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北欧ブルーの見つけかた

寒くて、暗くて、強い風が吹きすさぶデンマークの冬。

季節が冬へと移り変わっていくにつれて「なんだか街がつまらく感じるようになってきたな」と思っていた。なんたって、北欧の夏と秋は最高だった。


夏のデンマークは明るい陽の光とハピネスに溢れていて、誰も拒まない楽園のような空気感に溢れていた。

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朝目覚める前から陽は差し、20時頃まで昼間のよう。夜にビールを飲んでてもなんだか昼飲みのような気分で、幸せな背徳感。コロナなんてうっかり忘れてしまいそうなほど。

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秋、少し長くなる影。夏の名残りと肌寒さの間で、たくさんの色が目に飛び込んでくる。

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空は引き続き毎日違う色に染まって、違う表情を見せてくれる。そういえば、デンマークは「パンケーキ」って呼ばれるほど山がなく、平らな土地だからどこから見ても空は広い。

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そして、冬 。厚い雲に覆われた空は、くるくると表情を変えてくれた夏や秋のような魅力をすっかりなくし、太陽の光が差さない街の風景。

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なんだか街が私だけを置いてすっかり別人になってしまったような、その変わりようの早さについていけなくって、少し寂しい気持ちと共に過ごしていた。


そんな気持ちが変わってきたのは、12月も終わりの頃。

少しだけ晴れたある日に「少しだけカメラでも持って散歩しようかな」なんていう気持ちになったタイミングだった。

日が暮れる頃、雲の切れ間から時々覗く光は、ちゃんとデンマークのそれだったし、闇の中から浮かび上がる街の光は、夏の陽射しの中には無い艶やかさをはらんでいるように見えた。

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太陽は見えないけれど、朝陽はのぼり、陽は暮れていく。それに合わせて街の色も変わっていた。きっと、私が気づかなかっただけ。


そして太陽がほとんど沈む頃、コバルトブルーとセルリアンブルーに空と川が染まり、建物に深い陰影を落とす瞬間の美しさったら。

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ああ、深い影に浮かび上がるしっとりとした色彩。これが北欧のブルーなんだな。なんてことを思いながら、ようやくこの国の冬の愛し方が分かってきた気がした。


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吉田恵理/編集者
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