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42『閑話休題・心が殺されたと思う』@特殊詐欺被害現在進行形
もともとnoteを初めたきっかけは、いまでは自己紹介欄から削除しているが、詐欺被害を知らしめるために!! という使命感とか、正義感とかではなかった。
本当の初期の初期にいくつか書いているのだが、ぼくは読書が好きで、もっぱら現在の小説を読んでいた。「いた」と過去形なのは、現在休職中であるのだが、春先くらいから活字が読めなくなってしまったからである。
しかしそれでも本屋や出版社が主催するイベント、講演会には、好きな作家が出るのであれば、可能な限り参加するようにはしていた。そしてそういうことを書き記し、広めていければ、より趣味を話せる仲間ができるのではないかと思いを馳せたりもした。
しかし怠惰な性格が災いし、ほとんど書けないまま今日を迎えてしまった。
今年こそは書くぞ、と意気込んでいたら、別のことを毎日書いている始末である。
いまは、表現としては語弊があるが、絵が多い、あるいは行間がスカスカの本ならば少し読めるようにはなったが、まだ小説を読むには至っていない。
この流れについては、ぼくの労働環境に問題があったせいなので、仕方ないの一言で片付けたくないが、仕方がない。しかし順調に回復しつつはあったのだ。
今回、一連の流れで、自分は心も殺されたのではないかと考えるに至った。
もう先のnoteにて居住地を暴露しているようなものなので、書いてしまうが、今日は新直木賞作家の伊与原新さんのサイン会が、梅田の紀伊国屋書店で催された。
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だいたい芥川賞、直木賞を受賞されると、多くの方が紀伊国屋書店の梅田本店でサイン会をされることが多い。これはひとえに、紀伊国屋書店の梅田本店には熱心なスタッフさんがいるからに他ならない。
(唯一、ぼくがデビューから追いかけている垣根涼介さんだけはされなかったなぁ……。ちなみに垣根さんは故郷の長崎にてサイン会をすることとなり、ぼくはそのためだけに長崎に行った。この話もいつか書きたいが、書ける日が来る気がしない)
いわゆる感染症ではない限り、多少の精神的な波があろうが、ぼくはサイン会には足を運んで、今を活躍する小説家と言葉を交わすこと、そして本屋のスタッフや編集者の方と話すことで活力を得てきた。
サイン会はだいたい、二週間くらい前に告知されることが多いかなぁと思う。歌手のライブよりは時間のスパンが短い。しかしサイン会に参加する以上は、せめて数ページだけでも読んで、そこから思いの丈を伝えたりしていたものだった。特に初見の方の場合は、時間がない時は読めるところまで読んでサイン会へ乗り込むということも、実は結構多かった。
しかし今回は、本を買い、整理券を確保し、こちらは所用で断られたけれど読書仲間にも声をかけ、いろいろと整えていたのに、
行かなかった。
行けなかったということが正確な表現か。
このようなことは人生で初めてのことだ。
小説家のサイン会に予約して行かないというのは、ぼくの中ではあり得ない選択肢だった。
しかし、そのあり得ない選択をしてしまった。
午前中、図書館に行ったのが行けなかったのかもしれないが、……もう体が動かなかった。
今回の一連の件は、お金よりも大切なものまで奪われたんだなぁと、ここにきてようやく気づいた。
ぼく、心も傷つけられたか、殺されたんだと、切に思った。
伊与原さんは最近、注目されている方だから、会いたかった。
しかし、この状態でお目にかかるのは、相手に対するお目汚し以外の何者でもない。
お金はどうせ戻らないなら、心をどうにかしてほしい。
本当にそう思う。
犯人よ、あなたには情緒というものはないんだろうね。
いまはきっと、小説を読んでも、ぼくは何も感じないだろうし、得られるものもないのだろう。