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40『投資ロマンス詐欺』に引っかかり、約500万借金した四十路の末路@現在進行形-たどり着いた地獄-

(承前)

 結局、昨日は警察に電話をすることはなかった。
 かかっても来なかった。
 明日はかけないと。

 理由はひとえに、自分の体調にある。
 頭痛がこの二週間ほど本当にひどい。
 しかも、決まって左側。
 MRIも撮影してもらうくらいだったが、異常はなし。

 精神科の医師からは歩け、歩けといわれるので、(健康診断の数値も非常にまずく、コレステロール値は300を超えていた)朝四時に起きて、散歩をするものの、寒さのせいか頭痛に襲われてしまい、帰宅してひたすら寝ていた次第である。

 側から見たら怠けている。
 
 自宅の近くを歩いていると、通勤途中の人と多くすれ違い、社会から脱落、……訂正、もはや人生から転落しようとしているんだなぁとしみじみしてしまう。

 閑話休題。
 結局のところ、偽サイトbitforxに送金したのち、イ・テソンと名乗る詐欺師の指示通り、偽サイトから自分の口座に送金するように処理をした。このとき、ぼくは「自分の元金だけでいい。利息は運用する」と告げたのだが、「全額で処理してください」といわれてしまう。

 まあ、全額、もらえるのであれば、その方が安心ではある。
 いわれるがまま、全額送金の処理をしたのが、たしか1/3のことだった。
 まあ300万程度の利益。
 2ヶ月くらいでこれだけ増えるなら、まあいいか。
 と思い、その晩、ぼくは寝た。
 本当に久しぶりに、安心して眠りについた。

 しかし2ヶ月でこれだけ増えるなら、まあ、いいかと思っていたのは、スマホの向こう側の詐欺師だったのはいうまでもない。

 翌朝。
 ぼくの口座にお金は反映されていなかった。

 

いかにもって感じで、アメリカ合衆国が発行しました、的な書類が送られてきた。


さらに6590ドルを払えと。出せるか、ボケ!!

 なんと引き出す段になって、税金が必要だといわれたのだ。
 

10000ドルの利益を超えると、20%もの税金が必要。

 こんなこと、当然聞いていない。
 イ・テソンに抗議をするが、彼はこの後に及んで「投資の利益に対して税金を支払うのは当然だ」と言いだしたのである。
 それって日本で支払うものではないのか??


ぼくも抗議したが、聞く耳持たれず。使えないカスタマーセンター。偽物だもの、当然だ。

 とりあえず、税金がかからない金額でお金を引き出せないかと打診するも、当然、聞き入れられない。なんでももう取り消し処理ができないらしい。

 当たり前だ。
 のちに知るのだが、このとき、すでにお金は犯人の手元に収められているのだから、返せなくて当然ではある。

 鈍感なぼくも、ここで詐欺だと確信。
 どんどんこれはお金を要求されるパターンだ。
 6000ドル払ったら、今度はまた何か理由をつけられて、お金なんて返ってこないだろう。

 その時の気持ちってどんなんだったんだろうか。
 うわぁ、やってしまった、なのか。
 どこかでこうなることを予感していたのか。

 よく判らないのだが、思いのほか冷静だった気はする。

 ただ、足元からすーっと体温が冷えていくような感覚はした。

 2ヶ月で500万も借金をこしらえてしまった。

 そして現在、いまだ身近な方には誰ひとり話せずにいる。

 一人だけ話せたのだが、それはたまたま同じ経験をしているだけのつながりで、それ以上でも以下でもないドライな関係だから話せたのだろう。

 これについては、相手の許可が取れたら、続きとして書いていきたい。

 とりあえず、ぼくに残されたものは、ネットでできた友人ではなく、500万の借金だけだった。奨学金も含めたら800万。

 うわぁ、書いていて、ますます無理ゲー。

 奨学金はきちんと見越して住宅ローンを組んでいたものが、一瞬にしてプラン崩壊。

 自己破産か個人再生か自殺か。
 この三つしか道は残されていないようである。

 たどり着いた境地。
 借金地獄。
 ……以上。

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