おめでとう、の裏に。
子どもを産んでマタニティハイになる話を良く目にするようになり、私も友人にハイになっちゃってどえらいメールしてきた人が何人かいたよね、と思い出した。
その中で思い出に残っているのが「出産レポ」。
当時、まだ結婚すらしてなく20代前半だったかな?子どもを持つ子自体が周りにいなかった時に、そのメールは突然やってきたことを覚えている。
たしか送り主は学生時代にアルバイトをしていた飲食店で2年程一緒に働いた同年代の子だったはず。20代前半で結婚して遠方に行ったところまでは把握していたけれど、その後は頻繁に連絡を取ることもなかったので、急にメールが届いたことに驚いた。
メールの出だしは忘れもしない「ご無沙汰してます★」だった。そして改行もなく流れるように文字が並ぶメールにギョッとした。その内容は「〇月〇日〇時〇分に第一子となる女の子(名前:〇〇)を出産しました(もちろん写真添付)」というもの。(本当はもっと長いメールだった)
久しぶりのメールだったし、彼女とは友好的な間柄だったこともあり、私は「そうなの!?おめでとう♬かわいい子だね!」なんて軽く返事をしたんだけど、そこから鬼のように長い出産レポが届いたときは目玉が飛び出るかと思った。予定日を超過し、破水した時間だとか、夫が付き添ってくれて寝不足になったとか、まあ、わが子を抱いたときは涙が止まらなかったとか、そういう感じ。
正直、なんて返していいかわからないけど「そんなに大変だったのに一生懸命返事をくれたんだろうな」と思ったら「返事しなきゃ!」って謎の使命感に燃え、私も長文の返事を出したけど、その返信は私への言葉に対してではなく、自分に酔いしれたものでぶっちゃけモヤリとはした。けど、当時20代前半だった私は「出産ってすごいな(小並感)」なんて気持ちで終わらせた。
今思えば私も若かった。まだ若いから無知だしな(自分のことながら)、うーん、色々ピュアだったわ。
なんて思うのは、これが1年程前に届いていたら私は荒れ狂っていただろうね~って思うから。真剣に「お花畑メールしてんじゃねえぞ!ゴルア!!!!!!」って正直携帯を壁に投げていたんじゃないだろうかと自分のことながら頭を抱えるほど荒れていたなあ。昨年は妊活で苦労していたし、特に周りが妊娠出産ラッシュだったから。メンタルで言えば今年に入ってからは持ち直したけど、それでも出産の報告にはちょっと敏感になってしまったような気がする。年齢と環境だね。まあ、そんな出産レポメール。ここ数年は貰うこともなくなった。まあみんな大人になったし、その必要性もないと理解したんだと思うけど。
それに加えて「妊娠しました」と言う妊娠報告もないよなあ、という印象。30を過ぎて、妊活、不妊治療で苦労して授かっただけに慎重になっているのもあるだろうし。マタハラとか不妊様とか色々目にする機会も増えたし、SNSではマタニティーマークをしていると暴言を吐かれたり嫌がらせをされたり嫌な経験をした話や、抱っこ紐を外したりと最低最悪な話が耳に入るから、まあ自衛も込めて、だろうね。
もちろん私は「妊娠報告」をするつもりはない。
そこには1つ、あまりいい思い出がないというのと、流産を2度経験して生まれるまでどうなるかわからないんだから、という不安があるから。
いい思い出がない、というのは言い過ぎかもしれないけれど、この妊娠報告と言うのは人柄が出るなあと感じるきっかけがあった。と、いうのも私には年の近い親戚女子が数名いて、この3年はそれぞれ妊活をしていたし、情報共有もしていたことが1つの原因だった。
その中のメンバーも1人ずつ妊娠して行き、結局私ともう1人(妊活に力を入れるあまり会うと妊活の話ばかりでちょっとしんどかった相手)だけになってしまったのである。
当時、妊活しているとはいえ、私も趣味で忙しかったし、妊活に本腰を入れている彼女とのLINEやトークは「ALL妊活!妊娠に悪いことは悪!妊娠に良いことをしている自分は天使!」というような感じだったので、超絶やりとりが苦痛だった。
