分の頭で考えて、相手のことを想像して、どうしたら話を聴いてもらえるのか、どうしたら契約してもらえるのかということについて仮説を立てて臨んでいるのです。先輩に「こうしたらいいよ」と言われてやったことではない、というのもポイントだと思いました。
ヒカルさんは日本一のユーチューバーに向けての戦略、そのほかの仕事の戦略も全て、自分で考え、自分で確立されています。
ヒカルさん自身が言っていましたが、ヒカルさんのスタンスは、「何からでも学べる」ということです。学校やセミナーには行っていないし、本もそんなに読まず、読むのは漫画。自分が見て聞いて知っていることから、いかに学ぶか、盗むかということが大事。そうやって、誰かに教えてもらったHowtoでなく、自分で仮説を持ち、すぐに挑戦して、理論を獲得していくからこそ、ユーチューバーの中で頭一つ飛び抜けているのだと思います。
(まとめ)
二人のビジネスにおけるセンスの良さや強さの秘訣は、
・パッとルールを把握する力
・カードゲームで培ったであろう希少価値が染みついていること
・カード交換などで優位になる、需要と供給の関係がわかっていること
・遊戯王カードのデッキ(チーム)をつくって、より強くなる、勝つために
良質な仮説を立てることができる
・勝ちに対する、貪欲な気持ちで仮説検証できること
等があげられるのではないかと思います。
ちなみに、お笑い芸人をやったり、絵本作家をやったり、オンラインサロンを運営している西野亮廣さんも「実験が大好き」と言っています。実験とは、仮説を立てて検証することにも置き換えられます。その自分しか持っていない、仮説検証した結果をもとに「アイディア」を生み出しているそうです。皆が持っている素材、知っている答えを掛け合わせたアイディアは、他の人も考え得る。でも、自分が実験した結果として得られた「知」を掛け合わせるからこそ、他の人にはないアイディアが出るのだそうです。
今の時代、成功への効率を求めるならば、仮説検証の総量が大事になりそうです。そして、そもそも”良質な”仮説を立てる力が必要になりそうですね。
【参考著者】
小幡和輝(Obata Kazuki)
NagomiShareFund & 地方創生会議 Founder/内閣府地域活性化伝道師。
#不登校は不幸じゃない 発起人。
1994年、和歌山県生まれ。約10年間の不登校を経験。当時は1日のほとんどをゲームに費やし、トータルのプレイ時間は30,000時間を超える。その後、定時制高校に入学。地域のために活動する同世代、社会人に影響を受け高校3年で起業。様々なプロジェクトを立ち上げる。
2017年、47都道府県すべてから参加者を集めて世界遺産の高野山で開催した「地方創生会議」がTwitterのトレンド1位を獲得。その後、クラウドファンディングと連携した1億円規模の地方創生ファンド「NagomiShareFund」を設立し、地方創生の新しい仕組みを構築中。GlobalShapers(ダボス会議が認定する世界の若手リーダー)に選出。
2018年、学校生活に悩みを抱える子どもたちと、その保護者に向けて、
『学校は行かなくてもいい親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』を執筆。
2019年、『ゲームは人生の役に立つ。』を執筆。
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