求人を見るときのポイント:固定残業代
一時期、話題に上がった「固定残業代(固定残業手当)」。今も採用している企業は少なくありません。
固定残業代を採用している=ブラック企業ではないものの、なかには正しい運用をしていない企業も。求職者側も正しく理解することで、ブラック企業の撲滅に役立っていただければ、と思っています。
■固定残業代(固定残業手当)とは
ここにもある通り、固定残業代とは「一定時間の残業代を、あらかじめ月給の中に含めてしまう」制度のことです。「求人を見るときのポイント:月給と月収、年俸と年収」でも記載しましたが、月給とは最下限の給与ですが、固定の諸手当が含まれています。そのため、固定残業代は月給の中に含められるのです。
また、固定残業代ではなくみなし残業代や固定営業手当など、名称は企業によってさまざま。しかし、残業代に相当するのであれば、それはすべて固定残業代です。
■求人での注意ポイント
さて、この固定残業代、求人で見かけた場合、まず下記の3項目を確認してください。
(1)固定残業代の金額
(2)その金額に充当する労働時間数
(3)固定残業代を超える労働を行った場合は追加支給する旨
<具体的な記載の仕方>
月給25万円(固定残業代を含む)
※固定残業代:月20時間分、3万円を含む。
※固定残業の時間を超過した場合、超過した分を追加で支給。
通常であれば、上記のような表記(書き方は各社媒体による)がされているはずです。なぜならば、若者雇用促進法にて明記する義務を負い、全国求人情報協会で上記3項目を記載するとしているからです。
求人広告・求人票で上記のように記載していないのもアウトですが、固定残業代を導入しているのにも関わらず、記載していないのもアウトです。この記載の仕方一つで、その企業のスタンスを理解できるでしょう。
ただ、一つだけ注意が必要です。裁量労働制との組み合わせの場合、「(3)固定残業代を超える労働を行った場合は追加支給する旨」を記載する必要がありません。
なぜならば、裁量労働制はみなし労働時間しか1日働いていないと考えるので、残業という概念がないからです。
■誰のための制度か
ここからは私見になりますが、固定残業代の存在そのものに疑問があります。誰のための制度なのか。残業代の支払い計算の簡略化という人もいますが、実は複雑な計算が必要で、必ずしも簡略化されているわけではありません。
どうにも残業代削減のための制度としてしか存在しないのではないか。そんな疑いを感じてしまいます。
ただ、正しく運用される限りは労働者に不利益はほとんどありません。不利益があるとすれば、超過した残業代は基本給をもとにしているため、残業代が月給と比べると低くなることでしょうか。
よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。