Work|最近のお仕事と #麒麟がくる
よっぽど謎な動きをしているのか、「江六前さんって何して儲けてはるんですか?」(関西弁に他意なし)とよく聞かれるので、最近のお仕事をちらりと紹介しますね。
東京国立博物館で11月29日まで開催している(会期が短いので注意!)「桃山 天下人の100年」に関連したムック本、《桃山 美術 ~ 天下人が愛でた美の世界》で編集執筆を担当しました。
編集・執筆としては、第一特集を担当し、「三英傑」と呼ばれる織田信長、豊臣秀吉、徳川家康にまつわるストーリーと作品を紹介しています。ぜひ展覧会の予習にお買い上げくださいませ。
また、巻頭では、展覧会のワーキングチーフで、東京国立博物館学芸企画部長の田沢裕賀さんのインタビュー記事を執筆しています。
田沢さんは、美術でよく使われる「桃山時代」というのは、織田信長が将軍・足利義昭を奉じて入京した1568年か、信長が義満を追放した1573年から始まり、1615年の大坂夏の陣の豊臣家の滅亡までとされているけど、その前後にももちろん「桃山美術」的なものは存在していた、と説明してくださっています。
そのお話のなかで、おもしろいな、と思ったのは、今回の展覧会の時代とほぼ同時期を舞台にしたNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で、時代区分としては、桃山以前の足利文化のシーンに、しっかりと桃山美術が映りこんでいたと指摘されているのです。
NHKの大河ドラマ『麒麟がくる』では松永久秀の多聞山城に金の襖が使われていました。桃山の精神性がすでに室町時代にあったことがドラマのなかに描かれていました。
『麒麟がゆく』を録画して見ている僕はさっそく見返してみました。
22話「京よりの使者」の回で、関白の近衛前久(本郷奏多)が松永久秀(吉田鋼太郎)の元を訪れるシーンで、たしかに、背景の壁にいかにも桃山っぽいキラキラと力強い金を使った絵(土佐派のような)が描かれているのが確認できます。
ナレーションでは多聞山城築城の3年後と言っていましたので1563年頃のシーン。織田信長が将軍・足利義昭を奉じて入京した1568年の5年も前のことで、美術区分としては室町美術になるわけですが、田沢さんがいうようにもうすでに桃山美術が始まっているということが、ドラマのなかで認識されているのです。
さすが大河ドラマ、時代設定がモダンで先進的です。
さらに、28話の「新しき幕府」では、『桃山美術』の20ページでも書いている《唐物茄子茶入 付藻茄子》(静嘉堂文庫蔵、展覧会未出展)を松永久秀が織田信長(染谷将太)に献上した場面も描かれていたりと、権力と美の関係を示す興味深い描写がもりだくさんです。
『麒麟がくる』の最終回(44回)は2021年2月7日(日)に決まったそうですね。物語自体は、28話の時点では信長が上洛を果たしていますので、「桃山時代」真っただ中。展覧会を見ながら、ドラマを見ると、また違った発見があるかもしれません!
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