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【スパイスの科学】鏡の中のスペアミント!キャラウェイとは何か?
みなさんはキャラウェイというスパイスを知っていますか?
あまり有名ではないので知らない方も多いかもしれませんね。普段の料理で使うこととは稀かもしれませんが、世界ではいろんな料理やお菓子に使われています。
今回はそんなキャラウェイについて簡単に紹介したいと思います。
キャラウェイとは
シード(種子)で販売されていることが多いキャラウェイは清涼感のある香りが特徴的なスパイスです。日本ではあまり聞きなれないかと思いますが、肉や魚、野菜料理だけでなく、焼き菓子などにも利用される意外と汎用性の高いスパイスなんです。
歴史的には紀元前1500年ごろに古代エジプトで悪霊を避けるために使われていたと記述が残っており、ずいぶん長いこと人類とともにあったと考えられます。古代ローマの時代にヨーロッパに広がり、ドイツでは今でもキャラウェイで香りづけされたキュンメルというお酒が愛されているそうです。一度飲んでみたいですね。
このような歴史的背景があるため、日本やアジア圏ではあまり料理に使われることがありませんが、ヨーロッパでは幅広く利用されているようです。有名な例としてはコールスローに掛けたり、ビスケットに振りかけたりして味わうようですね。
キャラウェイの成分
キャラウェイの豊かな香りを作るのはスパイシーなS-カルボン、柑橘系のリモネン、ウッディなサビネンです。
特にキャラウェイらしさを引き立たせるS-カルボンはメンソールやリコリスのような香りがあり、想像するとしたら八角の刺激を弱くしたしたような香りです。
私もこの記事を書きながら、自宅のキャラウェイシードを噛んでみましたが、八角が一番近いと思います。
ここで少し面白い科学的なお話を紹介しましょう。
キャラウェイの主成分であるS-カルボンとよく似た構造としてD-カルボンというものもあります。鏡写しの異なる構造ということで、鏡像異性体といいます。
D-カルボンはS-カルボンと異なりスペアミントに含まれるミントの香りです。キャラウェイとスペアミントが科学的には非常に近いようで異なる面白い関係になるわけですね。
鏡像異性体の化合物は非常に似ているわりに生物にとっての作用が大きく異なることがあり、サリドマイド薬害などが有名な事件です。香りについても同様に例えばリモネンも鏡像異性体の違いによって変わります。
またキャラウェイの風味を出す際には油に溶かすか、初めに130~180℃ぐらいで乾煎りすると良いと言われています。あまり高温で扱うと苦みが強く出てしまうようなので注意が必要ですね。
最後に
今回はあまり有名でないではないけど、肉料理からお菓子まで様々なところで使われるキャラウェイについて紹介しました。個人的には、香りの主成分がスペアミントの鏡写し関係というのが驚きでした。
科学的に見てみると、意外なところに共通点や関係性というものが明らかになってくるのが面白いですね。