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『聡明な女は料理がうまい』(桐島洋子 著)

この本のおかげで、私は料理が好きだったことを思い出した。

子どもの頃は、初代まいちゃんの「ひとりでできるもん」が大好きで、
小学3年生のときには、『こまったさんのコロッケ』を片手に一人でコロッケを作ったこともあった。

もっといろんな料理を作りたい!

私にとって料理は大冒険であり、大実験だった。

台所で、食材と道具に向かいあうときの高揚感。
レシピ本のわからないところは仮説を立てる。
難しくても、完成させたときの達成感。
帰ってきた家族を驚かせる快感。
美味しいと言ってもらえたときの満足感。

あんなに楽しい気持ちを、どうして忘れてしまったのだろう。
大好きだった料理は、いつの間にか面倒だけどやらざるを得ない家事の一つになってしまっていた。

この本のタイトルに反発を覚える人もいるかもしれない。
「トイレ掃除ができる女の子は美人になる」みたいにさげなく家事をするよう仕向けたり、料理は女性がするもの的な考えを押しつけるものではないから、安心して読んでほしい。(クセはあるけど…)

最近料理が苦痛になってる人や料理に挑戦したいけど勇気が出ない人に、ぜひ読んでほしい。

才たけた女性は必ずよい料理人である。

『聡明な女は料理がうまい』桐島洋子 著

タイトルの由来は、桐島さんの女友達だ。
頭が良くて、家庭を切り盛りしながらバリバリ働く。
そしてみんな料理が上手で食いしん坊。
それぞれの家に集まって、得意料理をふるまい合う。

その中にたった一人、まったく料理をしない人がいた。
その人は東大医学部卒の医師。
別に料理ができるようにならなくてもいいと思うけれど…。

例外がいては困る!
ほんのり艶っぽいたとえ話で彼女を説得すると、
桐島さんは1冊の料理本を取り出した。


どーん!!


おしゃれな料理書。
そしてどこかいかがわしい。
素人お断りな雰囲気を感じるけれど、
ドクターのひとりでできるもんは成功し、タイトルの説得力が増した。

この本が出版されたのは1976年。
当時、桐島さんは39歳。

70年代のアラフォーは元気だ。
文章に勢いがあって、読んでいて息切れしそう。
こういう文章を書く人、今もいるだろうか。
私はちょっと思いつかない。

熱い気持ちと鍋料理で人を暖める女になりたい。

『聡明な女は料理がうまい』桐島洋子 著

ステキだなぁ。
なにかのタイミングで使わせていただこう。

お料理イヤイヤ期が再発したそのときは、桐島さんが紹介していた『恋人に喰べさせたい鍋料理』(岡本かの子著)を読もう。

聡明な女は料理がうまい
この本のおかげで、料理が楽しい人生になりそうだ。



最後までお読みいただきありがとうございました。

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