Like|恥かくくらいのリスクならどんどん始めよう
2月2日(日)22時から、公開Web対談をすることになりました。
お正月に見たテレビ番組の感想を書いたnoteをたくさんの方に読んでいただきまして、その読者のお一人が、ヴィッケンカンプ和海さんでした。
海外では「日本料理を知ること」に障壁がある
和海さんは、ドイツで日本料理を一般層に広げるためのオンラインアカデミー「Master of Japanese Cuisine Academy」を運営されています。
TwitterのDMでメッセージをいただき、電話でもアカデミーの取り組みを聞くことができました。
「日本の一流料理店の料理人さんが世界各国をまわって、日本料理の技と伝統、文化を伝道されています。そのおかげで、日本料理は世界的ブームになりました。その一方で、ブームに便乗した、日本料理店とはいえないようなお店も増えています。それは、お店が悪いわけでも、利用する側の責任でもありません。ただ、本当の日本料理を知る機会がないからです。そういった一般的な料理店に勤める人たちにとっても、きちんとした日本料理を伝える場所が必要だと思っています。ぜひ一度、アカデミーのコンテンツとして、noteの内容をもとに、深掘りして話してもらいたい」
たしかに、日本料理はブームで、いわゆる懐石・会席料理だけでなく、ラーメンや餃子、焼き鳥、たこやき、お好み焼きなど、僕たちが普段食べているものが海外で人気になっています。その一方で、アジア圏の人が日本料理という看板だけを掲げて、日本人からすると「これ何?」みたいな料理が出ているという話を聞く。
日本料理自体、日本人でさえも構造がひじょうにわかりにくいもので、それをそのまま文化という深い根底までを含めて伝えるのは、異議のあることであるが、とても難しいことだと思っています。
「日本人が日本のことを伝えられないでどうするんだ!」
みたいなことを言う人がいるけど、なんでも欧米でできるんだから日本もできるみたいな、欧米賛美もなんか違うかなとも思います。
言語によって文化を継承・体系化したがる欧米諸国に比べ、日本の多くの文化は共感(想像を共有することで生まれるマジックのようなものが日本人は大好き)をもとに成り立っているので、そういったものを言語で伝えようとすること自体が、僕は難しいと思うんです(ただ、「無理」ではないと思います)。
日本料理は、日本の文化まで学ばないといけない、みたいなことは、ある一定の興味を持ってくれる層には有効かもしれないけど、それ以外にとっては、あまり興味のないこと。ただ、だからといって、日本の本質を理解せずに表層だけを消費されちゃうのも、全人類の知の後退を招くだけなので、最終的には、文化の部分も理解してほしいなというのが、僕のスタンスです。
結局は「入り口」の問題なのかな、と思うのです。だから、和海さんの取り組みのように日常的に日本料理を学べるようになるのは、大切なことだと思い引き受けさせていただきました。
地理的要因によって人とモノが動き文化が生まれる
テーマは、「海外と日本の食体験、これからどうなっていくんだろう」と、大きなテーマでどんな話になっていくのか、当時の和海さんの質問に答えながら進めたいなと思っています。
僕自身は、日本料理の歴史を学んだり、実際に調理を学んだこともありません。日本料理を海外に正しく伝えることができるかたは、もっと適任な方がいると思っています。
一方で、せっかくお引き受けしたのですから、自分らしい話をしたいなと思っています。たとえば食文化を、世界史や美術史、地理などを上手く例にして、日本や世界の料理について話せればと。
そもそも発端になったnoteも、あくまで地形を思い浮かべながら考えていたことです。古代の四大文明は、かならず大河を中心に生まれたように、歴史と地理を別々に考えることはできません。
僕はよく地方にいったら城や高台に登ります。そこから見える景色をみて、なぜこの地が都になったのかを考えたり、商品の流通や人の行き来によって文化がどう出来上がったのか、というのを調べるもの好きだったりします。
前職では、産地を1泊2日で取材する機会が多かったのですが、そのとき必ず訪問する県の地図を、空港とかで探して、地理を把握してから取材先に行っていました。
美術史でも、ヨーロッパを南と北で分断するピレネー山脈がルネサンスの発生と伝播に大きな影響を与えて、それがじっさいに絵画様式として現れています。
雑食的な編集者ならではの食の視点
現代は、インターネットによって世界中の情報が瞬時にわかるようになりましたが、たとえば電話が登場する19世紀までは、口コミなり、人が動いて情報を伝達していました。現代と同じような感覚で歴史を見てはいけない、というのが歴史や文化を扱う人間にとって基本中の基本です。
僕自身は、料理の仕事を始めたのは、わずか7年前です。食のジャーナリストの諸先輩方に比べれば、経験が浅く未熟です。しかし、料理以前は、美術、日本史、スポーツ、映画などを幅広い専門紙を作ってきました。ある種の雑食的な編集者歴から、物事の成り立ちにある一定の共通する真理があることも、少しは理解しているつもりです。
僕が書いたnoteもそうした、雑食的な視点で多くの方にお読みいただけたと思うと、あまり日本料理とか世界の料理の潮流みたいな専門性にとらわれず、幅広い視点で、現代の料理を考えてみるのが、聞いてくださる方のためになるかなと思っています。
日曜の夜ということで、早く寝ようと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、ご興味ありましたら、ZOOMには、どなたでも参加できるそうですので、聞いてみてください。Twitterも見ていますので、なにか質問などあれば、TLに流してくださいね。出来る限り、お答えしたいと思います。
恥かくくらいのリスクならどんどんやろう
「いろいろやっていらっしゃいますよね」と最近声をかけていただくようになりました。
たしかに料理人付き編集者として、米澤文雄さんと藤川真至さん、福田浩二さんと活動したり、ポップアップイベントしたり、#被災地農家応援レシピを作る会 を企画したり、2月からラジオも始めようという企画があります。
この毎日note更新も、まあよくやっています。
基本的には「自分にリスクがないものはどんどんやろう」という精神でやっています。僕のとってのリスクは初期投資のことで、それが必要でなければ、どんどんやっていきます。プライベートとか仕事とかあまり気にせずに、自分自身が楽しめること、誰かのためになることだと思えば引き受けます。
失敗したらどうしようとか、変なこと思われないかな、とそんなことを昔の自分だったら気にしていたかもしれません。しかし、恥なんて、それほど皆さん覚えてないし、スベッたTwitter企画もいくつもあります。でも誰もそのことは覚えてないでしょう? 僕も皆さんの恥かしいツイートなんて覚えていません。
今回も仮にZOOMを同時視聴してくれる方がいなくても、僕はまったく損はないし、和海さんにとっては、今回の話でなにかアカデミーのコンテンツになればという狙いもあるので、聞いてもらうことが目的ではないのもあります。noteもひとつ書けたし、プラスばかりです。
楽しんで話ができたり、それによってなにか損得が出ないようにしておくのが、すぐに物事を進めるコツだと最近気づきました。
その上で、コンテンツをマネタイズできるまで育んでいく。そのあたりは、今後の僕の課題なので、2020年の目標ですね。
ちょっと話は脱線しましたが、それでは2月2日、ZOOMでお会いしましょう!!