マガジンのカバー画像

【えりた書店】

108
元書店員で、雑食系活字中毒者のえりたが「おもしろい!」「好きだ!」と思った本をジャンル問わずにご紹介。売れ筋の本も、ひっそり輝く本もステキポイントをずっしり掴んで書いていきます。…
一か月で10本の書評を放り込みます。記事単体では300円ですから、マガジンの方が絶対にお得。また、…
¥6,000
運営しているクリエイター

#新書が好き

■コミュニケーションの基本を知る―東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術』

こんばんは。えりたです。 本日、読了したのはコチラです。 『聞く技術聞いてもらう技術』 ■東畑開人 ■ちくま新書 ■860円+tax ■ISBN:9784480075093 東畑先生の本は幾つか読んでいて 今回もそのご縁で購入しました。 はじめに 「『聞く』と『聴く』の どちらが難しいと思いますか」と 筆者は問いかけます。

¥300

■資本主義が思考を縛る世界をどう変えていくべきか―『人新世の「資本論」』

表紙に著者さんの写真がドデンとある新書が苦手です。 もちろん、そういった本が、著者さんの「顔」がある程度以上に売り上げに貢献するほど、影響する力の大きい人が書いたものだと理解はしています。その証拠に、そういった本は大概、書店で面陳されています。 でも、それを見かけるたびに、何とはなしに威圧されてるような気持ちになってしまうんです。で、内容云々の前に、手に取るのを諦めてしまう、と。 実は、今回ご紹介する『人新世の「資本論」』もそれが理由で読むのを諦めていました。 確たる

¥300

■自分の言葉に自分で責任を持つということ―『いつもの言葉を哲学する』

noteやTwitterで言葉を綴ったり お友だちと話をしていたりするとき 自分の書き癖、口癖に 辟易することがあります。 伝えたい内容自体は異なるのに なぜか用いる言葉が同じ。 そりゃ、毎回自覚的に考え尽くす!では 疲れ果ててしまいますが(笑) けれど、伝えるための言葉を ぞんざいにしてしまっては 内容も色褪せてしまうような気もするのです。 でも、それを どうしたらいいのかわからない。 という気持ちに指針を与えてくれたのが こちらの本です。 ■『いつもの言葉を哲学す

¥300

言葉を哲学することで、緩やかな生き方を知る―『言語ゲームの練習問題』

きっかけはすっかり忘れましたが 大学生の頃、 一人の哲学者にハマりました。 その人の名は、ヴィトゲンシュタイン。 興味の赴くままに 生協で『論理哲学論考』を購入し おそるおそる読み始めたのです。 そしたら。 全く理解できず、撃沈。 言葉が端的過ぎて。 論理が徹底され過ぎて。 私自身の思慮が浅過ぎて。 哲学的知識が乏し過ぎて。 とりあえず、何もかも足りず、過剰で 最初の一行から衝撃的なほど難解で。 その時は本をそっと本棚に差しました。 その後も、何度か 『論理哲学論考』

¥300

■今、私たちを取り囲んでいる「権力」とは?―『ミシェル・フーコー』

普段、「当たり前」と思っていることが 実は当たり前ではないと実感する。 そんな出来事は 日常のあちこちにあります。 でも、それが実際起きたときって 乗り越えるのに必死で 自分の思考に定着させるのには 随分と時間がかかります。 私の場合、それを具体的な衝撃として 思考に刻み込んでくれたのは 文学理論の勉強会で読んだ フーコーの『知への意志』でした。 そして、そんな衝撃を 久しぶりに思い出させてくれたのが 今回読んだコチラです。 ■『ミシェル・フーコー』について ■箱田徹

¥300

■知っているはずの「歴史」をアップデートする―『動乱の日本戦国史』

えりたです。 大河ドラマ『どうする家康』、どんどん佳境に入ってきましたね。気が付けばもう10月。始まった当初は「おれの白うさぎ」だった家康公も、いつの間にやら、底知れぬ「たぬき」化していくようで…月日の流れの速さに白目…いや、遠い目をしている今日この頃です。 さて、今日は9月に発売された新書をご紹介します。 ・ ・ ・ 「歴史学」という学問があります。「歴史学」がどういう学問かをググってみると、 とあります。 ここで大切なのは、「歴史学」は学問であるという点です。そ

¥300

■知識がつながる快感―『古典と日本人』

これを書いている今日は 共通テスト第1日目。 受験産業に長くいた所為か、 毎年、この日になると 自分が受験するかの如く 緊張したり、そわそわしたりします。 しかも、私の担当教科である国語は 第1日目が実施日! 問題集オタクでもある私は 何が、どんなふうに出るのかと ちょっとワクワクもしたりして。 とまぁ、こんな風に 私自身は「古典(古文・漢文)」に対して さほど悪感情を持ってはいませんが。 かといって、積極的に読むかと言えば そんなことはまったくなく。 活字中毒者なのに

