メニスカスと毛細管現象~水が吸収される仕組み~
メニスカスという言葉は誰しも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか
聞いたことがなくても、見たことがあるという人は多いはずです。
筒状の容器に期待を入れたときにできる液面の凹みのことです。
凹んでいたら下面の数値を読まないといけないやつですね
小学校か中学校の理科の時間に習う現象ですが、どうしてこんなことが起きるのかを教えてもらった覚えはありません。
実は、メニスカスは物理として非常に興味深い現象の1つでもあるのです。
ここでは、そんなメニスカスに関して解説していきたいと思います。
はじめにメニスカスの原理を一言で説明してしまうと表面張力による現象です。
それでは、表面張力とは一体何でしょうか?
表面張力とは
表面張力とは、液体表面が持つエネルギーを最小にしようとする力です。
表面エネルギーというとわかりにくいかもしれませんが、物質はたいてい表面に露出する面積を減らしたい性質を持ちます。
そのため形を自由に変えられる液体は、自ずと表面積が小さくなる球形になろうとします。
雨粒が液滴(球状)になるのも、コップに水に注いだ時に一杯になっても水がこぼれないのも表面張力による現象です。
ここで、本題のメニスカスに戻りますが、水が容器の中に途中まで入れられたとき、最も表面積のエネルギーを減らそうとすると凹型の形をとります。これには液体と容器の関係が影響し、よく知られた例では水銀は凸型の形になります。
世の中の現象は基本的に系のエネルギーを減らそうとします(エネルギーが小さい=安定)。イメージとしては高いところにあるボールが低いところに転がっていくのと同じです(位置エネルギーの減少)。
この場合では、管状の容器の表面が露出しているよりも、水で濡れていたほうがエネルギーが小さい(安定である)ため、水が容器に濡れあがってメニスカスを形成します。
この現象は管でなくても、2枚の近づいた板の間でも起きます。例えば、2枚の下敷きをくっつけて水に浸すと、たちまち水が下敷きの間で上昇します。これは下敷き表面の持つエネルギーを小さくするために水が隙間を埋めたほうが安定であるためです。
このように細い管や隙間に水が浸透し、上昇(もしくは下降)していく現象を毛細管現象といい、その時にはたらく力を毛管力いいます。
毛細管現象
この毛細管現象は、毎日すべての人が経験していると思います。
タオルで濡れた手をふくと、水がタオルの繊維に吸収されて手は乾きますよね。当然のことですが、革製品やビニールなんかで手を拭いても乾きません。
これはタオルが微細な繊維でできているため、繊維の隙間を埋めるため水が浸透していくわけです。これは小さな穴をたくさん持つスポンジも同じです。
この現象は他にも多く見られます。
例えば、紅茶のティーバッグを長時間コップのお湯に浸していると、コップが濡れていることがないでしょうか?
これはティーバッグの紐(無数の糸の束)に水(お湯・紅茶)がしみ込んで、コップの縁まで上がってくるのです。
他にも、植物の根が水を吸収する理由の1つとしても毛細管現象が挙げられます。
このように毛管力は非常に強い力であり、重力に逆らって水がひとりでに上昇してしまうのです。
最後に
毛細管現象は身の回りにありふれた現象ですが、今でも研究が盛んにおこなわれています。
毛管力は、微小な空間に低コストで大きな力を与えることができることから、微細加工やパターニングなどに利用されます。
一方で、微細な構造を持つ半導体素子が乾燥する過程で、せっかく作った構造を破壊してしまう恐れがあるため、毛管力を抑制する研究なども行われています。
私たちの身の回りには表面張力や毛管力に関する現象は他にもたくさんあります。
今後も、少しずつ更新できたらと思います。
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