母を信じる気持ち
母が退院してから1週間が経つけど、まだ顔を見に行っていない。
いつもなら、退院して3日以内には顔をみにいく私が、今回は行かないのが母のためであり、信じて待つことも愛情なんじゃないかと思っている。なんだか、子育てと同じだな。
これまでの私は、看護師の仕事と子育ての合間に時間を見つけて
母のために何かできたらと
せっせか足を運び、ハンドマッサージをしながら
母の心の荷下ろしをしていた。
ここ数年は、だいたい2か月家にいて、体調が悪くなり、
2か月入院しての繰り返しだった。
そんな中。今回は、1か月ほどで退院できた。
不思議と、母の入院中はいつものように
母を心配する気持ちはわいてこなかったのだ。
その代わりに出てきた感情は、
「母は大丈夫。元気になって帰ってくる。そして、
だんだんと、入院しなくても良い生活になり、
病気も嘘みたいに消えてなくなるだろう」
そんなふうに思えている自分が本当に不思議だった。
だって、30年来の「うつ病」が完治するわけがない・・・
つい、半年前までそんなふうに思っていたのだから。
思えば、母のうつが重症化する5年前までは
いつか良くなるとどこかで信じていた。
ところが、父が癌になったことを機に
母は一人取り残されるだろうその猛烈な不安に
心がついていかなくなったのだ。
そして、当時の母の主治医に言われた言葉・・・
「お母さんの病状は、今回のことがきっかけとなり
重症化しました。長期になるうつ病の場合、
若くても認知症となり、そのまま進んでいくことが多いです。
お母さんは、今までのような病状に戻ることは難しいかもしれません。」
当時、認知症のように反応が乏しくなった母を見て
その言葉は、まるで
暗示のように私の脳裏にやきつくこととなった。
それからというもの、回復への期待というものを持たなくなっていたのだ。
ところが、、、
ヒプノセラピーに出会い、自分の潜在意識が変わると
周りが変化していく姿をみて
少しずつその暗示がとれてきた。
今、父は癌の発病から5年半が経ち再発なく
過ごすことができている。
手術や抗がん剤治療の副作用がありながらもそれに耐えながら
私たち家族に明るく前向きに振舞った父のその姿。
私が幼少期の頃から変わらない、温かく強い生き様を
心から尊敬している。
一度はステージⅣと言われた癌に打ち勝った父のように、
母もまた重症うつに打ち勝つ日が来ることを
心から信じているのです。