¥300

数字、数字と言う勿かれ―村上靖彦『客観性の落とし穴』

「数字で示してもらえますか」 「それって個人の感想ですよね」 強い口調でこう言われると、思わず口をつぐんでしまいます。 「数字」を根拠にしている側が絶対的な「正義」で、そうではないところで言葉を発する人は「無知」であるかのような、どこか嘲りや侮りを含んだ言葉たち。 自分に対して言われたものでなくても、それを耳にするだけで、思うよりもずっと大きめの衝撃を身に受け、時間が止まったような感覚にさえ陥ってしまいます。 でも、それらの言葉に違和感を覚えたことはありませんか? 超

¥300

■深慮遠謀が跳梁跋扈する―平山優『徳川家康と武田勝頼』

大河ドラマ『どうする家康』、ご覧になってますか? 6月は長篠の合戦があったと思いきや、築山殿の事件にねこまっしぐら! で、まじそれどうする?となっていますね。 そんな殿潤さまに襲い掛かる困難の連打が、実際はどのようなものだったのかについて、みっちり調べ上げ、考え尽くし、分かりやすく書かれた本が出ました! それがコチラです。 ■『徳川家康と武田勝頼』について ■平山優 著 ■幻冬舎新書 ■2023年5月 ■980円+tax 『どうする家康』で時代考証を担当されている、

¥300

【読書note13/新書】『今を生きる思想 マルクス』

「マルクス」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか? ヒゲもじゃの男性? 教科書に載ってた「社会主義」「共産主義」の人? しかも、社会主義とか共産主義とかって言われても、字面を知っているだけで、実は全然説明できないという(滝汗)。 でも、そんな?「マルクス」が現在アツい注目を集めているのです。 それには、近年マルクス自身の手になるノートが見つかったことも要因の一つとしてあるでしょう。でも、いちばん大きな原因は現在の「閉塞感」かな、と。 世の中って、どんどん幸せな方

¥300

【読書note】『徳川家康 弱者の戦略』

今日は日曜日。雨降りでしたので、お家に籠り、原稿仕事をやっつけておりました。おかげで、時間の余裕が持て、大河ドラマ『どうする家康』を観ることができました。 今日は第18回「真・三方ヶ原の戦い」。 いやぁ、あちこち泣きかけました。だって、夏目さんの名前とか叔父上の男気とか。 スパンの長い大河ドラマだからこその見事な伏線回収。決意をした人たちの表情を彩る光と影の美しさ。泣かせにくるなぁとじわじわしていました。 そして! こちらの本をおススメせねばとnoteを開いた次第。その

¥100

【読書note番外編】『新説 家康と三方原合戦』

今日放映の『どうする家康』では 「三方ヶ原の合戦」が描かれました。 ドラマの時代考証をされている 平山優先生が執筆なさった 『新説 家康と三方原合戦』を思い起こしたら ドラマのわくわく感がマシマシに! 来週は「真・三方ヶ原の合戦」との タイトルですし さらにたっぷり楽しむために こちらの本をご紹介いたします。 *こちらの記事は 昨年12月に書いたものを少し手直ししたものです。 ■『新説 家康と三方原合戦』について ■とにかく読みやすい 旅行に行くとき、必ず何冊か

¥100

【読書note10/新書】『映画を早送りで観る人たち』

小中学生のころ、夜8時以降になると 自室で勉強することを強制され テレビを見ることは許されませんでした。 もちろん、自室にテレビはなく。 なので、私は翌朝の教室で 「おはよう。昨日のアレ見た?」な会話に 入れた経験をほぼ持っていません。 おかげで、友だち少なかったです(笑) しかも、高校・大学時代も テレビを見ることは殆どしなかったので 未だに、テレビを見る文化が 私にはさほど強く根付いていませんし、 なんなら、私、 「映像から情報を取る」能力が 人一倍弱かったりするんで

¥300

【読書note9/新書】『世間ってなんだ』

幼い頃から、読書を好みながら成長しました。が、活字中毒の沼に自ら飛び込んだのは大学に入ってからでした。そのため、中学、高校の頃は、然程の冊数を読んでいたわけではありません。 そんな私が高校の頃からずっと読み続けていたのが、鴻上尚史さんのエッセイです。『鴻上夕日堂』シリーズも単行本で読破しましたし、『ドン・キホーテ』シリーズも連載当初から読んでいました。 鴻上さんのエッセイは、いつも不思議なほど、その時々の私に必要なことばや考え方をくれるのです。それは今も昔も変わらず。私は

¥300