3分でわかる分光光度計(UV-Vis)
色というと、リンゴは赤いとか牛乳は白いといった感じで私たちは感覚的に理解できます。
しかし科学の世界では、きちんと数値としてあらわさなくてはなりません。
様々な色の水があった時、それが何色なのか、数値を出して調べるために使うのが分光光度計UV-Visです。
物質系の研究をしていないと、一度も聞いたことがないかもしれません。しかし、この装置がなければ、私たちは色を調べることができません。
今回は、そんな色を調べる装置、分光光度計について紹介したいと思います。
分光光度計とは
分光光度計は通称UV-Visと呼ばれたりします。これはUltraviolet-visibleの略で紫外線~可視光の光を使った紫外可視分光光度計ということです。
そもそも紫外線って聞いたことがあるけど何だよ?という方もいるかもしれません
光というのは電磁波であり、そのほとんどは私たちが見ることができません。
私たちが見れる紫~赤(虹の色)は、可視光と呼ばれる電磁波(光)の一部に過ぎないのです。紫外線というのは紫の光のお隣にあるちょっとエネルギーの強い目に見えない光のことです。
http://www.my-craft.jp/html/aboutled/led_denjiha.htmlより引用
つまりUV-Visと呼ばれる分光光度計は、目に見えない紫外線から目に見える赤色ぐらいまでの光を使って、物質の色を調べる装置となります。
何がどうやってわかるのか?
そもそも光を使って、どうやって色を数値にするのでしょうか
光(電磁波)は波なので波長と呼ばれる数値で表すことができます。例えば520nmの波長はだいたい緑色の光を指しています。この数値が大きくなるほど赤色(700nm)に近づきます。
つまり、色というのは光の波長の数値で表すことができるのです。
ここで、赤い色水を測ってみましょう。数値としてはどのように出るでしょうか
赤色なんだから、装置に入れたら700nmって出るのでは?と思いがちですが、UV-Visではそうは出ません。
ここでは補色の関係が効いてきます。
UV-Visの原理を簡単に説明すると、いろいろな波長(色)の光をサンプルに当てて、その時何色の光が吸収されたか調べるのが一般的です。
私たちの目に届くのは吸収された光ではなくて、吸収されなかった残った光です。
補色の図 対になる色が補色の関係にある(赤⇔緑、青⇔黄)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E8%89%B2より引用
つまり、赤い色水というのは赤(700nm)の光を残したということになります。例えば、金のナノ粒子を測ると、緑の光(520nm)が吸収されます。すると、緑の補色の関係にある赤が際立って残るため、私たちの目には赤色に見えるわけです。
金ナノ粒子の写真↓
物質の色について科学的に議論するときは、この吸収された光(色)を使います。これを吸光波長といいます。赤い色水の場合は緑の吸光(520nm)ということになるわけですね。
最後に
今回は、色を調べる装置、分光光度計UV-Visについて紹介しました。馴染みのない方もたくさんいるかもしれませんが、科学の世界で色を議論するときには欠かせない装置です。
ちなみに色というのは、吸光だけでなく反射光なども存在するため、すべての色測定を網羅しているわけではないのでご注意を