【1分で読めるミニ記事】人間微生物史に内在する謎:オベリスクの驚きの発見
近年、ウイルスやワクチンの研究は急速に進められており、想像を絶する速度で新たな感染症の発生とそれを撲滅するワクチンの開発が繰り広げられています。
生命科学の領域でも人知れず、ウイルス周辺の研究は進んでおり、
ウイルスとウイロイドの中間
以前、細菌とウイルスの狭間の存在としてウイロイドを紹介しましたが、どうやら研究者の中にはウイルスとウイロイドの間にはかなり差があると考えられていたそうです。
というのも、ウイルスのもつRNAは数千~数万の塩基対からできています。これはどういうことかというと、遺伝情報を決める4種類の塩基(文字A,U,C,G)があるんですが、それが数千以上連なっているということです。
一方、ウイロイドはこの文字が400個程度ということで、その差が大きく開いているわけです。
つまり、研究者たちからすると、もしかしたらウイロイドとウイルスの間にも似たような物質カテゴリがあると考えていたわけです。
まさにその予想通り、最近ウイロイドとウイルスの中間に位置するカテゴリを見つけました。その名もオベリスクです。このオベリスクは約1000個の塩基(文字)によって構成されています。
オベリスクというと、古代エジプトの神殿などの前に置かれた柱のような物体を指します。今回新しく見つかった物質は細長い分子であり、まさにその形からオベリスクと名付けられました。
今のところ、査読段階ぐらいでまだまだ続報が気になるところですが、査読前の段階ですでに注目論文としてピックアップされています。
オベリスクの特徴はいまだわかっていないことが多いのですが、見つかったのはまさかの人間の体内です。被験者の口内や腸内の物質を抽出して調べた結果、なんと合計約3万種のオベリスクが見つかりました。
このように聞くと、なんだか恐ろしく感じる人もいるかもしれませんが、まだその実態は謎に包まれています。現状、人類と共存しているわけですから、すぐに悪影響を及ぼす存在ではないと思います。
逆に、今回オベリスクが見つかったことにより生命科学の研究はより一層進んでいくでしょうね。
最後に
今回はオベリスクについて紹介しました。
注意が必要な点として、これまだ査読前の論文ということです。要は有識者によって適切なプロセスで論文が評価されているわけではありません。
そのため鵜呑みにするのは危険ですが、少なくともデータに誤りがなければ、なにかしら新たな領域の発見という風に捉えられるかもしれません。
査読結果や再現実験などの続報に期待したいところですね。