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【えりた書店】

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元書店員で、雑食系活字中毒者のえりたが「おもしろい!」「好きだ!」と思った本をジャンル問わずにご紹介。売れ筋の本も、ひっそり輝く本もステキポイントをずっしり掴んで書いていきます。…
一か月で10本の書評を放り込みます。記事単体では300円ですから、マガジンの方が絶対にお得。また、…
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#国語がすき

■今ひとたびの逢ふこともがな―ビギナーズ・クラシックス版『百人一首』

えりたです。 若い頃はその機微がまったく理解できなかったけれど、大人になった今なら何となく実感できる、身近に感じられる。そんなふうに変化したものが幾つかあります。みなさんにも、そう言われて思い浮かぶものは様々あるのではないでしょうか。 それらは、さまざまな経験がなしたものなのか、それとも生きた時間が醸成したものなのか。そのあたりの理由や理屈はよく分かりません。ですが、その変化のおかげで得た緩やかさ、穏やかさは、少なくとも私にとっては、とても温かなものでした。 さて、私の

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【読書note】あなたの「光る君」はだれですか―紫式部『源氏物語』

えりたです。 今日は、大河ドラマ『光る君へ』に関わる本のご紹介です。 以前、こちらの記事を更新しました。 こちらは、長い間『源氏物語』をはじめとした、平安時代の文学を研究していらっしゃる三田村雅子先生による『源氏物語』の入門書です。「100 de 名著」シリーズですから、書店で手に入れやすいですし、また、お値段もお手頃。なので、私にとっては、心からのおすすめ本♡ これを読むと、けっこう本気で「うわぁ…『源氏物語』読みたい…‼‼」ってなるですよ。しかも、大河ドラマ『光る君

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【読書記録】椎名誠『続 失踪願望。 さらば友よ編』―日常を綴ること。日々を愛おしむこと。

えりたです。 去年までは、本を読むのに「冊数」にこだわっていました。とにかくたくさん読みたい。だから、選ぶ本も手軽でささっと読めるものが主体になっていたのです。 それが今年に入ってから、なぜか、そういったざっくりとした集中力で読める本たちでは満足できなくなっていたのです。理由はいろいろありましょう。 たとえば、そういった本の文法にアタマが慣れきってしまって、読んでるときの感情の振れ幅が小さくなったこと。また、ありがたいことに、仕事が昨年よりも忙しく、手軽に一冊の本をざっ

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■「あした、なに着て生きていく?」―『私、誰の人生もうらやましくないわ。』

先日、TwitterのTLをぼんやり眺めていたら、こんなtweetが流れてきました。 広告なのに、字だけで成立? しかも、タイトルがすてき過ぎ‼ 絶対に面白くないわけないよね‼と思い、一気にポチりしたのです。 ■『私、誰の人生もうらやましくないわ。』について■児島令子著 ■パイインターナショナル ■2022年12月 ■1400円+tax この本は、児島令子さんが「これまで書いてきたコピーを集めたもの」。それらが「広告から離れて、商品から離れて、時代背景からも離れて、ここ

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■「かなしい」を「かなしい」と言うだだけでは足りなくて―『百人一首という感情』

私は、人生の半分以上を受験国語のプロとして過ごしています。また、20代の頃は大学院で平安時代の物語の研究もやっていました。が、そのなかで驚くほど苦手にしていたものがあります。それが「和歌」です。 これまでずっと「和歌」の面白さが理解できず。学部生時代も授業中にずっと『源氏物語』を読んでいるような学生でしたが、和歌が出てくるとフツーに飛ばして読んでいました(そして、師匠に怒られていました)。 あるいは、高校時代。「百人一首を定期テストの範囲にするから、1~50まで暗記して自

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■資本主義が思考を縛る世界をどう変えていくべきか―『人新世の「資本論」』

表紙に著者さんの写真がドデンとある新書が苦手です。 もちろん、そういった本が、著者さんの「顔」がある程度以上に売り上げに貢献するほど、影響する力の大きい人が書いたものだと理解はしています。その証拠に、そういった本は大概、書店で面陳されています。 でも、それを見かけるたびに、何とはなしに威圧されてるような気持ちになってしまうんです。で、内容云々の前に、手に取るのを諦めてしまう、と。 実は、今回ご紹介する『人新世の「資本論」』もそれが理由で読むのを諦めていました。 確たる