しかも彼女はSNSで妊娠報告する人をやっかみ、愚痴連絡が凄かったのである。しかも愚痴に見せかけない愚痴。心の中で何度も「もうブロックしたらいいのに」って思ったよね。
加えてしょーーーもない、どーーーでもいいことで相談してくる。少し自分で考えて判断したら?って思うようなことばかり。もうそんな連絡が多発してくると、早く彼女に妊娠してもらって、この苦行から抜け出したい!!!なんて思うようになった。
そんなある日、やたら職場や近所のコンビニなどのたばこ問題を取り上げてブーブー言い始めたのである。
「〇〇さんって言う人はタバコ吸うから打ち合わせの時にタバコくさいの、副流煙って気になるでしょ?口臭からでも副流煙ってあるんだって、すごく嫌で」とある夜にLINEが届いたのだ。元々〇〇さんについての愚痴はすごくて「妊活しているのにストレスが凄いかかる」とか〇〇さんは生きているだけで妊活の邪魔扱いをされていた。
私は基本聞いてあげて「タイヘンダネ」っていう言葉をかけるのが正解だとわかっていたけど、なんかこうそういうのは苦手な意固地な人間なので「〇〇さんに言えないなら職場の他の人に話してはどう?だとか「妊活しているのを知っているのであれば仕事を変えて貰えないかな?」なんて真剣に文面にしたため、返事を出した。
しかし、そこに対してきた返事が「あー、そうね~、まあ、言えたら相談しないよ(笑)」だったので、正直「は?」と思って(いや、声に出していたと思う)、んじゃ何でジクジクと私にそんなメールしてきてんだよゴルァ!!!!なんてこれまでのあれだこれだが爆発し「住む世界が違うのですね、うふふ」と、逆に仏になったので、それ以降この子の相談は「たいへんだね」って返事かスタンプしか送信してない。わかってる、私は大人げない。わかってるから皆まで言うな。
そんな彼女から1か月後、グループラインに長文のLINEが届く。(もちろん件の親戚女子ズなグループライン)
久しぶりのLINEに対する挨拶もほどほどに「私の相談やLINEのやり取りでお気づきの方もいらっしゃると思いますが…」なんて前置きをしっかり書いてきた彼女は改行を3つほど入れ「私、ようやく子供を授かりました!本日、妊娠5か月となりましたのでご報告とさせて頂きます」とウヤウヤしくご報告をしてくれたのである。
「妊活中は色々相談に乗って頂いてありがとうございました。」で締めくくられたその文面を見た私は「あんな相談してくるなら一生ヤフー知恵袋か発言小町にでも書くほうがいいんじゃないの」なんて思ってしまったけど。
しかし、私は正直なところ「え、全然気が付かなかった」のである。そしてその「相談」でLINEしてきた煙草云々を思い出し「ちょっとまて、もしかしてフラグ立ててたつもりのLINEだったのか!?」と思い至り「うわー」って声に出してしまった。
なんか気が付いていたわけもなかったので「全然気が付かなかったよ、おめでとう」って返事したけど。いや、純粋に想像してなかったというか、興味がなかったんだよなあ…。そしてこの後なんだか子無しが私だけになるということで、変な空気になるのではと思って「私は妊活をしばらくやめて、この1年は旅行とか趣味に走ろうと思うよ、出産と子育て頑張ってね」と続けて入れたのだった。
「妊活って精神面で疲れるよね、わかるよ、でも夫婦で話し合ったんだよね?なら応援するよ!私もすごく大変だったもん…!どひちゃんが笑顔で子どもに会える日が来ますように!」って彼女から返事がきて、まあ、ちょっと引いた。昔から悲劇のヒロイン面するような子だったので、今も報告したことに酔っているんだろうな。もちろん既読スルー。
その後、彼女は無事に出産。死ぬほど私がつけたいと思っていた推しの漢字を名付けていて舌打ちしたけど、まあそれは良いとする。
ちなみに彼女に子どもが生まれてからは音沙汰が全然なくSNSで妙に子供については書かないけど匂わせる投稿を繰り返しているくらいで、別に害はなかったんだけど、1回だけ色々親戚に関するLINEが来た。
