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3分でわかる動的光散乱法(DLS)
動的光散乱法(DLS)と聞いて、わかるわかるという人はほとんどいないのではないでしょうか?
この手法は光を使ってナノの世界を覗き見る、研究ではなくてはならない測定装置の1つです。
以前、流体力学的径という専門用語を簡単に説明してみるという記事を書きましたが、今回はそれと非常に関係の深い動的光散乱法の紹介です。
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動的光散乱法とは
主に、(光学)顕微鏡では見ることができないような小さな微粒子の大きさを調べることができる測定装置です。
何度か書いたことがありますが、光は一般にその波長程度よりも小さなものを見ることが難しいです。私たちの目に見える光(可視光)で言えば、200nmぐらいが限界でそれより小さな粒子のサイズを調べようにも直接見ることができません。
しかし、可視光を使って粒子のサイズを知る方法があるんです。その1つが動的光散乱法と呼ばれる手法です。
動的光散乱法ではその名の通り、”動的”つまり動いている粒子からサイズを調べることができます。
流体力学的径の記事にはもっと詳細を書きましたが、液体中の粒子の動きやすさは、粒子のサイズによって変わります。大きな粒子はゆっくりと、小さな粒子は素早く動けます。
この粒子の動き方を調べるのが動的光散乱法であり、その動き方からサイズ(流体力学的径)を計算することができるわけです。
動的光散乱法の原理はちょっと複雑です。厳密には自己相関関数というものを用いて、粒子の動きを調べます。
ざっくりと言ってしまうと、粒子の含まれる液滴に光を当てます。粒子に当たった光は散乱し、検出器によって観測されます。粒子は無数にあり、動いているので、検出されるデータはノイズのようなよくわからないものです。
しかし、時間ととも変化するノイズのようなジグザグのデータを比較すると、とある関係性が見えてきます。その関係性から、粒子がゆっくり動いているのか、素早く動いているのかを数値で表すことができます。
粒子の動きやすさがわかれば後は簡単です。粒子のサイズ(流体力学的径)を得ることができるわけですね。
光を使って直接観察することはできなくても、光のゆらぎを観測して、あれこれ計算することで、粒子のサイズ知ることができるんですね。
最後に
今回は、小さな微粒子のサイズを調べる動的光散乱法について紹介しました。
コロイド(ナノ粒子やマイクロ粒子)、粉体などの研究分野では欠かせない測定装置の1つです。一般的には全く有名ではないですが、このような装置があることで、科学が発展しているんですね。