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■言葉一つで無限に広がる読書体験を―『100分de名著 紫式部 源氏物語』

来年の大河ドラマ『光る君へ』は摂関政治最盛期の平安時代中期を生きた紫式部を主人公とする物語です。 「紫式部」と言って、すぐに思い浮かぶのは『源氏物語』ですよね。これを機会に『源氏物語』を読もうと意気込んでいるかたも多いのではないでしょうか。 でも、『源氏物語』って、ただでさえ五十四帖もある、長大な物語です。しかも初っ端から と、全力で古文。 私たちが高校で習う古語文法は、このあたりの時代を基にしています。ですから、係り結びだの、敬語だの、動詞の活用だの、定期テストで苦

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■自分の言葉に自分で責任を持つということ―『いつもの言葉を哲学する』

noteやTwitterで言葉を綴ったり お友だちと話をしていたりするとき 自分の書き癖、口癖に 辟易することがあります。 伝えたい内容自体は異なるのに なぜか用いる言葉が同じ。 そりゃ、毎回自覚的に考え尽くす!では 疲れ果ててしまいますが(笑) けれど、伝えるための言葉を ぞんざいにしてしまっては 内容も色褪せてしまうような気もするのです。 でも、それを どうしたらいいのかわからない。 という気持ちに指針を与えてくれたのが こちらの本です。 ■『いつもの言葉を哲学す

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■「春はあけぼの…」好きなものは好きと胸を張って言っちゃおう―『枕草子』のこと

わりとフツーに見えるけれど、考えてみれば凄まじくすばらしいことだと思うことがあります。それは。 1000年前に清少納言によって書かれた『枕草子』の冒頭です。多くの方は、中学2年生あたりで暗唱した(させられた)と思います。 でも、この「春はあけぼの」というフレーズ、何気なく、あるいは、いやいや覚えさせられたにもかかわらず、思いの外、たくさんの方が大人になっても覚えているんですよね。そして、会話の端々に顔を出したりもする。 これって凄まじく素晴らしいことだと思いませんか?

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■あの時教えて欲しかった国語の疑問③―なぜ、漢文の勉強って必要だったんだろう?

えりたです。 先日、来年度使われる小学五年生用の国語教科書を見る機会を得ました。ちらほらと読みながら、あっちで驚き、こっちで感嘆しとなかなか楽しい時間を過ごしました。 そのなかで、ものすごくびっくりしたことがあります。それは「漢文」の項目が入っていたことです。 正確には「漢詩」ですが、書き下した漢詩が現代語訳と共に小五の教科書にあり、とても驚いたのです。 私自身は、漢文(漢詩)を初めて習ったのは中学生であったと記憶しています。小学生の頃にはなかったです、確か。あったら

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『大鏡』への愛を語る-1000年の時を繋いで私の心を照らす-

えりたです。今回は初4000字越えの記事です。 実はワタクシ、幼い頃から歴史が大好きで。正確に言うと、「歴史の物語」が好きで好きでたまらないのですね。 小学生の頃、毎月2冊ずつ本を買い与えられていました。そのタイトルは『まんが 日本の歴史』。なぜかは知りませんが、私はそれだけを与えられ、次に買ってもらえる日までお家ではそれを繰り返し読んでいたのです。 そこから私の歴史好きは少しずつ作られていきました。 あまりにも歴史の本が好きすぎて、ついには担任の先生が私のために、学

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■知識がつながる快感―『古典と日本人』

これを書いている今日は 共通テスト第1日目。 受験産業に長くいた所為か、 毎年、この日になると 自分が受験するかの如く 緊張したり、そわそわしたりします。 しかも、私の担当教科である国語は 第1日目が実施日! 問題集オタクでもある私は 何が、どんなふうに出るのかと ちょっとワクワクもしたりして。 とまぁ、こんな風に 私自身は「古典(古文・漢文)」に対して さほど悪感情を持ってはいませんが。 かといって、積極的に読むかと言えば そんなことはまったくなく。 活字中毒者なのに

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