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食材仕込みを外注した飲食店の料理やサービス、本当に血は通うのだろうか?
外食産業に携わる方も、もしくはそうでない一般消費者の方も、考えてみてほしいことがあります。
仕込みを外注した飲食店のお料理やサービスにどれだけの価値を見出すことができますか?という話。
これはこれから紹介するツールを否定する話ではありません。ただし僕は使うことを躊躇うサービスだな、と率直に感じました。
サービスの概要だけを見れば、誰がどう見ても便利で価値のあるサービスに見えます。ぐぅの音も出ない。
でも…
本当にそれでいいのか?と思う部分があるのです。
そこは譲っちゃいけない部分なんじゃないのか?と思ってしまうのです…。
■『シコメル』 〜仕込みの外注化で生産性の向上サポート〜
シコメルとは飲食店1店舗からのセントラルキッチンを実現する、飲食店向けの受発注アプリのことです。同アプリを運営管理するのはシコメルフードテック。
このサービスでは、飲食店側がシコメルフードテックにレシピを預けると、同社が全国の提携する食品工場にてレシピの再現を行い、飲食店側にサンプルを届けてくれます。
そしてそのサンプルがOKとなった場合にはアプリ上に登録され、そこから飲食店側がオーダーすれば必要数の仕入れが可能になるというものです。
これによって飲食店が得られる大きなメリットは人件費の削減。
自粛要請が明けても人手不足が顕著な飲食店において、シコメルの活用で仕込みに係る労働時間が削減され、長時間の労働環境の改善ができます。生産性の向上です。スタッフの労働環境の改善にもなり、むしろこっちの方が効果としては大きいか…?
これだけでも本当に秀逸なサービスモデルと感じます。ここに関しては認めざるを得ないです。
■それだけではないもう1つの強み 〜新たな収益の柱を作る〜
もう1つの強みというのが、自店舗への「新たな収益の柱を作ることができる」という部分です。
シコメル内には「シコメルストア」というものがあり、その中でできることが2つあるらしいのです。
①他の店が提供しているメニューアイテムの発注が可能
他の店舗が「シコメルストア」内で提供しているメニューアイテムを購入することができます。これによって何ができるかというと…
●気軽に売上増を見込めるアイテムを発注して自店舗で提供・販売することができる
●他店舗の商品を発注購入することでゴーストレストランとしての稼働も可能になる
②自店舗のメニューアイテムの販売が可能
自店舗の仕込み済み商品を「シコメルストア」内で販売することで、他の店舗に購入してもらえると「通販」「テイクアウト」「デリバリー」と同じようにこれまでにはなかった新たな収入源としての期待値も見込める。
しかもサウナや学校給食など外食業界以外にも販売ができるので、シコメルを通して販路拡大が見込めることで『収益の柱』となるようです。
■ここから本音…
さて、やはりサービスの概要を見ると秀逸です。なかなか使わない意味を見出すのは難しいのかな?とも感じます。
でも…やはり初めに書いた通り、飲食店が食材の仕込みを外注することって、本当にお客様が求める飲食店の形なのかな?と思うのです。あくまで個人の意見として…。
飲食店としてあるべき姿とは何か?
それはお客様に提供したい価値は何かを考え、その自分達の決めた価値に向かって実直に運営していくその有様こそ、あるべき姿のように思うのです。
そして飲食店である以上、食に手を加える部分は店の外で外部に触らせて欲しくない…なんとなくそういう感情になります。ここが一番引っかかる部分なのかもしれない。
■飲食店における商品の立ち位置とは?
飲食店における商品の立ち位置とは、僕はお客様を満足させるための手段と思っています。美味しい料理とは手段。目的は「満足してもらうこと」なんじゃないでしょうか?そのための手段として商品が存在している。
その手段である商品がどこの誰かもわからない人たちが外で作ったものでだとして、その商品で本当に自信を持って、プライドを持ってお客様と向き合えますか?
僕には多分、ここが疑問なのです。働く側の熱量の問題ですかね。。
■飲食業界で15年
これは本当に正解もないし、何が正しいのかは飲食店各店舗がしっかりと考えるべきと思います。
15年この業界にいるからこそ僕個人としても見えなくなっているもの、受け入れられなくなっている部分、あると思います。
これを使うことで何を実現するのか?そこが明確であって「導入=価値ある」と判断するなら使うべきです。
以前にも書いた通り、全てを実現することは難しいです。飲食店運営においても、捨てることは大事です。
何に集中するか?提供する価値を選択すべきです。
大手ナショナルチェーンは色々諦めて、それでもスケールする道を選択した、という記事も書きました。多くのお客様に自店の価値を届けるために。
何を選択するのも自由です。自店の覚悟のもとに。
でも飲食運営の本質は「お客様に満足してもらえる場所としての飲食店」であり、そのための手段には、やはり飲食店の心が込められていてほしいのです。
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