けど、私も忙しかったし、適当に返して私の話に持ち込まれそうだったので既読スルー。向こうも子どもがいない人と、いる人の違いは分かってるだろうから深追いはしない。
とは言え、彼女は私の親に「どひちゃん、連絡しても返事ないんですぅ」攻撃をするような人ので、先日も親から「あの子からLINEきたけど、返事してあげたら?」と言われて「うわ、出たよ」って思わず親に「正直嫌いだから、無理!」とだけ言って終了。
大人になれない娘ですまん、母よ。
そんな話を何でも言い合える叔母にしたら「わかる、私も従姉妹の〇〇さん嫌いだし、親戚って言っても血のつながりだけで無理して合わせることないよ、遺産とかそう言うの関係ない間柄だし」って言われてスッキリ。
「叔母、〇〇さん嫌いなんだ!?私もだよ!!」なんて盛り上がったけど。
いや、話脱線した。
私のただの愚痴になってる。そんなこんなで妊娠報告ってあんまりいい印象がない。まあ、彼女が嫌いだからなんだろうけど。私の彼女に対する「おめでとう」の裏には良い感情はなかったな。純粋に大変な妊活の末に出来た子どもなので良かったねと言う気持ちはあるけれど、それまで巻き込まれ嫌な気持ちにさせられてきた私としては「おめでとう(これからは変なことで相談してくんなよ、人の親になるんだから自分で考えて行動してくれ)」って気持ちだった。
そんな感じのことを踏まえて「こういう出産報告が望ましい」ということをつらつらと考えるようになった。そんな折、1人出産報告が来たので、その話を最後に書きたい。
この夏出産した友人(幼稚園から一緒)が、出産後にLINEで個別に報告をしてくれた。
「妊娠中は会う機会もなかったので直接報告出来てなかったし、もうすでに親経由で知っているかもしれませんが、先日出産して実家に戻ってます。来月末まで実家にいるので時間があったら会いににきてください(スタンプ)」っていう報告メール。
もう心の中で「パーフェクト」だと思った。
名前も、出産した日も、性別も紆余曲折や感想もなかった。添付したいであろう赤ちゃん写真も。いつも彼女が使う可愛いウサギのスタンプだけ。なんかすごい「イイナ」って思った。「あー、私はこういう感じでいたいな、少しシンプルすぎると思われるかな。でもそれくらいがちょうどいいよな」って。
もちろん「おめでとう!いつ生まれたの?なかなかここ数年あえてないよね、男の子?女の子?写真あれば送ってよ!」ってなんて返事をして、初めて性別と名前、そして写真を送ってもらった。こっちが望むタイミングで情報を提供してくれる。
まじでこれは気持ちよく「おめでとう!」って言えた。
逆に周りの子からSNSでそれとなく妊娠していることや出産したことを察したパターンもある。これはその子との距離感もあったから別に良い。その子自身、私はSNSとLINEで繋がっているけれど、仲良し!というレベルの友人ではない。だからその距離感でLINEをされてもちょっと困ったかもしれない。でも彼女のSNSにはどの程度の距離感の友人かわからないけど「えーー!なんで教えてくれなかったの!?」みたいにコメントしている輩(失礼)もいて「ああ、なんでも知りたいマンが登場しなすった」と冷静に見ていたけど、これは私も気を付けたい。
教えてくれないのは選ばれし者じゃなかったってこと&それを大げさに騒ぎ立てると恥ずかしいだけだZO★
私は基本SNSはどのSNSでもコメントに返信はしないようにしている。だからどうってことはないけれど、その繋がりの中で相手の質と言うものを知るようになるんだろうなと今から不安ではある。嬉しいはずの妊娠報告だけど、言いにくいのはどうしてなのか。なんでここまで相手の報告に一喜一憂、イライラモヤモヤするんだろう、相手と比べているからなのかな。
でも自分の気持ちをひも解けば何となく答えは見えてる。
それは「おめでとう」の裏に何が隠れているのかわからないってこと。
それだけだな。