思春期の棘
散りゆく桜がホームに流れ込んでくる。有松帆乃香と井上万里子は電車を待っていた。
帆乃香「ねぇ、クラブ決めた?」
万里子「料理部かな!」
帆乃香「じゃあ私も~」
万里子「ほんと?嬉しい」
帆乃香「私万里子しか友達いないもん。A組気取った人ばっかだし」
万里子「B組もだよ~友達できなさそう」
笑いあう2人。反対側のホームに電車が到着する。電車から降りた春園未央奈は、万里子を見ると笑顔でかけより、
未央奈「万里子やっほ~」
揺れるスクールバッグに、熊のぬいぐるみがついている。帆乃香は万里子のバッグを見る。
帆乃香「もしかしておそろい?」
万里子「え、たまたま」
未央奈「え?おそろいでしょ?」
万里子「あ、うん」
目の前のホームに各駅停車が止まる。
万里子「じゃあ、明日!」
万里子は勢いよく電車に乗り込んでいく。
未央奈「またね~」
青い電車が夕日に照らされながら、ホームを後にする。
未央奈「あなたは急行?」
帆乃香「万里子もだよ」
未央奈「え?」
帆乃香「あ、ううん。たぶん用事があったんじゃないかな」
未央奈「そっか」
帆乃香「万里子の友達?」
未央奈「うん!超気が合うんだ。料理部入ろうって言ってるの」
帆乃香は視線を足元に落として唇をかむ。
帆乃香「そっか」
赤色の急行がホームにやってくる。
未央奈「きたきた」
帆乃香「ごめん。おなか痛くなった!」
帆乃香は全力で、改札へ向かう階段をかけあがっていく。
いいなと思ったら応援しよう!
いつもありがとうございます🤍