書籍紹介|バナナペーパーとの出会い【Day130】
『ルワンダに灯った希望の光:久美子のバナナペーパー』
津田久美子著
“捨ててしまうものを
資源として使えないだろうか”
ノートの紙切れ,キテンゲの切れ端,野菜のクズ,家畜の糞,農作物,ユーカリの木......
そうだ,バナナの木!!
バナナの葉や幹を何かに利用できないだろうか?
資源利用について考えていた時に,この本に出会った.
(ちなみに,Amazon Kindle Unlimitedで無料でした)
千の丘と言われるルワンダで、丘と丘の合間に鬱蒼と茂るバナナの木々.
日本にもある黄色いバナナiminekeと食用の緑のバナナigitokiがいたるところで栽培されている.
ここルワンダの地で,バナナ繊維100%の「バナナ和紙」作りに奮闘した日本人がいたのだ.
その方が著者の津田久美子さんだ.
津田さんは,子育てが落ち着いた50代後半で一念発起し,大使館勤めを機にアフリカの農民支援に携わってきた.エチオピアから始まり,マラウイ,ルワンダのコーヒー農園の支援にあたり,2011年から本格的にルワンダでバナナペーパープロジェクトを始動させた.
“電気も水もない”
現地の人々が,現地で「ルワンダ製品」として生産できるようにと,機械も薬も使わないバナナペーパー作りに挑戦したのである.
バナナの繊維はとても硬く,機械も薬も使わないで作るのは不可能だと言われていた.しかし,試行錯誤を繰り返し,2015年についに「バナナ繊維100%の和紙」が完成した.
その後,バナナペーパー作りの後継者が育ち,さらにはバナナペーパーを利用した商品開発が行われ「ルワンダ製品」として認識されるようにまでなったのである.
津田さんがこれまでに行ってきた,アフリカの農民支援,そしてバナナペーパープロジェクトに奮闘した記録が「アフリカ農民支援体験記」としてこの本に綴られている.
何歳になっても挑戦し続けることができる勇気を与えてくれる,そんな一冊である.
巻末にバナナペーパーの作り方も記載されているので,バナナが栽培されている他国でも活動のヒントになるかもしれない.
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今回はありがいことにご縁があり,ルワンダに訪問しているという津田さんに本日お会いすることができた.
先輩OBに津田さんと繋いで頂いて,貴重なお話を伺うことができた.
津田さんは,70歳代とは思えないほどパワフルな方で,内側からエネルギーが溢れんばかりの素敵な方であった.
「行動を起こすのに年齢の制限はありません」
津田さんの著書のあとがきに締めくくられている言葉だ。
まさにこの言葉を表しているかのように,話しをしている時の顔がキラキラ輝いていて,本当に生き生きとされているといった印象であった.
津田さんが活動されていた「COVEPAKI」があるのは,私の任地からさらに南に進んだキブンゴという地域である.この地域では津田さんの活動とは別にバナナペーパーからナプキンを生産している企業もあるようだ.
今回の訪問では,キブンゴではなく新しく北部のムサンゼに訪問されるとのことだった.ムサンゼは先々月に武装勢力による事件が起きているため,JICA事務所の許可申請が必要な地域だ.
10月4日から5日にかけての夜,ムサンゼ郡キニギで武装勢力が襲撃事件を起こし,14名を殺害し,18名を負傷させています。ルワンダ軍と警察は,襲撃事件の実行犯のうち21名を殺害,5名を逮捕し,残りの実行犯を探しています。(在ルワンダ大使館より)
ムサンゼに住む隊員やムサンゼに行っていた日本人の方によると,事件が起きたとは思えないほど平和でとても過ごしやすい地域だという話を聞いている.
今回は同行することが残念ながら叶わなかったが,次回訪問される時は,津田さんの活動にご一緒させて頂きたいと思う.
著書には2017年までの記録が綴られていたので,2017年以降の活動を中心に話を伺った.
現在はルレンゲセクターの新拠点でバナナペーパーが作られ,今回の訪問で新たに北部へバナナペーパーが進出するようである.そして,バナナペーパーアーティストたちは独立をして各自が作品作りに励んでいるようである.
ルワンダ人相手に,文化や考え方など上手くいかないことの方が多いようである.ここには詳しく書くことができないが,農民支援や収入向上の厳しい現実や大変さも知ることができた.
※HPがあるので興味がある方は覗いて見てください.
津田さんの活動HP:HAT de Coffee & Banana
津田さんとの出会いを通じて,バナナペーパーの可能性を感じるとともに活動へのアイディアがさらに広がった.
近々バナナペーパー作りを学びにキブンゴに訪れたいと思う.
そして,派遣先の学校でもバナナペーパー作りを通して,子どもたちが資源の活用や大切さを学ぶきっかけを作れればと考えている.
また,日本との手紙交流をする機会を作り,バナナペーパーで日本への手紙を送れたら素敵だなと思案している.
“バナナペーパー×○○** ”**
いろんな活動のアイディアを膨らましていきたいと思う.
(2019/12/07)