#14|意図お歌詞 『サンセットエスケープ』
やあ、死なない程度に頑張ってるかい?
ERWITこと杉山だ。
今回は『サンセットエスケープ』の歌詞についてお話をしようと思う。
まだ聴いたことないよって人は、ぜひ一度聴いてみてくれい。
歌詞に合わせて音を選んだり、曲のアレンジを変えたりすることも良くあるからさ、歌詞を読み込んだ後に聴くと、また少し違った発見があるかもね!
じゃあいくよ。
ERWIT - サンセットエスケープ
ここは舞台や情景の設定パートだね。
日暮れ時、帰りのチャイムが鳴り始め、もうこんな時間か、でもこのまま帰るのはなんか味気ないよな、なんて考えていた2人。そこで、普段は通らない道へとあえて進み、今日を終わらせないようにする。別に明日も会えるんだけどさ。
このパートの味噌は「同じこと思っていた、たぶん」。ここで2人の仲の良さを表してるんだ。でも、100%理解し合えるものではないと知っているから「たぶん」が後に付くんだ。そして、回り道を選んで迷子になった「ふり」をしてもお互い何も言わない。2人とも帰りたくないと思っているからね。
で、最後に「明日も会えるのに」を付け加えることで、未来じゃなくて今を生きている感を表現してるんだ。明日のことなんかどうでもいいぜ!って青春っぽいじゃん?
ここは、漠然とした悩みを打ち明けようとする主人公の気持ち。
真剣に相談したら、きっと真面目に答えてくれるんだろうけど、別にこれといった解決策が欲しいんじゃなくて、ただ話を聞いて欲しいだけ。
だから、重い空気にならないように冗談ぽっく言ってみたりする。
でも、ほんの少し一緒に悩んでくれたら嬉しい。
そんな、めちゃくちゃ微妙な心境を歌ってるんだ。
文章としてきっちり成り立ってない感じも良いよね。
ここで一気に意味が分からなくなるよね。(笑)
いや実はこの曲、タイムリープもしくはタイムトラベルものなんです。
「時をかける少女」ってアニメーション映画知ってるかな?
あれを思い浮かべてもらえるとわかりやすいかも。
主人公は未来から来てるんだけど、現代に親友と呼べるやつができちゃって、帰るのをためらっている、みたいな。
「似た影を伸ばすけど」っていう部分は夕焼けに照らされているイメージを示唆しているね。
2Aでまた、情景パートに戻る。
どれだけ仲が良くてもずっと一緒にいると話題は尽きるし、次第にやることも無くなってくるじゃん?
でも、別に居心地が悪いわけじゃないから、2人してぼーっとしてる。そうこうしているうちに、ビルやマンション、アパートや家に明かりが灯りめる。その光景を変わらずぼーっと眺め、ああ、この光の数だけ生活があるんだな、ってふと思う。
そんなシーンだね。
たぶん分かりづらいのは「困ったふりで困らせるよ」の部分かな。これはもうただのギャグ。2人なら何も喋らなくても、ぼーっとしていても、全然気にしないのに、やたらと真剣な表情で遠くを見つめてみて、それを見た相手がどんな反応をするのか確かめる的な。シュールなボケですね。こんなしょうもないこともできちゃうくらい、2人は仲がいいんだろうね。
「窓の数だけ生活があるんだな」って部分は、僕がいつも思っていること。明かりがついていて、なおかつカーテンが空いている部屋とか見るとグッとくるんだよね(変な意味ではないです)。あの部屋に住んでいる人はどんな生活を送っているんだろう、どんな人と仲が良くて、何を目指していて、何を考えて生きているんだろうって。自分がこれだけ色んな経験をしてきて、甘いも苦いも沢山の思い出を持って生きているんだから、きっと他の人にも同じように歴史があるんだよなって、でもきっと死ぬまで関わることも無いんだろうな、とも思ったりして、だからこそなんか考え深いよね。
この部分は言葉遊びですね。
「愛の言葉(あいのことば)」と「合言葉(あいことば)」。仲が良いと、感謝や想いを伝えるのが照れ臭い時ってあるじゃん。だから、2人にとってのそれが「サンセットエスケープ」になるわけですね。
「ほんの数秒前から色褪せてゆくと知った」っていう部分は、言い換えるなら楽しい時間はすぐに思い出になっちゃう、みたいな感じかな。時間の流れという抗えないものに対する切なさと、それでもちゃんと記憶として残るという希望、これを色と形で表現してるね。
こういう手法よく使うよね。倒置法っていうのかな。
「○○した。〇〇だったけども。」みたいなやつ。
1Aの「同じこと思っていた。たぶん」とか「迷子になったふり。明日も会えるのに」とかもそうだね。
こういう表現を使うと、情緒的になるし、後にくる言葉や文章が印象的になるんだよ。
つまり、倒置法が使われている多くの場合は、後にくる何かが重要なんだ。
今は「色褪せてゆく」けど「形だけはちゃんと残っている」。
この部分はさ、僕がバンドをやっていた学生時代に仲良くしていたバンドSUMMERMANの曲から歌詞をサンプリングしてるんだ。
「裸足のまま駆け出して」っていう部分ね。
なぜかタイムリープものになっちゃったけど、もとはというと昔仲良かった人達とのことを想いながらこの曲は生まれたんだ。あ、今もたまに遊んだりするんだけどね。それでも、みんな少しずつ成長して、環境も変わって、あの頃みたいにはいかなくなるわけよ。それが当たり前なんだけど、当時を思い出して胸がグッとなることもあるよね。
「馬鹿みたいに無敵だった」→「こんなに臆病になれた」。この部分の表現は結構気に入ってる。臆病って言葉はネガティブな意味合いで使われることが多いけど、ここではポジティブなんだ。「なれた」って言っちゃうくらいにね。ほら、死ぬほど大切なものができた時って、同時にそれを失いたくないっていう気持ちも手に入れるでしょ。つまり、失うのが怖いほど、君と居る時間が大切なんだっていう意味をこの一説に込めたわけなんです。
はあ、こんなことをストレートに思える主人公と、そう思ってもらえる相手、2人の関係性が尊いよ。自分で書いた歌詞なのに泣けてきちゃった。
「笑い合った日を思い出し笑えたらな」って部分も友情サンプリングで、Sleeplessっていう超熱いバンドから借りてます。今はもう活動してないんだけど、だからこそこうやって、あの頃の大切な思い出を音楽に記録しておこうと思ったのかもね。そう、これは青春友情タイムリープものなんです。
これからさ、色んなことに迷って、疑って、きっと変わってしまうのだろうけど、安心してほしい。音楽があれば、いつまでも子供の心を思い出せるはすだから。
BIG LOVE & GOOD LUCK!!