植物が作り出す宝石:プラントオパール
私たちが普段見ている植物の中に宝石がが含まれていることをご存じでしょうか
以前、生き物がつくりだす鉱物バイオミネラルについて紹介しましたが、動物だけでなく植物もまた自らの体内に結晶を生み出すことが知られています。
今回は植物が生み出すバイオミネラル プラントオパールについて紹介したいと思います。
プラントオパールとは
プラントオパールの大部分は非晶質(アモルファス)のシリカ粒子でできています。簡単に言うと、私たちが普段目にするガラスの小さな粒のようなものです。
プラントオパールはとっても小さいので宝石って感じしないですよね。宝石というよりむしろ砂粒です。
しかし、このプラントオパールを拡大するともっと小さいガラス粒が集まってできており、宝石の世界ではコモンオパールといわれます。
もっと大きく成長すればゆくゆくは宝石っぽくなるかもしれないですね!
それでは、このプラントオパールはどうやって作られるのでしょうか?
植物は根から水と一緒に吸収したケイ酸イオン(ガラスのもとになる成分)を内部で固体にすることでガラス質の細胞を作りより丈夫になります。
特にイネ科の植物は細胞にガラス成分を多く取り込むことが知られています。わかりやすい例としては、竹がよくしなり丈夫であるのもこのプラントオパールによるものだといわれています。
また秋の風物詩でもあるススキの葉が鋭くて手を切ってしまうのは、このプラントオパールが葉の表面に現れるためだそうです。(とっても身近なところにあるんですね~)
https://kinomemocho.com/sanpo_thorn.htmlより引用
こちらススキの葉の表面のようですが、いかにも痛そうな感じがしますね!引用サイトを見てもらうと、他にもいろいろ載ってます
つまりもともと柔らかい植物はプラントオパールをつくりだすことで、強く丈夫になってるということなんです!!
とはいえ、このプラントオパールが私たちの役に立つのでしょうか?
実はこれ、これは歴史の研究などに使われるようです。
年代測定
また稲が収穫されて、私たちが食べる米を取ると残った部分は捨てられます(肥料になるのかな?)
この時、稲の内部に蓄積されたプラントオパールは鉱物なので長期にわたって土壌に残ります。この土の中のプラントオパールの形跡をみつけることで、稲作の始まった時期や土地などの手がかりとなります。
産業で役に立つのか
残念ながら、プラントオパールを積極的に利用したものづくりは調べても出てきませんでした。
唯一出てきたのは、竹のプラントオパールを使用したちょっとマニアックな製品です。
現在、それほど産業利用は進んでいないようですが、やはり常温・常圧の省エネルギーでガラスを生成できるというのは何かしらポテンシャルがあるように感じます。
私たちが普段使用するガラスは高温の炉を使ってドロドロに融かしたものを成形しています。
一方で、植物は私たちが生活する環境下でガラスの粒をつくりだします。
植物の力で窓ガラスを作ることは無理でも、非常に小さなガラス材料のヒントにはなるのではないでしょうか。
最後に
このプラントオパールは結構有名なようで、私も今回調べてみるまでは名前しか知りませんでした。
知識はものの見方や考え方を変えるといいますが、ちょっと知るだけで、ものの見え方が変わってきます。
私の実家からすこしいったところには水田がありよくその光景を見ていました。これから稲穂を見るたびに、めっちゃガラスあるな~と思うでしょうね
また数年前に桑の葉のプラントオパールを日本の高校生が見つけたという記事がありました。高校生が研究して論文を出してしまうってすごいですね。
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