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【1分で読めるミニ記事】 微小な柱で血小板を生み出すデバイス

血液は私たちの体の中で非常に重要な役割を果たし、赤血球、白血球、そして血小板など、さまざまな種類の細胞で構成されています。

中でも血小板は、傷ついた時に血液が凝固するのを助ける非常に小さな細胞です。かさぶたのもとになるやつですね。

そんな大事な血小板の不足を治療するために、一般的に血小板の輸血が行われますが、この方法には限界があります

今回紹介する論文では、とっても小さな柱を用意して作られたマイクロデバイスを使用して、人工的に血小板を作り出す技術を開発しています。

それでは一緒に見ていきましょう。

血小板を生み出すマイクロデバイス

まず血小板はどこからやってくるのでしょうか?

血小板はメガカリオサイトという巨核球から生まれます。この巨核球とは細胞の一種です。

研究グループはマイクロデバイスの中にVWFというものでコーティングした小さな柱をたくさん用意して巨核球をすりつぶす装置を作りました。このデバイスはマイクロ流路になっており、巨核球が含まれた液体を通します。


c: デバイスを上から見た図、規則的に並んだ柱に巨核球がぶつかってちぎれている様子がわかる(参考文献より引用)

その際に大きな巨核球は柱に当たり引き延ばされたり、こすれたりすることで細胞膜が破れて散り散りになります。こうすることで、効率的に巨核球から血小板を生み出すことができるそうです。

この新しい方法は非常に速く、わずか1時間で数百万の血小板を生成できます。この実験室で生成された血小板は完全に機能し、人の体内から取り出された血小板と同様に輸血に使用できるそうです。

ちなみにVWFというのはフォン・ヴィレブランド因子と呼ばれるもので、巨大な糖タンパク質のことだそうです。初めて聞きましたが、すごい名前ですね。

さらに巨核球の含まれた液を増量させて行われた実験では、生産された血小板状の粒子の数が広い範囲で線形に増加するため、デバイスが満タンになることはないようです。

また破砕過程は約20分かかり、2時間のパーフュージョンで100万個以上の巨核球が捕捉および破砕されることを示しています。同じ柱に複数の巨核球が接着していることがあり、捕捉の潜在能力はさらに大きくなります。

こうして微小な柱を用意することで、大量の巨核球を破壊し、同時に大量の血小板を生み出すことに成功したんですね。

最後に

今回は、微小な柱を用意したマイクロ流路のデバイスを作成して、血小板を大量に生み出す技術を紹介しました。

科学の進歩は早いですが、医療はなかなか前には進みません。これは一般的な電子デバイスと異なり、人々の健康に関係するところだからです。その分、安全性が求められるんですね。

しかし、日々進歩する科学技術が少しでも医療として私たちの身近になることを願いたいですね。

トップ画は「はたらく細胞」より引用しました。この作品とってもわかりやすく血管内のことについて学べて楽しめるので、是非チェックしてみてください!

参考文献

Microfluidic model of the platelet-generating organ: beyond bone marrow biomimetics

ChatGPT-assisted Journal Reading


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